石油の掘削に反対を伝えるため、何千ものサーファーがパドルアウトに参加 Photo: WSL

オーストラリア沖の荒海での石油掘削を断念、サーファーによる反対運動が報われる

オーストラリア南部、グレートオーストラリア湾で石油の掘削を計画していたノルウェーの石油大手エクイノール社が計画の取り下げを発表した。美しい自然、貴重な生態系、ワールドクラスのサーフポイントを守ろうと団結して反対運動を続けていたサーファーや環境活動家にとって喜ばしい勝利だ。エクイノール社の発表では、撤退の理由を「コストが見合わないため」としているが、世界的な反響があった反対運動による圧力も要因の一つとみられている。

反対の理由

石油掘削が計画されていたのは南オーストラリアの海岸の370キロ沖で、世界で最も荒れる海域の一つ。万が一事故があった場合、対応が困難になることが予想され、エクイノール社の評価書によると被害はマーガレット・リバーやベルズ・ビーチを含めオーストラリア南部の全沿岸地域にわたり、東海岸のポート・マッコーリー、そしてタスマニア島までの広範囲に及ぶという。

以前から同海域で石油の探査が計画されていて、環境保護団体は、波が荒い同湾で石油流出が起きればクジラの繁殖地や自然の海岸線、漁業が盛んな町などが脅かされるとして、長年探査に反対している。

団結の力

昨年2月にエクイノール社の掘削計画が明らかになってから多くのオーストラリアのサーファーが団結して反対運動を繰り広げ、ミック・ファニングやステファニー・ギルモア、ジョンジョン・フローレンスなど多くの著名なプロサーファーも応援してきた。

石油掘削の反対にミック・ファニングも自ら声を上げている

この運動が世界のメディアにも大きな反響があったものの、豪NOPSEMA(国家海洋石油安全環境管理庁)は昨年12月に探査井の掘削を許可した。計画が進行すると思っていただけに、今回の撤退の発表が特にうれしいニュースだ。

 国際環境保護団体グリーンピースのオーストラリア・パシフィックCEOデイビッド・リッター氏は「自然及び市民力にとって素晴らしい勝利だ。オーストラリア国民の力と意思の強さを疑ってはならない」と述べた。

今後も続く環境保護活動

グレートオーストラリア湾での掘削計画を断念したのはエクイノール社が初めてではない。以前はBPなど、いくつかの石油大手会社が計画を立てては断念をしてきた。今回は撤退が決まったが、オーストラリアの海岸が原油事故の心配から逃れたわけでもない。他にも同じ海域で探査計画を進めている石油会社もいて、エクイノール社もオーストラリア西海岸での掘削計画が継続中だ。

「海岸沿いのコミュニティー及びグレートオーストラリア湾特有の海洋生態系を守る唯一の方法は掘削を永遠に禁止することだ。オーストラリア政府はこの貴重な海洋ワンダーランドにおける石油探鉱の永久禁止を決めるべきだ」と、グリーンピースのリッター氏が継続してオーストラリア沖の石油掘削に反対する決意を示している。

(ケン・ロウズ)

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