2026年もCTを休み、セイルボート「Vela」で世界中の海を巡っているジョン・ジョン・フローレンス。
一戦一戦のプレッシャーと戦う代わりに、地球上に点在する極上のウネリを追い、未開の文化を体験する生活。それは、ある意味でアスリートとしての成功以上に贅沢で、誰もが憧れるサーフィンライフの究極形なのかもしれない。
スナッパーロックスやベルズビーチ、チョープー、トラッセルズなど、CTの舞台となるポイントが世界屈指のクオリティであることは疑いようもない。しかし、この地球にはまだ見ぬ“同等、あるいはそれ以上”の波が無数に眠っている。
コンペティションのストレスから解き放たれ、極上の波をただ追い求め、それをまるで映画のような美しい映像美で後世に残していく。ジョン・ジョンが体現しているのは、従来のフリーサーファーの枠組みすら超えた、一歩先の世界だ。
まさに現代の“エンドレスサマー”を地で行く彼の航路は、ハワイを出航後、フィジー、バヌアツ、ニュージーランド、グレート・バリア島、再びフィジーを経て、バハマ、パナマ、キューバといったカリブ海へと及ぶ。その航海日数は、すでに380日を超えた。

南太平洋の洗礼とローカルコミュニティとの深い絆
83の島々からなるバヌアツでは、弟のネイザンやイヴァンと共に山へ足を踏み入れ、大自然と共生しながら自給自足の暮らしを営む現地の人々と交流を深めた。また、ニュージーランドでは妻ローレン、そして愛息ダーウィンと共に過ごしながら、フル装備が必要な海水温のヘビーな極上スラブを攻略した。

Image:John John Florence(YouTube)
続いて訪れたのは、次のCT開催地でもあるフィジーのタバルア島。クラウドブレイクをホームとするローカルサーファーたちと密な時間を共有した。世界有数のレフトブレイクに人生を捧げる彼らは、驚異的なバレルライディングを披露。穴の開いた小さなボートで沖へ出る彼らを「Vela」の船上へ招くなど、サーフィンを通じた温かい心の交流が生まれた。

Image:John John Florence(YouTube)

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カリブ海へ 未知なる極上バレルと秘境の旅

Image:John John Florence(YouTube)
南太平洋の航海の後、大西洋のカリブ海へと新たな探索を始めた「Vela」
ローカルから情報を得て極上のライトブレイクをスコアすると、パナマのボカスでは無人の高速ビーチブレイクバレルを独占。さらに秘境・ノベ・ブグレ自治区へ足を踏み入れると、自給自足の村で目にしたのはレベルの高いキッズサーファーたちの姿だった。
キューバ、イスパニョーラ、ジャマイカ、プエルトリコからなる大アンティル諸島では、まるでAIが描き出したかのような幻想的なビーチでスモールバレルを発見。夕暮れ前には新たなウネリが到達し、奇跡的なセッションを体験した。
「Vela」の航海を通じて印象的なのは、彼らが訪れる先々で常に最高の波に恵まれている点だ。それは波を引き寄せるジョンの天才的な嗅覚の賜物であると同時に、世界にはまだメディアに捉えられていない至高のポイントがいくらでも存在するという証左でもある。
380日を超えた航海は、今なお続いている。

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「Vela」上映会で語られた冒険のリアルと家族の絆

南太平洋からカリブ海へと舞台を移す合間、ジョンは一度陸へ上がり、『The Surfer’s Journal』協力のもと「Vela」のドキュメンタリー上映会を開催した。
壇上には妻のローレンも上がり、「Vela」航海の真相を語った。
壇上には妻ローレンも登壇。完璧に編集されたクリップの裏側にある、航海のリアルな知られざる苦労や葛藤を明かした。
大海原での航海には常に危険がつきまとう。無人のパーフェクトウェーブを滑る感動の裏には、万が一の怪行や事故が起きた際の莫大なリスクが存在する。親となった今、彼はそのリスクとも向き合いながら舵を握っているのだ。

「Vela」での旅は、単なる波乗りを超えた「冒険」であり、彼にとってもう一つの重要な意味——「子育て」のプロセスそのものであることが伝わってくる。我が子と戯れるジョンの屈託のない笑顔を見れば、彼がなぜワールドタイトルの栄光を一時横に置いてでもこの道を選んだのか、その理由がはっきりと分かる。
「この生活はWSLでの競技とは異なり、あなたに何を与えてくれましたか?」の質問にジョンは以下の返答をした。
「それは難しい質問だね。CTは私の人生や集中力、自分自身について学ぶなど本当に多くのことをとてもコンパクトな形で与えてくれた。でも、これは人生における様々な課題を家族と一緒に乗り越えるための場所を与えてくれたようなものだと思う。そして、夢にも思わなかったような波、紙に書くことしかできないような波など、このような場所に辿り着くことができるんだ。そこには誰もいなくて、とても興奮して震えながらたった一つの波に乗って、次の波に乗らなきゃって思うんだ。だから、こういう瞬間や家族との時間を手放すなんて、今の僕にはできないよ」
(染谷たかし)






















