PHOTO:© ISA

ブレット・シンプソンがオリンピックUSAチームのコーチ業と金メダルのプレッシャーについて語る

新型コロナウイルスの影響で1年延期された東京2020オリンピック。
すでに2021年のスケジュールも発表され、選手や関係者はここから一年後に標準を合わせて動くことになる。

今回はWSLが行なったオリンピックのメダル大国アメリカのコーチを務めるブレット・シンプソンのインタビューを翻訳。

オリンピック代表のジョン・ジョン・フローレンス、コロヘ・アンディーノとは5年前まで戦っていた相手であるが、今は指導する立場にある。
自らもCTで6シーズン過ごし、『US Open』で2連覇も達成した彼は世界最大の舞台にアメリカのベストサーファーを送り込む資格を十分に持っていると言えるだろう。

(ブレット・シンプソン)
PHOTO:© WSL/Rowland

オリンピックのコーチをしている今を5年前に想像出来た?

信じられないね。ツアーから引退して最初はこれから何をすれば良いのだろう?と思っていたんだ。その後も数年はQSを回っていたけど、気持ちが離れていたのさ。本気で自分の次の人生を考えなければいけなかった時だった。

私は本当にサーフィンの全てを愛しているから、コーチングは自然に受け入れることが出来たんだ。最初は若手と一緒に仕事した。長年のコンテスト経験のおかげで、彼らに多くの洞察力を提供出来ると感じたんだ。

ツアーでは多くの失敗をしたけど、そこから多くのことを学んだ。それがこの新しい役割に本当に役立っているよ。ツアーに参加していた時は自分の方法で色々なことをやりたかった。でも、いつも上手くいくとは限らなかったけどね(笑)

アメリカのベストサーファー4名がオリンピックのコーチにあなたを選んだ時は感激したでしょうね

そうなんだ。感激だったよ。
ここ数ヶ月、彼らと連絡を取り合っている。
まだ一緒に仕事はしていないけど、時間が経ったらチームの相性を高めたい。
それまでは少しずつお互いのことを理解していこうと思っているよ。

彼らは世界最高のサーファーであり、コンペティターだから、ヒート戦略はコーチングの最優先事項ではないでしょう。あなたの最も重要な役割とは?

それはもっと一緒にいる時間が増えれば分かることだと思う。あなたが言ったように、彼らは世界最高峰のサーファーなので、目先の仕事はある意味簡単と言えるのかもしれない。

私は彼らにどうサーフィンするべきかやどう戦うべきかについて指示するわけではない。それよりも彼らが勝てるようにベストな環境を用意することが重要だと考えている。
つまり、彼らの道具やメンタルゲームをチューニングし、その日をどう過ごすかという戦略を立てたりする。それには、それぞれの選手の強みと特徴に合わせることが必要なんだ。

(アメリカチーム最年少のキャロライン・マークス)
PHOTO:© WSL/Poullenot

ジョン・ジョンとカリッサはすでにワールドタイトルを持っている。コロヘとキャロラインは一歩手前まで迫っている。オリンピックの金メダルはワールドタイトルに匹敵する?

ワールドタイトルを獲得して世界の頂点に立ったジョン・ジョンとカリッサにとって、今は金メダルが全て。
コロヘとキャロラインに聞いたら、恐らくワールドタイトルが一番の目標で、五輪の金メダルはそのすぐ次だと言うと思うよ。
とても素晴らしいのは、来年それぞれが両方の名誉を短期間で達成出来るチャンスがあるってことさ。

(ジョン・ジョン・フローレンス)
PHOTO:© WSL/Cestari

それは良い視点。夏のオリンピックと2021年9月のWSLファイナルに向けて多くのプレッシャーがかかるよね

確かに。
難しいことだけど、それらを全てナビゲートすることが私の別の役割でもあるよ。

(カリッサ・ムーア)
PHOTO:© WSL/Craig

日本のコンディションについてどのように考えている?

イベントが行われる場所の波は完璧ではなく、アメリカ東海岸や、南カリフォルニアのビーチブレイクのような波になるでしょう。そこではハイパフォーマンスなマニューバーが必要になるけど、4人共にそれが可能だよ。
金メダルのチャンスが十分にあるチームと言えるね。

しかし、他にも強く才能あるチームがあるから、自分達の得意な波を選ぶ必要があるし、勝つためにダイヤルを合わせる必要がある。今はそれに取り組んでいるんだ。

勝つためには細部にまで気を配ることが重要さ。特に彼らは日本のオリンピックの直前にJベイのイベントが控えているから、すぐにギアを切り替えられるように精神的な部分の準備もしておかなければいけない。
オリンピックの前には小波用のボードに全力で合わせないとね。

(コロヘ・アンディーノ)
PHOTO:© WSL/Sloane

チームUSAのコーチを務めたことで得られるものとは?

私は自国を愛しているし、選手のことも大好き。彼らのためにベストを尽くしたいというのが私の原動力なんだ。

このオリンピックはサーフィン界初のことで、誰かが初の金メダルを手にすることになる。私はいつもオリンピックを見ると夢中になり、国同士が競い合う様子や、その激しさに興奮しているよ。
オリンピック全てが大好きだし、アスリートも同じ気持ちだと思う。大きなプライドを持ってこのオリンピックに挑むつもりさ。

正直に言うと緊張もしているんだ。面白いし、新たなことだし、今までとは大きく違うものになるだろうね。ワールドツアーのイベントは友人や家族が参加することが出来るのに対して今回はもっと閉鎖的な形になるでしょう。
それはいつもの環境と異なり、私とアスリート、数人の選ばれた人達だけのチームでロックされることになる。だから、精神的にも準備が必要なんだ。

全ての準備が整えば、実際に海で競い合うことに少しも心配はしていないし、私達には凄いチャンスがあるよ。

参考記事:Brett Simpson Talks Gold Medals And Nerves As New U.S. Olympic Coach|World Surf League

(空海)

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。