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ジャングルで育った子が世界の舞台へ!ブリッサ・ヘネシーの栄光と苦悩

パリ五輪のサーフィン競技に出場する男子24名、女子24名。合計48名の中でも最もドラマチックな人生を歩んできた一人がコスタリカ代表のブリッサ・ヘネシーだろう。

現在24歳の彼女は8歳までコスタリカの電気もないジャングルで育ち、サーフィンスクールを行なっていた両親の元で3歳でサーフィンを始めた。
その後、オアフ島に移住してジュニア時代はハワイ代表でISAのワールドジュニアU18ガールズの2連覇を達成。
2018年にコスタリカ人として初のCT入り、東京五輪にはコスタリカ代表として出場を果たした。
2022年はサンセットビーチでCT初優勝、タヒチで2位とキャリア最高の結果を残した。
そして、2024年は優勝こそないものの、7戦中5戦でSF以上と好結果を重ね、チョープーでは2位。現在ランキング3位。
パリ五輪にもコスタリカ代表として2大会連続で出場する。

一見、「ジャングルで育った子が世界の舞台へ!」という華やかなキャッチフレーズが似合う人生だが、その裏には多くの苦悩があったのだ…。

摂食障害となった10代

まず、最初の苦悩はハワイに引っ越した幼少時代。
それまで孤立したジャングルで育った彼女は移住したハワイでの生活のギャップに衝撃を受けた。
更にコンテストで成功したジュニア時代は水着でメディアに露出するという他スポーツよりもルッキズムを求められることにストレスを感じ、16歳頃から3年間も摂食障害となり、2年間生理が止まったこともあった。

このルッキズムの流れは現在も続いており、彼女は自身のInstagramで自分の経験した苦悩を共有して一人でも多くの女性サーファーを助けようとしている。

PHOTO:© WSL/Heff

キャリア最高のシーズンから転落した2023年

ブリッサがCT入りしたのは2019年。
体調が安定し始めた19歳の時だった。
コスタリカ人初のCTサーファーとして注目を集め、東京五輪を経て2022年はサンセットビーチでCT初優勝、タヒチで2位とキャリア最高の結果を残し、ワールドタイトルを争う「WSL Finals」に進出。
キャリア最高の5位でシーズンを終えた。

しかし、シーズン後に彼女の身体がサーフィンを拒絶してしまった…。

甲状腺機能低下症、うつ病、EBウィルスと診断されたが、彼女はもっと重大な問題だと感じてMRI検査を受けたところ、脳下垂体の良性の腫瘍が見つかったのだ。
これが身体の基本的な機能を低下させていたのが原因と分かったが、リスクがある手術を行わず、薬物療法と生活習慣の改善。ヨガなどで回復を目指し、2023年はシーズン後半を休んだ。

その結果、サーフィンに対する情熱が戻り、2024年は優勝こそないものの、7戦中5戦でSF以上と好結果を重ねており、最終戦前のランキングは3位とファイナル5入りの可能性が高い。
更にパリ五輪の会場であるチョープーでは参加した2大会連続でファイナル進出の2位と優勝候補の筆頭と言える結果を残している。

もし、彼女がパリ五輪でメダルを獲得すれば、コスタリカ初の水泳以外のメダル並びに20年以上ぶりのメダルになる。

(タヒチ戦では参加した2大会連続で2位)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane

詩人として

幼少の頃からストレスを抱えていたブリッサは自身のセラピーとして詩で感情を表現している。

Instagramのプロフィールの詩
“Breathe in the mountains and breathe out flowers.”

直訳すると「山の空気を吸い込んで、花を吐き出す」

これは自然とのつながりを表現しており、山の新鮮な空気を吸い込むことで得られる活力や平穏を体現し、その結果として、美しい花のような感情や創造力を外に表現する。そんなポジティブな意味が含まれているのだろう。

(空海)

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