海外遠征前に洋人プロ(左)の体をアロマでケアした母由紀さん

一流サーファー大原洋人&沙莉の母、アロマで次世代支援「子と一緒に成長」

日本人で初めてUSオープン(2015年)を制し、サーフィン日本代表として東京五輪に出場した大原洋人プロ(27)と、ボディーボードで世界王者に君臨する大原沙莉プロ(28)というトップサーファー姉弟の母、由紀さん(50)が4月8日、千葉県一宮町で、アロママッサージ店「aroma Mohara」を開業する。

一流選手を育て上げた経験を基に、若い世代のサーファーらの心身のケアで役に立ちたいという。

嗅覚分析とマッサージ

アロマオイルの香りを確かめる洋人プロ

由紀さんは、オープンにあたって、嗅覚反応分析士とアスリートアロマトレーナー(AAT)の資格を取得。嗅覚の分析でアロマオイルの種類を選び、それを使ったマッサージをするのが一連の流れだ。

AATの認定協会によると、AATには、①筋疲労の回復、②ホルモンバランスなど体内環境の調整、③ストレス、緊張などのメンタルケアを促す効果があり、女子プロサッカーのクラブチームや大学の運動部でも導入されているという。

「3週間前と全然違う」

洋人プロのサーフボードがぎっしり並ぶ部屋に、海外遠征目前の洋人プロがやってきた。「オイルを使うマッサージは筋肉の疲れが取れ、気持ちもすっきりする」と、母の施術を評価。店のオープン前から、由紀さんは洋人プロや沙莉プロにアロママッサージを施してきた。

洋人プロは、8本の小さな容器に入ったアロマの香りを確かめながら、「3週間前とこんなにも違うんだ。前はくっさみたいなのが、今日は全然そう思わない」などとつぶやく。好きな香りから嫌いな香りまでを順番に並べながら、以前との感じ方の違いに驚きを隠せないようだ。

嗅覚分析を基に洋人プロの体の状態について話す由紀さん

嗅覚は五感の中で先入観の影響を最も受けにくく、その反応は心身の状態や情動と強い結びつきがあるとされる。嗅覚反応分析はその特性を生かし、8種類のアロマの順番によって、その人独自のマトリクス図を作成する。

マトリクス図を真四角と比較した時、数値が多いか少ないかで、その時の体の状態や、改善につなげるために必要な健康法、運動法、思考、行動などが分かるという。

洋人プロのマトリクス図。特に右下の数値低い

由紀さんはそれを見ながら「洋人の場合、不眠、腰痛、代謝低下、冷え、むくみ、慢性疲労が気になる」と分析。「朝にジョギングや熱い風呂がいい。食事は根菜やナッツ、白湯も効果的」と助言する。

「心身の状態によって香りの感じ方が変わるから、分析は2、3週間ごとに見直すのが理想的。同じことをやり過ぎると、逆効果になる場合もあるし、対策は正しくても、朝、昼、晩、寝る前で、それを行う時間帯を間違えたら効果が出ないこともある」(由紀さん)

アロマで心も癒すマッサージを

嗅覚分析後にアロマオイルを選定する

次に、分析を基に、今の洋人プロに最適なアロマオイルを選定。「本人の自覚症状を聞き、嗅覚反応分析の結果を加味してアロマを選ぶ。最終的には本人にも嗅いでもらって決める」という。集中力を高めるローズマリー、メンタルを落ち着かせるイランイラン、筋肉痛に効くレモンユーカリなどを使うことになった。

由紀さんは「アロマを使うことで、普通のマッサージよりもリフレッシュやリラックスの作用があるはず。マッサージはプロがいっぱいいるから、その人にぴったりの香りを選ぶことで、体をすっきりさせるとか、精神にもより訴える効果があると思ってる」と話す。

「親になって初めて分かった」

マッサージ中は親子の会話も弾む

洋人プロはマッサージ中、「昨日パドル調子よかったから、肩甲骨、超痛い」と訴えた。由紀さんはすかさず「痛みが強い部位にはディープブルーを使う」と別のアロマを出してきた。

肩甲骨をほぐされながら、洋人プロが子供の頃を振り返る。
「娘ができてから分かることがある。自分の親みたいに10年間を子供のためにしか使わないとか、できるかなって。どこ行きたい、何やりたいとかあったはずだけど、毎日毎日、自分が海に入るのに付き合ってくれた。小学校の時から全部やってくれた。簡単なことじゃないなって」

親になった洋人プロは、いま、サーフィンを頑張るキッズと親の関係について、疑問に思うこともあるという。「海で、親が『なんでできないんだ』って怒ってて、子供が委縮してる。サーフィンを楽しんでいるように見えない。それでうまくなるのかなって。子供の意見を尊重してあげないといけない。ぼくは低学年のころからCT選手になりたかった。日本で育ったCT選手はいない。そのために、親が海外に行かせてくれて、コーチをつけてくれて、必死にやってくれた」

トップサーファーを育てる秘訣

いつも笑顔を絶やさない由紀さん

では、大原親子はどのような関係だったのだろう。どうやって、世界で活躍するサーファーを2人も育てられたのか。由紀さんに秘訣を尋ねると、一言だけ返ってきた。

「自分たちも一緒になって勉強して成長したってことかなあ」

洋人プロの父剛さん(50)は、Youtubeもない時代、サーフィンのビデオやDVDを買い集め、擦り切れるぐらい見て、洋人プロにアドバイスした。由紀さんは洋人プロのライディング映像を撮り続けたという。

「洋人はプロサーファーの子じゃないから、ツテもなくて、冬に暖かい海外に練習に行くとかできなかった。代わりに寒い日本の海に入って『ライバルはいまごろ、トランクスで1日中、海入ってるんだぞ。夏にどれだけうまくなったか披露するんだろ』って鼓舞してた。どんないい成績を残しても、上には上がいるから褒めなかった」

「できなかったことを今の子たちに」

子供とともに成長する親の姿勢がトップサーファーを育てた

由紀さんのアロママッサージには、2人のトップアスリートを育てた母としての視点も加味される。子育てに悩む親やプロを目指す子供たちにも有意義な時間になるかもしれない。

「この人(洋人)が子供のころにできなかったことを、今の子たちにしてあげたい。昔は根性論が主流だったから。サーフィンでも、どんなスポーツでも、筋肉疲労を改善したり、試合前でもマッサージを受けてくれたら落ち着きを与えられるかもしれない。そういう手助けをしてあげられたら。ちょっとでも私の経験を教えてあげられたら」

由紀さんが子供とともに走り続ける姿勢は今も変わらない。

アロママッサージの問い合わせはインスタグラムLINE公式アカウントへ。

(沢田千秋)

All Photos by Chiaki Sawada

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