Photo: Chiaki Sawada / THE SURF NEWS

ベトナムの癒しの海でサーフィン!初心者や初海外サーフにも最適 円安でもホテルやスパで贅沢気分

「海外サーフトリップ」で浮かぶのは、どこの国ですか。オーストラリアやインドネシア・バリ島、ハワイ、米カリフォルニア州などは人気ですね。へっぽこショートボーダーの私もサーフトリップは大好きです。

バリ島は何回も行ったけど、日本人にはあまりなじみがない欧州やアフリカ、中南米でもサーフィンしてきました。そんな私が8月下旬に向かったのはベトナム! 中部のリゾート地ダナンです。

友人たちは口を揃えました。「波あるの?」 実は今年の元旦、南台湾でストームに急襲され、突如発生したデカ波で死ぬ思いをし、夢に出るほどトラウマに。なので、今夏は穏やかな海に行く! その一心だったのです。

初心者に優しい波

穏やかな8月、観光スポットとしても知られるダナンのミーケビーチ Photo: Chiaki Sawada / THE SURF NEWS

波について結論を言うと、3泊5日(帰りは機中泊)の滞在中は少し物足りないサイズでした。しかし、サイズ重視ではないロングボーダーの方や、サーフィンを始めたばかりの方、海外で初めてサーフィンしてみたいという方には、かなりおすすめできます。

水温も温かく、10月までは水着やタッパーでOK。波だけを期待していくと、時期によっては肩透かしを食らうかもしれませんが、ダナンでは、リーズナブルに食や雑貨、スパが楽しめます。東南アジアのエキゾチックな雰囲気を味わいながら、サーフィンも楽しめればいいな、ぐらいの心持ちで行ってみましょう!

円安の味方!? 絶景ホテルがコスパ最強

ベトナムは高温多雨のモンスーン気候です。南北に長いため、気候は北部の首都ハノイ、中部のダナン、南部のホーチミンで微妙に異なります。ダナンは9月~1月が雨季。波のサイズは年末にかけて、だんだんと上がり、台風が来ると荒れ、雨が降ると街からの生活排水が流入し海水も汚れるそうです。

つまり、雨季は波のサイズはあるけれど、天候や環境は残念な感じ。今回、波のサイズには目をつぶり、晴れ渡る海辺のリゾートと優しい波を求めた私が、乾季の最終盤、8月下旬にダナンを訪れたのは正解でした。

上空から臨むダナンの街 Photo: Chiaki Sawada / THE SURF NEWS

成田空港からダナンまで、ベトナム航空の直行便で6時間弱。空港は小さめで入国審査も比較的スムーズでしたが、係官の氷のような対応に、ここが社会主義国だったことを思い出します。

ネット情報でレートが悪いと書いてありましたが、空港の両替店へ。10年以上自宅で寝ていた韓国ウォンをベトナム・ドンに替えました。観光客は日本人より韓国人の方が多いのが現状です。相場は10,000ドンが60円ぐらい。

部屋のコーナーがガラス張りで海と街が見渡せる Photo: Chiaki Sawada / THE SURF NEWS

ホテルは「Yarra Ocean Suites Danang」。ビーチ沿いにそびえる17階建てで、ガラス張りの部屋からは水平線が見渡せます。特に朝日が正面から昇る瞬間は絶景。エアコンはよく効くし、タオルもシーツも清潔な上、虫の1匹もいません。バスタブからも海や街が見渡せます。この部屋が朝食込みで1泊12,000円ほど。

昨今、世界中探しても、この価格でこのロケーション、クオリティが得られるホテルはなかなかないはず。コスパ最強のベトナム。円安に喘ぐ日本人に残された数少ない桃源郷になりつつあるのではないでしょうか。

宙に浮かんでいるかのようなバスタブ Photo: Chiaki Sawada / THE SURF NEWS 

ダナンでの通信手段
日本のAmazonでVietnamobileのSIMカードを事前に購入。毎日5GBが20日間使えて、値段は580円と破格。通話機能なしだが、友人との通話はLINEなどの通信アプリで十分。ダナン到着時、日本で普段使っているSIMロックフリーのスマホに、購入したSIMを差し込み電源を入れるとすぐに使えた。通信環境は良好。動画やLIVE視聴はしていないが、グーグルマップなどの使用時、速度に不満なし。また、だいたいのホテルやお店にはWi-Fiが飛んでいて、店員さんが積極的にパスワードを教えてくれる。

