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『波のサイズ』はサーファーによってさまざま

シリーズ「おいらはサーファーの味方」⑳

その『サイズ』と『高さ』と『パワー』を私たちはどうイメージしているのか?そして知られていなかった波についての意外なトリビア。


サーフィンを初めたビギナーがとまどうことに『波のサイズ』がある。
例えばTVのニュースでお天気お姉さんが伝える『波の高さ』と、サーファーが認識する『波のサイズ』に大きな違いがあったりするからだ。TVのニュースでは、『今日の波の高さは…』と言うが、それは波というよりも海上のうねりの高さ。サーファーがイメージする『波のサイズ』ではない。しかも「明日の波の高さは1mから1.5mでうねりを伴うでしょう」とちょっと意味がわからないコメントが伴う。
とにかく、そうか1.5mかと期待を胸に弾ませ、翌日に海へ行くとたいてい波はフラット。なんてことが昔はよくあった。21世紀になりテクノロジーの進化は目覚ましいが、それでもお天気お姉さんは、誰の役にも立ってなさそうな波情報を今日も発信している。

波を見てサーファーが考えること、一般の人には海でなにが起きているかわからない。相模湾 photo:RiRyo

さて、サーファーがイメージする『波のサイズ』。それは、波がブレイクするときの高さだと思っていい。つまりスウェルがドーンと盛り上がって崩れるときのサイズをサーファーは目測でジャッジする。

波のサイズは身体をものさしにする。
『くるぶし』からはじまって『すね』『ひざ』『もも』『こし』『はら』『むね』『かた』『あたま』『オーバーヘッド』『あたま半』『タブル』『トリプル』と表す。『ちち(乳首)』なんてジョークっぽく言うときもある。

『あたま』サイズくらいまでは波を小刻みにジャッジングするのが一般的。サーファー同士の会話を聞いていると「腹はあった」とか「いやいやどう考えても腰」「じゃあ腹ちょい」「たまにセット腹」とかなんとか、その高さ数十センチの違いで議論に発展することもある。

波情報のBCMでも『腰腹たまのセット肩』というようなインフォメーションを発信している。センチとかフィートの単位で言われるよりもその方がサーフィンの場合は分かりやすい。BCMに問い合わせたところ身長約170cmくらいを基準の目安にしているということだった。その身長一人分くらいがつまり『あたま』サイズの波でそれを超えると『オーバーヘッド』となる。ダブルは身長二つ分、そして三人分はトリプルでそれを超えるとトリプルオーバーヘッドと呼ぶ。

ちなみに『セット』というのは、その日のアベレージサイズよりも大きい波でいくつかまとまって沖からやってくるスウェル。つまり『スウェル』が複数で連なっているから『セット』。

波のパワーとスピード感がサーファーを虜にする。 photo:RiRyo

繰り返すけれど『波のサイズ』はつまり波の高さだ。でもそこには波のパワーも加味されていると思ってイメージした方がいい。
サーファーが『腰』や『腹』とその微妙なサイズの違いにこだわるのも、サーフボードに伝わる波のパワーの違いを敏感に感じるから。

例えば『腰』と『腹』というおおよそ30センチだけの違いでも波のパワーは変わる。サーファーならばその違いをよく知っている。さらに『肩』そして『あたま』とサイズが増すとまるでサーフボードにエンジンでも付いたかと思えるほどにスピード感は増してゆく。

さて、でもなぜ数十センチの波の高さの変化によって、サーフボードに伝わる波のフィーリングが大きく変わってくるのだろうか?それは波の水量が高さと共に大きく変わってくるからだ。下の図を見ればその違いが理解できる。

これは波のスウェルの断面図。わかりやすいように波を正三角形と仮定しその1つの高さを1mとした。その高さが2倍になると2mだからつまりオーバーヘッド、ところが水の量は4倍となる。さらに3mになるとなんと9倍だ。

波がブレイクするときにこれだけの水が動くのだから、『腰』と『オーバーヘッド』の波のパワーがいかに違うかがわかるだろう。それがダブル、トリプルとなるとパワーは計り知れないほどに増していく。サーファーが波のサイズをイメージするときには、そこに波のパワーも含まれているという理由がこの図で分かる。

さて、サーファーは『波』を中心としたライフスタイルを送っている。それ故に『波』に対するこだわりや表現に一般の人には理解し難いものがある。ビギナーはさまざまな波を経験しながらそのサイズを理解していくが、未経験の波の高さにチャレンジするときはそのパワーは二乗三乗と増していることを理解しておこう。

李リョウ

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