サーフィンはプレーニングでうまくなる。応用編パート3

『サーフィンのバネ』意識する

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シリーズ「おいらはサーファーの味方」No. 50


さて、パート1ではプレーニングのメカニズムを知ってもらい、パート2ではサーフボードデザインとプレーニングの関係について書いた。このパート3では、プレーニングを応用したサーフィンを解説したい。君のサーフィンの役に立てたら最高だ。

今回も結論から先に言おう。プレーニングは『サーフィンのバネ』でもあり、これを活用するかしないかでサーフィンに大きな違いが出るということだ。

サーフボードはバネの上を滑走している by RR

プレーニングというバネは可変する

サーフィンのバネはプレーニング中のときだけ発生する。プレーニングの速度が増せばバネは固くなっていく。その逆で、プレーニングの速度が十分でないとバネは柔らかい。さらに停止すればバネの効果も終わりサーフボードはズブズブと沈む。

波がパワーを増すとフェイスが固くなったような感じがサーフボードから伝わってくるが、それはプレーニングの速度が増してバネが固くなったからだ。要するに波のパワーが少ないときはバネが柔らかいためにサーフボードを思うようにコントロールできなない。

バネの固さに合わせてサーフする

プレーニングの速度によってバネの固さが変化するために、バネの固さに合ったサーフィンをしなければならない。小さい波が得意だけど、大きな波は苦手というサーファーは固くなったバネに対応できないからだ。その逆で小さい波が苦手というサーファーは柔らかいバネに対応できていない。

プレーニングから発生する波のバネを活用できれば、君のサーフィンは思いのまま Occy Photo : ASP/WSL

もう1つのサーフィンのバネ

プレーニングによってバネが発生すると言ったが、じつはサーフィンにはもう1つのバネが存在する。それはサーフボードのフレックスだ。フレックスは『しなり』である。プレーニングのバネは速度によってそのバネの固さが変わるが、サーフボードのバネ、つまりフレックスは材質によって変化する。フォームやストリンガー、クロスの枚数さらに樹脂の違いによってそのフレックスは変わる。

2つのバネのハーモニー

プレーニングのバネとサーフボードのバネ(フレックス)をどう活用するかで君のサーフィンが決まる。この2つのバネを上手に活用する鍵は『ハーモニー(調和)』だ。上手なサーファーが小波でも加速させて自由自在にサーフボードをコントロールできるのは、パワーではなくこのハーモニーがリズミカルにできているからだ。

プレーニングによるゼログラビティと、ダウンザラインからの重力をボトムの『バネ』が受け止めるという不思議な感覚を満喫するマエストロ、トム・カレン Photo : Cory Scott SURFINGLIFE.COM.AU

どうやってバネを活用するか?

・小波(ヒザコシ〜)

小波と言ってもさまざまで、パワーのある小波とそうでない小波がある。サイズが小波でもパワーがあればプレーニング速度が増し、つまりバネが固く、ターンしてもレスポンスが良いから加速しやすい。一方、パワーの無い小波は、テイクオフのパドルスピードや無駄のないポップアップなど、繊細にプレーニングのスピードを上げることが求められる。さらに柔らかいバネのリズムに合わせた初速のターンが鍵となる。

小波対策にはプレーニングの早いサーフボードを選ぶのも良い。フレックスの固いEPS素材なども柔らかいバネに対してレスポンスが良い。

・大波(〜オーバヘッド)

大波が苦手なサーファーは、波のバネが固くなっていることを意識していない場合が多く、小波と同じリズムでサーフしようと思っても失敗する。大波のときは、波をドロップするときの重力を利用する。そのときに重要なのは、ドロップから得た重力(速度)を波のボトムのバネへ、しっかり載せられるかどうかだ。それには両足でバネの反発を受け止めるように、レールに加重してターンしなければならない。それが『レールターン』と呼ばれるテクニックだ。固いバネをレールターンでコントロールできれば、無駄な力を入れなくてもサーフボードはどんどん加速し、エアリアルさえも可能にする。

まとめ

波のフェイスには『サーフィンのバネ』が潜んでいる。プレーニングの速度によってバネの硬さは変化する。バネの固さに合わせて調和のとれたサーフィンを心がけよう。

(李リョウ)

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