優秀なサーファーは探さなくても波の良いところにいる。Canonのコンパクトカメラで撮影 Kenta Hayashi photo by Ryo Ri

波旅の掟、写真は旅の記憶編(サーフトリップのすすめ)

シリーズ「サーフトリップのすすめ」No. 12

写真は『旅のきおく』… 次のサーフトリップは、どんなカメラを持っていく?


いまさらながら、旅に写真は欠かせない。忘れていた昔の一枚が、旅の思い出を鮮やかに蘇らせてくれるから。それは旅のきおく。スマホ、ゴープロそして一眼レフとカメラによって撮り方はさまざま、でもどうせ撮るならばカメラの能力を最大限に引き出してしっかりと残したい。ということで今回の『波旅の掟』は、筆者の撮影アドバイスも含めてサーフトリップと撮影について考えたい。

旅先で出会った波と地元のサーファーのクラシックモーメント Canon70-200mmで撮影 photo by Ryo Ri

サーフィン写真に掟はあるか?

さて、写真の撮影にもルールとマナーはある。筆者の考えでは、常識の範囲であれば、なにを、どのように、いつ撮っても自由だとは思う。しかし、サーフィンの写真をSNSにアップするとなると話は違う。なにげなくアップした一枚に、世界中の人が注目する可能性があるからだ。良い波と出会った喜びをみんなとシェアしたい、という気持ちはわかるが、アップするまえにサーファーというスタンスに立ち、写真やコメントには注意したい。ローカリズムがヘビーになっていく原因に、マナーを知らないビジターサーファーによる混雑がある。

あなたの写真を見た多くのサーファーがそこへ向かい… そんなトラブルは避けなければならない。だからSNSにサーフィンの写真や地名をアップするときには、有料波情報にポイント名が掲載されているかを判断材料としよう。

スマホでの撮影が一番難しい。数撃てば当たる作戦…しかないかな… iphoneで撮影   photo by Ryo Ri    

それぞれのカメラの撮り方

スマートフォンで撮るのは難しい?

さて、みんなが持っているスマートフォン。スマホのカメラ機能は手軽で便利だけど、サーフィンのアクションを撮るのは難しい。なにか裏技が?と思うかもしれないが、よく晴れたビーチではモニターの画像が視認できないから、撮影どころではない。それは誰だってわかるよね。でもなんとかしてスマホで撮りたいならば、車中やビーチパラソルなどの日影を探そう。タオルで影を作るのもいいかもしれない。そしてサーフポイントの全景が入るような、いわゆる「引き」で撮る方が成功率は高い。そしてたくさん撮る。数打てば当たる作戦だ。写真の整理は家に戻ってからにしよう。

望遠レンズでなくてもサーフィンは撮れる。あえて「引き」で波のスケール感を演出することも… Canonのコンパクトカメラで撮影 Rider : Kenta Hayashi    photo : Ryo Ri

繰り返すけれどスマホでサーフィンのアクションを撮るのは難しい、だからサーフィンのアクションはあきらめて、スマホの利点を活かしてライフスタイルを撮る方がいい。旅のあいだはスナップ専用カメラとしてがんばってもらおう。

スマホの手軽さはライフスタイルの撮影に威力を発揮する iphoneで撮影   photo by Ryo Ri

ゴープロ系で撮る

ゴープロ系のレンズは広角で、人間の目より視野が広い。視野が広いから接近戦を得意としている。カメラをサーフボードにマウントして自撮りしたり、口にくわえてインナーバレルを撮影となればゴープロ系の独り舞台だ。ということは、ゴープロでサーフィンを撮るとなるとサーファーにぐっと接近する必要がある。

ウォーターショットには『足ひれ』を必ず使用しよう。ベルトにポールを刺せば海の中で両手が使える

そのためには泳いで撮るしかない。確率は低いけれどタイミングが合えばプロ並みの写真をゲットできるのもこの撮影だ。そのためのヒントが三つある。(海の中での撮影は危険が伴うのでぜったいに無理はしないようにしたい)

1. ウェットスーツを浮力体として着ることと、足ひれは必ず履く。

2. ゴープロのマウントにポールを付け、腰にベルト(何でも可)を装着し、撮影していないときはそのポールをベルトに刺して、両手で泳げるようにする。(ポールが使えるのは動画撮影のときだけ)

3.どのくらいの画角で撮れるかを陸上で練習しておく。

さらに、ゴープロ系のカメラは工夫しだいでいろいろな撮り方を開発することができる。例えばドローンを使用するのもその一つだ。だから未知の撮影領域をゴープロ系は秘めているといえるだろう。

ゴープロ系は接近戦、1.5m以内にライダーが近づかなければシャッターを押さない Go-proで撮影 Noriyuki Maruyama  by Ryo Ri

一眼レフで撮る

一眼レフは、レンズの交換や、ファインダーからサーファーを狙い撃ちすることができる。だからサーフィンのアクションを撮るならばこれが一番。ただし一眼レフは重くてかさばるから、持って歩くだけでもたいへんで、それなりの覚悟が必要だ。でも良い写真を残したいと考えると、このカメラにはそれだけの価値はある。

総重量約8kg。一眼レフでの撮影はそれなりの覚悟が必要。リュック型のカメラバックと一脚はなにかと便利

技術的にどうやって一眼レフで撮るかは、ここでは詳しくアドバイスしない。技術の習得方法を一言で要約すれば、マニュアル設定で撮影できるようになるまでは練習と思ったほうがいいということだ。撮影に何度もトライし、失敗したらその原因をつきとめて改善し、次の撮影に役立てる。
そしてマニュアルで撮影できるようになればそこからが本当のスタートだ。そこまで技術が高まれば、サーフトリップでの一瞬のチャンスをものにすることができる。

なにげなく撮った一枚が、時間を経てプライスレスな思い出として輝きだす Tomoko Okazaki  photo by Ryo Ri

さて、これから一眼レフでサーフィンを撮りたいと思っている人にアドバイスをするとしたら、機材にお金をあまり掛けるなと言いたい。最新の高級カメラでないと良い写真が撮れないと思うのは大きな誤解だ。日本のカメラ市場はつねに買い手市場だから、安くて品質の良い中古カメラが手に入りやすい。とりあえずは、安くてコンデションの良い中古を買って撮ってみる。望遠レンズも300mmくらいがあれば、工夫しだいで撮れないことはない。カメラ機材よりは、サーフトリップに金を掛けたほうがいい。きれいな海はきれいな海でしか撮れないからだ。そしてカメラを購入したら、次に必要なものはリュック型のカメラケースと一脚だ。これは使ってみれば、なるほどと思うだろう。

光・波・サーファー「そのときそこにいること」旅のきおくが刻み込まれた瞬間 Canon70-200mmで撮影 Rider : Hirotoshi Sugawara  photo by Ryo Ri

まとめ

サーフィン写真の最大のキモは、「そのときそこにいること」。すばらしい一瞬をゲットするには、そこにいることが大前提で、サーフトリップにはそのチャンスが訪れやすい。だから旅では、写真を積極的に撮ろう。近場の海で膝波のサーフィンを撮っても、結果は撮るまえからすでに決まっている。波の良いところを目指し、優秀なサーファーをそこで撮れば、ナイスショットの確率は確実に上がる。そのときに君が手にしているカメラがスマホかゴープロかそれとも一眼レフか?その準備しだいで、君が得られる成果は大きく違ってくる。

(李リョウ)

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