Surfer Magazine Vol.60-4 https://www.surfer.com/ photo by Grant Ellis Cover photo by Domenic Mosqueira 生粋のサーファー/ シェーパーであり、奇想天外な発想をビジネスと結びつける実力を持つアーティスト。インスタレーション、インテリアデザイン、プロジェクションマッピング、スカルプチャーなどなど活動の幅は広く、ユニークでハイクオリティーな彼の作品は完成度が高い

賢者の教え:ピーター・スチロフ65才(サーファー/シェーパー/アーティスト)

『スタイルとは自信だ。崖から飛び降りられるくらいスタイルに自信を持っているか?自信がなければスタイルは崩れ去る』

ピーター・スチロフ

サーファーって不良っぽい奴がクールだと思う。そういうタイプってサーフィンばかりしているくせに、センスが良くて才能にあふれていて、しかも女にもモテる。この世界は古今東西を問わずそんな奴が多く、サーフィンのトレンドセッターとして活躍する。カリフォルニアのエコービーチは、ネオンカラーやアシッドなデザインで、80年代に世界中のサーフィン界から注目を浴びた。そのトレンドを発信した1人がピーター・スチロフ(もしくはシュロフ)。彼はアーティスティックな分野で成功し、しばらくはサーフィンから遠ざかっていたようだけど、最近またシェーピングベイに戻ってきたようだ。
(エコービーチ:カリフォルニアニューポートビーチの別称でクイックシルバー社の商品名でもある)

サーファーズジャーナル でもピーターの特集が組まれた。彼が両手に持つ作品に注目。日本版5-1にも掲載された。The surfers Journal Vo;24-1

ピーター・スチロフかく語りき

人間に競争本能があるからこそ、スタイルは進化するんだ。もし友達が君よりサーフィンが上手くなったらどうするかな?あいつよりもっとサーフィンが上手くなって、かっこう良くなろうって君は思うだろう?それが競争本能さ。

かつてシェーパーはシンプルに職人として生計を立てようとしていた。昔は、ビング・コープランドやデューイ・ウェーバーがシェーパーのトップにいた。でも彼らは無謀にがめつく稼ごうとはしなかった。でもいまは、急いで大金持ちにでもなろうとしているアホな連中がいる。

スタイルとは自信だ。崖から飛び降りられるくらいスタイルに自信を持っているか?自信がなければスタイルは崩れ去る。

スタイルは自己の確立を求める『君は誰だ?』。例えばジャック・ニコルソン、彼のような人物は自分自身を確立している。スタイルを持つジェリー・ロペスがデビッド・ヌヒワになろうとするか?ありえない!

サーフィンに香しさ(かぐわしさ:魅力)が加わればベストだ。俺はサーフィンとシェーピングを25年間止めていた。そして10年前に再びその活動を始めた。そして現在のサーフボードやサーフカルチャーを眺めてみたら、なんとくだらない、漂白された食パンのようだ、全粒粉のパンこそがサーフィンカルチャーを復活させるんだよ。

マイケル・フェブラリーのサーフィンは、現在のサーフィン界で唯一の新鮮な風といえるかな。フェブラリーは映画界のジョニー・デップのような存在だね。最初は変わり者だけれど、いつのまにか世界を魅了しはじめる。

現在のサーフカルチャーのやっていることは、地元の商店やアーチストたちの住む場所を立ち退きさせて、コストコを建設しているようなものさ。サーフコミュニティーでの俺の影響力なんてたかがしれたもの、だからチェーンソーを持ってタイ製のサーフボードをぶったぎるんだ。このサーフボードは仲間やサーフカルチャーや俺たちのスタイルさえも消滅させる。こんな重大なことに誰も声を上げようとしない、だから俺がやるんだ。

サーフボード業界の衰退を危惧してタイ国製のサーフボードをチェーンソーでぶった切るパフォーマンスを行ったピーター

俺がこうなればなあと願っていること。周囲に未熟なシェーパーしかいないことに、いつの日かサーファーが気づくだろうってこと。そして、サーフカルチャーが失ってしまった大切なものにやっと気づくんだ。それでサーファーたちは、ふたたび裏庭でサーフボードを作り始める。そうなったらどうだろう、すばらしいじゃないか、それこそサーフカルチャーってものだろう。

サーフィンは続けるべきだ。俺は長いことサーフィンをしていなかったから、いまのところは海で誰にも見られないようにしなくちゃならない、俺のことを知っている人は多いからな、なんてこった。

ケリー・スレーターは47才になってもサーフィンを続けてきたから、今でもベストサーファーでいられる。試合の成績は下がるだろうが、彼のサーフィンはスタイリッシュで、個性がありすごくドライブしてる。あのドライブにはまだ誰も近づくことさえできていない。彼は映画「地獄の目次録」のマーロン・ブランドのようだね。

シェーピングは汗とフォームダストと独房生活。過酷な仕事だ、つまりスタイルと芸術性が、献身的な労働によって創出される至極の愛。シェーパーが退屈な漂白食パンを作るのを止めれば、サーファーも漂白パンを食べる(乗る)のを止めるよ。

新しいサーフィンのムーブメントが始まるときかな。それを誘発させたい。漂白食パンを持ってくる連中を、リアルサーファーたちに笑わせるんだ。それはサーフカルチャーからの非暴力でささやかな革命。

サーフィンは常に謎めいていなけりゃあね。60年代から70年代のブラッキー※たちみたいに戻るのもいいんじゃない?ドラッグとパーティー漬け。彼らはどうやってそこから生き延びた?彼らはとんでもない個性だった。そこにはマジックが潜んでいた。サーフィンは常にマジカルであるべきさ。
※ブラッキー:エコービーチのなかのポイント名

This column is based on the Surfer magazine. https://www.surfer.com/
http://www.schroffsurfboards.com/schroff-nyc.php

(李リョウ)

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