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自民党サーフィン議員連盟の総会にNSA理事らが出席。議連幹事長に小泉進次郎氏が就任

マリンスポーツが広く国民に好まれ、健全で安全なものとして普及するために、自民党の国会議員の賛同者で結成された「自民党サーフィン議員連盟」。

本議連の総会が2023年6月7日に開催され、日本サーフィン連盟の理事らが出席。前回2022年4月開催からの役員改選や活動状況の報告、そしてサーフィンのさらなる認知拡大やトップサーファーのスポンサー問題に至るまで様々な議題で意見交換を行った。


議連の役員改選、新たに小泉進次郎氏が幹事長に就任

開会の挨拶では、自民党サーフィン議員連盟の会長を務める塩谷立(しおのや・りゅう)氏より、議連の活動内容や今回会合の目的を再確認。今年度、そして来年のオリンピックに向けてどう活動していくか、実りある会合にしていきたいといった想いが語られた。

塩谷立氏「オリンピックでサーフィンが国民的にも認知されて、国際的にも選手が頑張っている。できるだけサーフィン競技を広げていくことが議連の務め」 Photo: THE SURF NEWS


また、前幹事長の後藤田正純氏が徳島県知事に就任したことにより、新たに小泉進次郎氏が議連の幹事長に就任。今年3月、15~6年振りに福島でサーフィンをしたという小泉氏は、今年から放出されるALPS処理水の問題を例に挙げ、皆と一緒に頑張りたいとの意気込みを語った。

「福島の海では、地元サーフィン連盟にお世話になったが、今年は“処理水の放出”という政治的な大きな局面がある中で、福島でサーフィンをしている子供たち、サーフィンと海を愛する人たちとともに、今月行われる全国(級別)大会、9月には別の大会も開かれる予定で、そういったことも、皆さんと共に、一緒になって後押しをする大事な年。幹事長として頑張ります。」
小泉進次郎氏

小泉進次郎氏「皆さんと共に、一緒になって後押しをする大事な年。幹事長として頑張ります。」 Photo: THE SURF NEWS

日本サーフィン連盟より活動報告、体育協会への加入状況など

日本サーフィン連盟の酒井厚志理事長からは、現在エルサルバドルで開催されているISA WSGにてすでに松田詩野がパリ2024オリンピックの出場権を得たことなどを報告。

また、目標とする国体種目への採用に向けた、各都道府県の体育協会への加入状況報告では、現状の問題点や地域毎の事情等を挙げ議連の協力を求めた。

各県のスポーツ協会加入済みの支部は全国でまだ12支部 Photo: THE SURF NEWS
日本サーフィン連盟理事長の酒井厚志氏 Photo: THE SURF NEWS
副理事長の寺尾恵一氏 Photo: THE SURF NEWS
副理事長の佐藤正麗穂氏 Photo: THE SURF NEWS


続けて、理事で教育本部担当の武知実波氏からは、今年のイヤーブックでも特集をしている部活動の取り組みについて、先日2023年6月4日に実施された「下田中学校(静岡県)サーフィン部」の視察内容を例にして紹介。サーフィンの部活動が生徒に与える効果や、実際に移住者が増加していることなどを報告した。

武知実波氏。下田中学校では部員28名のうち20名が初心者。保護者からは「入部して健康的な身体になった」という声もあるという Photo: THE SURF NEWS


さらに事務局長の関口嘉雄氏からは、連盟が開催する大会の種類やビーチクリーン、小学校の授業として実施しているサーフィンスクールなど様々な活動内容を紹介。出席した議員らの地元で開催されているイベントも多く、大会グレードの仕組みに関する質問も寄せられた。

関口嘉雄氏 Photo: THE SURF NEWS

スポーツ庁の取り組みと支援について

会合中盤では、スポーツ庁審議官の星野芳隆氏より、サーフィン競技にかかるスポーツ庁の主な取り組みについて発表。
基本的には前回の議連総会で共有された内容のアップデートが主であるが、引き続き以下を“4本の柱”とする「サーフィン競技の国際競技力の向上に向けた支援」について、その内容が紹介された。

