シリーズ「おいらはサーファーの味方」No. 61
「もっと波に乗れたら…」と悩む中級サーファーへ
今日の波は、BCMの波情報によると、35点のクリーンな腰~胸。期待に胸を膨らませてパドルアウトしたけれど、ピークの混雑に圧倒されて、2時間のセッションで乗れたのはダンパー数本だけ…。不完全燃焼のまま重い足取りで海を去る――そんな苦い経験はありませんか?
テイクオフも身につき、フェイスでターンもできる。それなのに肝心の波が回ってこない。原因は技術不足?それとも運?いやいや、波に恵まれないのはそれだけではありません。少し視点を変えて、クレバーにサーフ ポイントを観察すれば、波をゲットするチャンスは、あちこちに潜んでいるんですよ!
このコラムでは、混雑を横目に、あなたがシレッと波をゲットするための「4つのヒント」をお伝えします。
1. 波を待つポジションと「背後」を深読みしよう
さて、パドルアウトするとき、どこに向かいますか?沖で波を待つ集団を、なんとなく目指していませんか。 「そこがテイクオフするポジションだから」と勝手に決めつけていませんか。もしライディングを増やしたいなら、鳥になった気持ちで海全体を観察してみましょう。沖の集団が気づいていない良い波が、まったく別の場所に潜んでいることはよくあるのです。
そもそも、沖の集団はセットの波を待っている人たちです。その中の数人は、明確な目的意識で波を待っていますが、残りの人たちはただ追随し、なんとなく集まっているだけの場合が少なくありません。だからこそ、根拠もなくその集団の中に混じって波を待つのは止めましょう。セットの波は本数が限られているうえに、ショルダーの張らないファットな波か、もしくはダンパーということもあるのです。
コンデションにもよりますが、まずはインサイドで波を待ち、サーフポイント全体のブレイクを観察してみましょう。ミドルやインサイドに、誰も手を出さない良い波がブレイクしていませんか。サーファーは本能的に、沖の波に集中するため、目前を通過し背後でブレイクする波には驚くほど無頓着です。そこをシレッと狙うのです。

2. 「科学と肌感覚」がライディング数を上げる
前章の誤解を避けるために付け加えますが、セットの波は乗るなとは言っていません。ブレイクが良く、サーフできるチャンスがあるならばセットの波を狙っても良いんです。
では、そもそも『セットの波』って何でしょうか?
それを定義すると「一定の間隔で押し寄せる、その日最もサイズがありパワーを備えた数本の波のグループ」となります。 セットがやって来る間隔や波の本数は一定の傾向はありますが、つねに変動します。2本で終わるセットもあれば3本続くこともあり、ときには単発で終わることもあります。間隔も長かったり短かったりします。こうしたセットの特徴は、波を発生させる低気圧やその他の自然現象によって変化しているということは頭の隅においてください。
海洋物理学の視点から見れば、はるか遠洋から届くグランドスウェルほど波長が整うため、セットの間隔は長くなります。さらに、2~3本の波が連続してブレイクするのも、「波のエネルギーが引き継がれるという」科学的に説明できる自然現象です。
(※解説;「波のエネルギーが引き継がれる」とは、先頭の波が海面の抵抗を受けて消滅すると、行き場を失ったエネルギーがすぐ後ろの波に次々と吸収され、後続の波が育っていく性質のこと)
もし科学的な分析が好きならば、事前に気象データなどをチェックして低気圧の規模や位置などを把握しておきましょう。BCMの波情報なら気象状況やこれからの波の変化なども知ることができます。そしてパドルアウトしてからも、波のサイクルの傾向をその情報と照らし合わせながら波を待ちます。事前の情報もなく「今日はやけにセット間隔が長いな、もう終わりか…」とただ思うより「はるか南からやってくる台風の波だから、セットの間隔は長いけど夕方まで続くはずサイズアップも期待できるぞ」と分析できるわけです。