日本人店長がいるサーフショップ

ひっきりなしにゲストが訪れるサーフ・シャック Photo: Chiaki Sawada / THE SURF NEWS

今回、お世話になったのは、ホテルから徒歩5分ほどにあるサーフショップ「Surf Shack Danang」。現地在住の日本人アツシさんが店長を務めています。

このお店は、千葉・太東海岸沿いのレストラン「波音」のシェフでプロロングボーダーのコウジさんと奥様のチカさんにご紹介いただきました。お2人はダナントリップの達人。旅行を検討中の方は一度訪ねてみてもいいかもしれません。

波音で大人気の「海プリン」 Photo: Chiaki Sawada / THE SURF NEWS

サーフ・シャックは2017年にオープン。日本人だけでなく、欧州や韓国からのゲストで賑わったものの、新型コロナウイルス禍で一時休業しましたが、やっと客足が戻ってきたそうです。

最近は毎日、レッスンやレンタルが盛況です。ボードの品ぞろえは豊富で、特にFirewireが充実。購入できる新品の品揃えもベトナム随一といい、この地のサーフカルチャーを支えているようです。

サーフ・シャック2階 Photo: Chiaki Sawada / THE SURF NEWS

「食事、マッサージ、自然、独特なカルチャーがあるので、それらを楽しみながら波乗りできたらラッキーくらいでいらしていただけるとありがたい限りです」と、アツシさん。お店にはシャワーとメイク室もあり、サーフィン後もそのまま観光に繰り出せます。

私もマイボードは日本に残し、チャネルアイランズの浮力系ミニボードをレンタルしました。長さは5’6″ですが、浮力は31.3Lあり、腰ぐらいの波をゆったり楽しむことができました。

波は滞在中、最大で腰サイズでした。白砂のビーチは遠浅で、朝晩はローカルの人々が沐浴しています。水はクリアで、水温は水着サーフに最適なぐらいあったかいのに、千葉や湘南のようにクラゲやチンクイはいませんでした。ビーチ沿いにはホテルが立ち並び、海から臨むロケーションはちょっと感動です。

朝6時、数百人が沐浴する海で、ウェディングフォトを撮るカップルも Photo: Chiaki Sawada / THE SURF NEWS

8月のダナンの気温は東京と同じぐらいか、少し暑いぐらい。ただ、湿度はダナンの方が高いので、まとわりつくような暑さがネック。水分補給は念入りにしましょう。

「楽し過ぎて明日も挑戦する!」

海で印象的だったのは、レッスンの生徒さんたちの楽しそうな笑顔とはしゃぎっぷりでした。どうしてサーフィンはこうも人を無邪気にするんでしょう。アツシさんのほか、日本語が話せるベトナム人スタッフのフイさんらのアドバイスで、みなさん初めてなのに軽々とテイクオフ。ダンパーでなく、優しくきれいに割れるうねりが上達を助けているようです。

サーフィンデビューにもうってつけなダナンの海 Photo: Chiaki Sawada / THE SURF NEWS

初サーフィンを経験した都内在住で40代の会社員アユミさんはこう話していました。

「朝サーフィンして出社する同僚や、サーフィンが好きで引っ越す人を見ていて、そんなに楽しいのかなって、ずっと挑戦してみたかったんです。年齢を重ねると先入観や固定観念が固まりがちだけど、1年に1つは新しいことをしたい!って。でも、日本でサーフィンするにはハードルが高くて。モヤモヤしてたけど、ダナンで勇気を出してレッスンを申し込んだら、終わってほしくなかったぐらい楽し過ぎました。あすも挑戦します!」