◆競技力向上事業
昨年度は、日本サーフィン連盟が実施する国内外での強化合宿や、コーチ/スタッフの設置等にかかる経費について、約9,500万円を支援。今年度は、オリパラ競技全体として約101億円を計上。
さらに今年の5月には、サーフィン競技がパリ五輪でメダル獲得の可能性が高い競技として「パリ重点支援競技」のひとつに選定。これは東京オリンピックでの成績が良かったことや、世界大会での成績、連盟側の強化プラン等を加味して選定されたもので、強化費が約2割程度上乗せされることとなる。

◆スポーツ振興基金助成
独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)より、トップアスリートに対する強化費として年間240万円、ユースアスリート3名に対してそれぞれ年間90万円を支援(今年度対象者は今後決定)。また、令和5年度は競技大会の開催に対して900万円を支援する。

◆スポーツ振興くじ(toto)助成
JSCより、totoの売り上げを財源として様々な助成を実施。今年度はスポーツ情報の提供や競技会の開催に対して1,600万円を支援。

◆ナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化拠点について
昨年より、静岡県牧之原市の「静波サーフスタジアム」をNTC競技別強化拠点として指定。強化指定選手等が強化活動を行うための施設利用に係る経費等を支援する。

スポーツ庁 審議官の星野芳隆氏 Photo: THE SURF NEWS

トップ選手のスポンサー問題にも言及

なお、後半には参加議員の皆さんより連盟の活動内容に関する詳細質問も多く、議連との協力体制によるサーフィン認知向上に向けたアイデアも。
さらには、トップ選手でも活動費用の捻出に苦慮している現状については、様々な視点からの意見も語られた。


「ビーチクリーン活動は開催地域の記者クラブ等にも情報を投げた方が良い。NHKや民放が扱ってくれる可能性もある。また、自民党には子育て世代の若手議員も多いので、そのネットワークが使える。小学校のサーフィンスクール活動を一緒に広めていきたい。」
和田政宗氏

メディア出身の和田政宗氏「すでに実績があるので、資料として活用しながらサーフィン人口を増やしていきたい。」 Photo: THE SURF NEWS


「選手の海外遠征は4桁以上の経費が必要で驚いたが、トップ選手でもスポンサーがなかなか見つからないという現状がある。なんとか、多くの人の支援を得ながら、トッププロになったらお金の心配はいらないという夢を子供達に持ってもらえるような環境作りが必要。」
星野剛士氏

神奈川県藤沢市出身の星野剛士氏は、地元のメダリストである都筑有夢路を支援。トッププロの金銭事情についても言及 Photo: THE SURF NEWS


「厳しい言い方になるが、(トップ選手の収入問題は)現時点の市場価値として、その選手にお金が集まるほどの価値がないと言わざるをえない。まずは市場を大きくする必要がある。ここから出発しないことには、応援する気持ちをマネタイズしようとしても上手くいかない。その辺りをシビアに見ていくことが大事ではないか。」
朝日健太郎氏

20種目からなる複合的なビーチスポーツイベントに携わった経験もある朝日健太郎氏「サーフィンは閉ざされた印象もある。毛色の違う業界とのコラボレーションなど、間口を広げて認知を高める必要があるのではないか。」 Photo: THE SURF NEWS


「イベントを主催する側が、スポンサーになりえる人たちをちゃんともてなしているのか、という点も重要な観点。ひとつの例として、世界のトップ企業が集まるF1の世界では、スポンサー企業同士のビジネスマッチングも行っている。スポーツをハブにして、実利になるコネクションや、その企業がサポートを続けていけるような、別の切り口のビジネスチャンスを生み出せるかも重要。見る人が増えればお金が増えて、若い子たちが夢を持って挑戦できる、この好循環がなくてはならない。」
山本左近氏

元F1ドライバーの山本左近氏は、スポンサー集めで苦労をした自身の経験から提言 Photo: THE SURF NEWS


最後に、司会進行の勝俣孝明氏からは、議連としてそういった選手もサポートしていきたいとういうこと、そして連盟の地域イベント開催時にはぜひ議連の先生方に声をかけていただき(とくに地元開催には)積極的に参加をして欲しいと呼びかけて総会は終了した。

司会進行役は事務局長の勝俣孝明氏「可能であれば次回総会では選手の方にも参加いただき現状を語っていただきたい。」 Photo: THE SURF NEWS


サーフィン業界が直面している課題に対しても、積極的な意見交換がなされた「令和5年度自民党サーフィン議員連盟総会」。今後のさらなる進展を期待したい。

(THE SURF NEWS編集部)

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