さらに、セットの波をクレバーにゲットするために欠かせないのが「肌感覚」です。それを「勘」と言ってもいいでしょう。波を乗る本数を増やしたいのであれば、波のサイクルに合わせて波待ちのポジションを変える柔軟性が求められます。どこに良い波がやってくるか?それを肌間感覚で判断するのです。
要するに、シンプルに沖でじっと波を待つのではなく、セットが過ぎたらインサイドに移動して波に乗る。そして「そろそろ次のセットが入るな」という肌感覚を頼りに、再び沖のピークへ向かう。事前の科学的な情報と、自分の肌感覚をシンクロさせるだけで、ライディング数をゲットする確率は飛躍的に跳ね上がります。

3. 波待ちの時間は「観察」のゴールデンタイム
ラインナップには、じつに多種多様な実力やスタイルのサーファーが混在しています。沖で波を待つ時間は、水平線を眺めて波を探すだけでなく、周囲のサーファーの「実力」や「狙い」を推測するための重要な時間です。それぞれが待っている波、そして実際の実力を把握しておくと、結果的に自分が波をゲットするチャンスが広がるのです。
たとえば、せっかく波を譲ったのに、そのサーファーがテイクオフをミスして、残念な想いをした経験は誰にもあるでしょう。事前にそのサーファーのスキルレベルを把握していれば、「もしかしたら…」と波を自分のものにできたかもしれません。
(補足:テイクオフを試みるサーファーがいるにも関わらず、むやみにパドルをして波を潰してしまうのは、マナーに欠ける行為です。スマートに波を譲る余裕も大切なスキルです)
また、サーファーにはそれぞれ無意識の「癖」や「好みのパターン」が存在します。常にフロントサイド(得意な方向)へしか滑らないサーファーがピークにいるなら、その逆側のブレイクは高確率で誰も乗らない「空き家」になります。あるいは、ひたすら沖の巨大なセットしか眼中にない人、手前のインサイドでこまめに本数を稼ぎたい人など、海の中の思惑は十人十色です。
波待ちの間にこうした周囲のキャラクターを冷静に見抜き、パズルを解くようにポジションを移動させる。そうすれば、無意味な波取り競争で消耗することなく、思いがけない「空き家」のピークが自分に回ってきたりします。海を読むのと同じくらい、「人を読む」こともまた、波を多くゲットするための重要なタクティクスなのです。
4. 波はどこに向かっているか
沖からやってくる波は、必ずしも陸に向かって一直線に真っ直ぐ進んでくるわけではありません。海底の影響で曲がったり凹んだり、右から入ってきたピークが左へ抜けたり、その逆も起こります。ポイントブレイクではスウェルが鞭のようにしなり、扇状にブレイクすることもあります。
それゆえに、陸に向かって真っ直ぐにパドルするだけでは、波の推進力と噛み合わずテイクオフに失敗するケースが生じるのです。「今日はなんだか波に置いていかれるな」そう感じたときは波の動きをつぶさに観察してみましょう。
波の変化や進む角度を読み、サーフボードを波の進行方向に対してスクウェアに微調整するのです。傍目に気がつかないような、ほんのわずかな角度調整が大きな差を生み出します。ときには、あえてブレイクとは逆に向かってテイクオフを試みることさえあるのです。こうしたセンシティブなアジャストメントで、テイクオフの成功を増やすことも「シレッと波をゲットする」もう一つのテクニックと言えるでしょう。
シレッとたくさん波をゲットする4つのヒントのまとめ
1.沖のメイン集団から一歩引き、サーフポイント全体を観察する
2. 科学と肌感覚で波のコンデションを推測する
3. 周囲のサーファーの行動や思惑を見抜き、思いがけないチャンスをモノにする
4. ブレイクの変化を読み、センシティブなアジャストメントでテイクオフの成功率を高める
「4つのヒント」を参考にして、クレバーなサーフィンを心がけてみましょう。シレッと波をゲットするあなたの姿がそこにあるはずです。
(補足:遠慮がちな女性やビギナーさらに子供には、波を譲れる余裕を持ってサーフィンを楽しみましょう)
(李リョウ)





