アツシさんからアドバイスを受けるレッスン生たち Photo: Chiaki Sawada/ THE SURF NEWS

ローカルフードに雑貨はベトナム色

午後になるとオンショアで波が潰れてしまい、もっぱら観光に繰り出しました。波音のご夫妻やアツシさんおすすめのレストランは「Kenta」と「一寸法師」。いずれも、サーフ・シャックから徒歩数分で、Kentaは日本滞在経験があるご夫妻が営むベトナム家庭料理。一寸法師は日本料理で、両店ともキンキンに冷えたジョッキの生ビールが飲めます。湿度が高いベトナムで生ビールのうまさは、ちょっと別次元。価格は1杯200~300円です。

街中の開け放たれた小さな店では、地元の人々が麺類や焼き飯などのローカルフードを頬ばっています。1皿150円ほど。缶ビールは100円前後です。ちなみに、箸やフォークなどは使用前にナプキンで拭くなどした方が無難。

ダナン内陸の官庁街には小洒落たレストランも。日本人実業家がベトナムを中心に展開する「Pizza 4P’s」は、味もサービスもジャパン・クオリティ。絶品のパスタやピザは1000~1500円程度で、ローカルフードに飽きた観光客でにぎわっています。

ベトナムと言えば、かわいい雑貨たち。おすすめは、サーフ・シャックに近い「Table Produce」と、内陸の街中にある「Hoa Ly」で、いずれも日系スタッフのセンスが光ります。友人たちへのお土産に調味料を大量購入したり、家畜のえさ袋をリメイクしたノートPCケースなどを購入しました。

ダナンでは、スパも大変リーズナブル。ハイリー・リコメンドは、サーフシャックに近い「Vela Spa」。フィリピンのボラカイ島で経験して以来、大好きなストーンスパと1時間のオイルマッサージが、なんと1700円ほどで受けられます! これも、世界レベルのコスパの良さ。終わらないで~と心から思ったほど気持ちよく、施術後に出してもらったお茶とマンゴーも最高でした。

ベラ・スパの店内 Photo: Chiaki Sawada / THE SURF NEWS 

戦後復興からサーフリゾートへ

ベトナムでのサーフィンは、ベトナム戦争時に米兵が持ち込んだと言われています。かの有名な映画「地獄の黙示録」のシーンは印象的ですね。ベトナム戦争では、多くの命が失われ、国民の平均年齢は31歳と非常に若いです。

ダナンの博物館を訪れ、約50年前の凄惨な写真を見るにつけ、今の美しい海辺の風景のありがたみを実感せずにはいられませんでした。

ダナン博物館にあるベトナム戦争時のナパーム弾 Photo: Chiaki Sawada / THE SURF NEWS

サーフィンは戦争とともにベトナムにやってきましたが、今、ダナンの発展に寄与する可能性を秘めているように感じます。ローカルサーファーも少しずつ増えているとのこと。生活排水の問題など、課題は残っていますが、国際大会が開催されたり、サーフ産業が上陸する余地は十分にあり、一大サーフリゾートになるポテンシャルさえ感じました。今後のダナンのサーフカルチャーの進化に注目です。

コロナ禍で開催中止となったが、2020年にはJPSAのロングボードツアー最終戦も予定されていたダナン Photo: Chiaki Sawada/ THE SURF NEWS
色とりどりの野菜が並ぶローカル市場。ダナンには田舎と都会の風景が混在する Photo: Chiaki Sawada/ THE SURF NEWS
ベトナムでの移動手段
ベトナム旅行で「Grab」アプリは必須。バイクや車の配車、食べ物の宅配サービスで、ベトナム版Uber。ドライバーが飽和状態にあるのか、呼ぶと1分ほどで乗車場所に迎えてきてくれる。実際使用した際の運賃は、バイクの後ろに乗るスタイルが5kmで33,000ドン(約200円)、乗用車だと同距離で89,000ドン(約540円)。クレジットカードを登録しておくと、到着してすぐに清算終了。アプリには支払い履歴も残り安全で便利。

「Grab」ドライバーはみな緑色のユニフォーム。バイク移動はスリル満点 Photo: Chiaki Sawada/ THE SURF NEWS

(沢田千秋)

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