建設予定地の2018年7月時点の様子

建設中断の可能性もあるのか。千葉・木更津の人工サーフィン施設

千葉県木更津市で建設計画があがっていたKelly Slater Wave Co Japanによる人工サーフィン施設『WSLハイパフォーマンスセンター(通称サーフランチ)』。

2018年10月に、木更津市から開発許可は下りたものの、工事を始めた際に市に提出する「着手届」も出ておらず、地元住民の情報でも実際に工事は始まっていない。

現時点で2020東京五輪会場としてのウェーブプール採用もほぼ可能性がないことから、「日本での建設は中断するのでは」といった声も出てきている。

THE SURF NEWSが現在把握している情報を元に、工事が始まっていない理由や、今後の展開について考察する。


開発許可から5ヶ月間、工事未着手

2018年10月12日に木更津市から開発許可が下りた。その時点では、登録簿上の着工日は10月13日、完了予定は2020年3月31日となっている。

実際に工事が始まると、市に「着手届」を出す必要があるが、現時点で提出されていない。また、地元住民の情報からも、工事は始まっていないことが分かっている。

Kelly Slater Wave Coの親会社であるWorld Surf League(以下WSL)のCEOソフィー・ゴールドシュミット氏は、今年2月時点でも海外メディアのインタビューに対して「東京で建設予定」と答えている。

木更津市の渡辺芳邦市長も、今年の成人式挨拶で「海外企業によるサーフィン競技用人工波施設の進出も決まり、国内外からも広く注目されております。」とコメント。

いずれもネガティブな匂いは感じさせない発言だが、開発許可から5ヶ月近く経ってもなお工事が始まっていないのが現状だ。

木更津市での開発許可申請時の資料

地下水、五輪会場問題・・・未着工の要因は。

なぜ一向に工事が始まらないのだろうか。その理由はいくつか考えられる。

地下水の問題

地元住民は、今回の着工の遅れの原因は「地下水問題」にあると話す。

周辺農家の多くは地下水を使用しているが、今回の建設に伴う井戸の掘削で、万一地下水に影響が出た場合の補償内容について、地元農家と同社が協議しているという。

住民説明会も度々延期されるなど協議の進展は遅く、この協議が完了しないと着工できないことから、この「地下水問題」が着工の足かせになっている可能性がある。

但し、ウェーブプールの建設自体に反対している住民はいないといい、別の問題が存在する可能性もある。

2018年夏に住民説明会の行われた公民館

五輪との関係

WSLのCEOゴールドシュミット氏は、これまでに度々「五輪会場としてのウェーブプール活用」発言をしてきたことから、2020年東京五輪についても釣ヶ崎海岸からの会場変更を狙っていたことは明らかだ。

しかし、海での開発投資が始まったことや、五輪チケットの販売がまもなく開始することに加え、建設スケジュールの観点からも、五輪会場がウェーブプールに変更される可能性はほぼないとみられている。

■五輪関連スケジュール
2019年7月18日~21日 東京五輪テストイベント(会場や運営設備の確認)
2020年7月25日~8月1日 東京五輪サーフィン競技
2024年 パリ五輪
2028年 ロサンゼルス五輪

テストイベントとは通称プレオリンピックと呼ばれるもので、本大会で使用する施設・サービス・手続きの点検を目的に、事前に実施しなければならないことが定められている。

ウェーブプールの工期については諸説あるが、最短工期で見積もっても、今から今年7月のテストイベントまでに完成させることは難しそうだ。 (開発期間については6ヶ月程度とする声もあったが、開発許可申請書に記された期間は1年5ヶ月程度。 )

五輪会場に採用される道がほぼ断たれているのであれば、プロジェクト自体が中止となってしまう可能性もなくはないだろう。

木更津ウェーブプールは建設中断されてしまうのか

これらの現状から、サーフィン業界関係者のなかには「日本での建設は取りやめて、別の候補地での建設に着手するのではないか」といった噂も出てきている。

実際、ゴールドシュミット氏は前述の今年2月のインタビューで、「既に建設が公表されているフロリダのほか、パリ(2024年五輪開催地)や、ロサンゼルス(2028年五輪開催地)、オーストラリア、ブラジルで建設計画がある」と語っている。

THE SURF NEWSでは、この状況を踏まえてWSLに「次の五輪会場であるパリやLAに焦点を移したのか?木更津の工事は中断されたのか?」という質問を投げかけたが、回答は得られていない。

ソフィー・ゴールドシュミット氏
Photo: THE SURF NEWS

ただ、まだ木更津の建設中断が確実に決まったわけではない。これから建設工事を急ぎ、五輪直前のオープンでPR効果を狙うのか。それとも、次の候補地に移行してしまうのか。WSLは、直営のプール以外にもライセンス方式で建設を進めていくという構想も持っているが、新しい展開に向けて動き出しているのか。 今後の動向に引き続き注目したい。

(THE SURF NEWS編集部)

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