(ベテラン台頭の1日を締めたジョアン) PHOTO:© WSL/Thiago Diz

『MEO Rip Curl Pro Portugal』4日目 ベテラン勢の日

現地時間3月12日、ポルトガル西部・ペニシェ「Supertubos」を舞台としたCT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』はファイナルデイを迎える予定だったが、公式3-4ftレンジと前日に比べて大幅にサイズダウン。ウィメンズのQF終了後、潮の引きにより中断。残念ながらオンショアが強まり、サイズダウンが進んだため、この日は再開されることなく、翌日以降に持ち越しになった。

4ヒートだけ進行した大会4日目は若手が活躍したシーズン序盤と一転、ベテラン勢が強い1日だった。

タイラーがスランプを脱出

(タイラー・ライト)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz

Roun of 16終了後のインタビューで長い間苦しんでいる健康問題とそれを克服するためのオフシーズンの治療について話していた2xのタイラー・ライト(AUS)はガブリエラ・ブライアン(HAW)との接戦を制して今シーズン初のSF進出を決めた。

「ヒート前に練習するには早過ぎてまだ薄暗かったので、ストームが来る前に数日間行ったフリーサーフィンの時に地形が良かった場所を狙ったのよ。ガブリエラは手強い相手で、パワフルなサーフィンをする選手でもある。だから良い波をできるだけ選んだの。バックハンドも頭を使って堅実にやったわ」

故郷オーストラリアレッグの2戦を前に良い結果を残したいタイラーにとって大きな勝利となった。

ポルトガルに強いタティアナ

(フロントサイドが映えていたタティアナ)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

2022年のポルトガル戦の覇者、タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)は今シーズン台頭している若手の一人、ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)に勝利。
タティアナはペニシェで開催されている4度の大会で全てSF以上をメイクしている選手でもある。

(この後、ドギードアでバレルから出たサクラだったが…)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

「ベストウェーブだけを狙い、ミスしないように心がけたわ。終了のホーンが鳴るまで勝負は分からないと思っていたわよ。呼吸を整えて自信を持ちながら相手に隙を与えないような戦略を使ったの」

このヒートではレフト狙いのタティアナがフロントサイドで確実にスコアを伸ばして主導権を握っていた。
サクラは新しいシェイパーであるブリット・メリックが見守る中、逆にフロントサイドになるライトとレフトの両方に乗っていた。決して悪い内容ではなく、最後にバレルに入ったサクラだったが、完璧なメイクとはみなされず、スコアは伸びなかった。

レイキーがカットラインを脱出

(ヒート前のレイキー)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz

全てがクロスゲームだった4ヒートの中でも最も激しかったのはレイキー・ピーターソン(USA)とキャロライン・マークス(USA)のカードだった。

カリフォルニア vs フロリダ、ベテラン vs 若手、レギュラー vs グーフィーと対照的な二人の勝負はビーチブレイクでは最高レベルの面白い展開となり、ラスト1分を切ってからレフトの波に乗ったレイキーが渾身の力を込めたバックハンドでブザービーターを決めた。

(最後のバックハンドで逆転したレイキー)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

「何度技をかけても失敗ばかりでイライラしていたわ。ロータイドの影響でファーストターンをした後にすぐにスープになって崩れてしまうので、セカンドターンを入れるのが難しかった。必死に波を探して疲れたけど、パドルアウトの距離は短かったので、諦めずに頑張ったわ。勝てて嬉しいし、このまま調子を維持したい。サーフィン自体は悪くないと思うので、次のヒートではもっと安定させたいわね」

開幕戦を最下位で終えた後、第2戦は5位とリカバリーしたレイキー。
今回のSF進出でLIVEランキングは10位から9位に浮上、ミッドシーズンカットのラインは脱出している。

ジョアンがベテラン勢の台頭を締めくくる

(バックハンドでスコアを伸ばしたジョアン)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

ハワイレッグの2戦を5位で終えたジョアン・ディファイ(FRA)は同じヨーロッパのポルトガルでルアーナ・シルヴァ(BRA)を抑えて3位以上を確保した。
バックハンドでのバーディカルでパワフルなターンが勝負の決め手となった。

「接戦だったわね。今日のような波だと何が起こるか分からないし、波の後ろから相手が何をしているかも見えづらいので、最後に技をかけてこないように祈るばかりだった。ハワイ、プエルトリコと忙しく年初を過ごしてきたので、昨日休んでリフレッシュできたのは良かったわ。一日一日を大切に戦いたい」

(ルアーナは5位でフィニッシュ)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

ジョアン然り、ルアーナ然り、パリ五輪出場に関係するCT選手はハワイレッグの後、プエルトリコでのWSGを挟んでポルトガル入りと強行スケジュールになっている。

たった1日の休みでも重要になるのが世界トップのアスリートなのだ。

ちなみにWSGで同じフランスチーム、パリ五輪の出場権も獲得したジョアン・ドゥルーがワイルドカードで出場してQFに勝ち上がっている。

ネクストコールは現地時間3月13日の朝7時(日本時間16時)

MEO Rip Curl Pro Portugal Women’s Semifinals Matchups:
HEAT 1: Tyler Wright (AUS) vs. Tatiana Weston-Webb (BRA)
HEAT 2: Lakey Peterson (USA) vs. Johanne Defay (FRA) 

MEO Rip Curl Pro Portugal Men’s Quarterfinals Matchups:
HEAT 1: Jake Marshall (USA) vs. Crosby Colapinto (USA)
HEAT 2: Ethan Ewing (AUS) vs. Ramzi Boukhiam (MAR)
HEAT 3: Gabriel Medina (BRA) vs. Leonardo Fioravanti (ITA)
HEAT 4: Griffin Colapinto (USA) vs. Joan Duru (FRA)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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