津波フラッグは海岸で振る他に建物に掲げることもある(公益財団法人日本ライフセービング協会提供)

津波フラッグ「赤白の格子」デザインへ全国統一

気象庁は、大津波警報・津波警報・津波注意報が発表された際、視覚的に伝達する「津波フラッグ」を全国に普及させる取り組みを今夏スタートする。

津波フラッグは赤と白の格子模様で、波音や風で音が聞き取りにくい海上のレジャー客や聴覚障害者に津波の危険をいち早く知らせ、避難を促すことが目的。関連規則などを今月中にも定め、準備が整った自治体から順次導入していく。

気象庁提供

視認性を最重要視したデザインの検討

2011年の東日本大震災では、岩手県、宮城県、福島県での聴覚障害者の死亡率が、聴覚障害のない者の2倍にのぼったことを背景に、海水浴場などではサイレンや防災無線などの聴覚による手段に比べ、視覚による伝達手段が少ないことが問題視されていた。

神奈川県では、震災後「鎌倉マリンスポーツ連盟」が考案したオレンジフラッグが全国に先立ち導入され、地域住民には「津波警報発令の合図」として定着。他県でも同様の取り組みをしているところはあったが、オレンジ旗や赤旗、赤色回転灯など手段は自治体によりまちまちだった。

2019年11月大磯海岸での津波避難訓練には多くのサーファーが参加し、オレンジフラッグも用いられた Photo: THE SURF NEWS

気象庁では、海岸を有する全国の自治体にアンケートを実施。国が全国統一の手段を定めることについて、一部からは「地域ごとに定着した手段を用いるなど、地域の自主性に委ねるべきである」等の意見も出たものの、大半は「視覚的伝達手段の普及が期待される」として賛成だったという。

検討会の様子(気象庁提供)

そこで、同庁は2019年10月から2020年2月にかけて有識者を交えた検討会を開催し、どのようなデザインの旗が適しているかについて検討。

実際に海水浴場で、既に先進的な自治体で用いられているオレンジ色の旗や赤色の旗なども含めた複数のデザインの旗の視認性を検証し、赤白の格子模様のデザインが最も視認性が高かったことから採用された。

また、この津波フラッグは、海外では海からの緊急避難を知らせる旗として多く用いられており、外国人への配慮の観点からも考慮された。

海水浴場での検証の様子(気象庁提供)
検証で用いられた旗のデザインパターン(気象庁提供)

神奈川新聞によれば、神奈川で普及していたオレンジフラッグは1年後には使えなくなる見通しだという。今後は、「赤白の旗がたったら素早く避難」と覚えておく必要がある。

(THE SURF NEWS編集部)

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