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14ftのサーフボードで波に乗る感覚とは?

あなたは普段どれほどの長さのサーフボードに乗っているだろうか?

ショートボードなら6ft前後。
ミッドレングスなら7〜8ft。
ロングボードなら9ftプラスだろう。

サーフボードの歴史を遡るほどボードは長くなる。
言い換えればボードを長く長くしていけば、サーフィンのパイオニア達に近づけるような気がする。

今の波乗りの基礎を築いたパイオニアは、オープンな考えを持ち、創造的であり、リスクを冒して挑戦をしていた。
彼らのユニークな歴史に感謝しなければいけない。

今回紹介する動画はカリフォルニアを代表する兄弟サーファーの一人、デーン・グダスカスが友人でサーフボード職人でもあるドナルド・ブリンクとサンクレメンテのヘリテージミュージアムで出会ったトム・ブレイク制作の’クックボックス’に影響を受け、その独創的なデザインを生み出した精神に敬意を表したプロジェクトだ。

「ヘリテージミュージアムでドナルドと古いボードを見ていたんだ。そこでトム・ブレイクの素晴らしい木製のボードで波の上を滑るのがどんな感覚なのか興味が湧いたんだ」
デーン・グダスカス

トム・ブレイクとクックボックス

Image: THE VIBE UP(YouTube)

1900年代前半を生きたアメリカ・ウィスコンシン州出身のトム・ブレイクは歴史上最も影響力のあるサーファーの一人と言われ、’クックボックス’と呼ばれる木製で中空のサーフボードや、今ではサーフボードに当たり前に付いているフィンを開発した人物である。

今回、デーンとドナルドが再現を試みたのは1930年代の’クックボックス’のデザインで、平均の長さは12ft。
重さは40〜50ポンド(18〜22キロ)で、これでも中空の構造により当時は重量を大幅に減らした革新的なデザインと言われていたそうだ。

今でもハワイやカリフォルニアではあえてこの扱いにくいボードを楽しむ愛好家がいて、有名なところでは、デーンと同じサンクレメンテのブライアン・ベントが独自の解釈で再現している。

デーンのフィードバックとドナルドの丁寧な仕事により再現された2020年製の’クックボックス’はある意味芸術品でもある。
デーンはこのボードをロガーの聖地サンオノフレでまるで空を舞うように乗りこなした。

大きな海の上で自由になれるサーフィン。
束縛が多いこの時代だからこそ、サーフボードはもっと自由であるべきなのだろう。

「最終的にこのプロジェクトは探求することに多くを費やした。新しい感覚で波に乗れる可能性を探求したのさ」
デーン・グダスカス

(黒本人志)

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