(インド初のWSLイベントのファイナリスト) PHOTO: © WSL/Tim Hain

脇田紗良&岩見天獅が優勝!インド初のWSLイベントQS3,000『Tamil Nadu International Surf Open』

パンデミックが終わり、世界中でQSイベントの開催が増加している2023年。

アジアリージョナルも今年は複数のイベントがすでに終了して8月後半には静岡の御前崎、その他、フィリピン、台湾、韓国のウェーブプールが控えている。

そんな中、世界的にも注目を集めたのがインド発のWSLイベント、QS3,000『Tamil Nadu International Surf Open』
インド、スリランカ、モルディブ、オーストラリア。そして日本からサーファーが集まり、インド南部タミル・ナードゥ州のライトのポイントブレイク、マハーバリプラムビーチを舞台に数日間争われ、現地時間8月19日に全てのスケジュールが終了した。

脇田紗良が松田詩野とのデットヒートを制する

(脇田紗良)
PHOTO: © WSL/Tim Hain

初めにアジアリージョナルからのCSのステップを説明すると、2024年CS枠は2023年4月から2024年3月までに開催されたイベントのトップ5がカウントされ、メンズ6名(上位5名と1名のワイルドカード)、ウィメンズ4名(上位3名と1名のワイルドカード)の枠が用意されている。
年を跨ぐためにややこしくなるが、この期間を2023/2024QSとしてCTクオリファイに繋がる僅かな枠を日本、インドネシア、フィリピンなどの選手が争うことになる。

(松田詩野)
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QS3,000『Tamil Nadu International Surf Open』のウィメンズサイドは20歳同士のライバル、脇田紗良、松田詩野がファイナリストに選ばれ、松田詩野が先行。
ライトのマハーバリプラムビーチの波に対してバックハンドとなる松田詩野のサーフィンはイベントを通してスコアが高く、ファイナルでも際立っていた。
一方、フロントサイドの脇田紗良もリズム良く、6.00と7.50でトータル13.50をまとめてニード8.50まで引き離す。
後半、追い込まれた松田詩野はセットの波で8.10を出し、もう一本の波で逆転のチャンスもあったが、スコアは届かず、脇田紗良が今シーズンQS初優勝を決めてランキングでも3位に浮上した。

「本当に厳しいファイナルでした。詩野との対戦は予想していました。彼女は同い年で、サーフィンを始めてからずっとライバルなので、ファイナルを戦えて嬉しかったです。互いに波に乗りながら良いスコアを出すことができました。インド初の歴史的なWSLイベントで優勝できたことは素晴らしいですね。新しい経験もできました。インドに感謝します」

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岩見天獅が逆転でQS初優勝

(岩見天獅)
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メンズサイドは東京五輪の会場だった志田下をホームとする岩見天獅とスウェーデン出身ながらバリ在住でアジア枠として参戦しているキアン・マーティンがファイナルを争った。
序盤からキアンはフルスロットルでスコアを重ねて主導権を握り、ブローテール・エアーリバースのメイクなどで7ポイント台を2本まとめていた。
一方、岩見天獅は波選びに苦戦してワイプアウトするなどリズムが乱れていたが、後半に7.55を出して差を縮めることに成功。
終盤、プライオリティを持っていたキアンが岩見天獅を執拗にマークしてポテンシャルがありそうな波にテイクオフするが、それが裏目となり、キアンの次に波に乗った岩見天獅がビッグマニューバーで8.75をスコア。ジャッジによっては9ポイントも出したエクセレントライドで見事に逆転勝利を決めた。

(キアン・マーティン)
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「8.00というハイスコアが必要でしたが、波に乗れればいけると思っていました。最後、2本のセットが入った時、マークしていたキアンが最初の波に乗ってくれと願っていました。自分は2本目の波の方が良いと思っていたんです。そして、次の波に乗りました。乗っている時は本能のままで、何をしたかあまり覚えていません。アウトでスコアを待ち、逆転したと聞いた時は興奮しましたね。初めてのQS優勝なので、忘れません。インドの波、人々、食べ物、文化。全てが本当に素晴らしいと感じています」

18歳の岩見天獅は今回の優勝でランキング3位に浮上。
まだジュニア枠の年齢ながらCS出場の可能性も十分にある。
ちなみに脇田紗良と岩見天獅は鵜沢清永氏の「kiyouzawadesign」サーフボードに乗っており、今回ダブル優勝となった。

PHOTO: © WSL/Tim Hain
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次のQSアジアリージョナルは8月24日~28日に御前崎で開催されるQS1,000『Omaezaki Pro』

QS3,000『Tamil Nadu International Surf Open』結果
1位 岩見天獅(JPN)
2位 キアン・マーティン(SWE)
3位 小濃来波(JPN)、クトゥ・アグース(IDN)
5位 大音凛太(JPN)、安室丈(JPN)、田中大貴(JPN)、加藤翔平(JPN)

ウィメンズ
1位 脇田紗良(JPN)
2位 松田詩野(JPN)
3位 中塩佳那(JPN)、佐藤李(JPN)
5位 松永莉奈(JPN)、トゥリー・スターリング(AUS)、大村奈央(JPN)l、都築虹帆(JPN)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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