(15歳のエリンに降りかかった国籍騒動) Photo: ISA/Pablo Franco

カナダ代表でWSG銀メダルを獲得したエリン・ブルックスの国籍騒動とは?

東京五輪で初めてサーフィンがオリンピックの競技として採用されてから五十嵐カノアや前田マヒナ、タティアナ・ウェストン・ウェブなど国籍の登録を変更したサーファーがいるが、次のパリ五輪にカナダ代表として出場を目指しているエリン・ブルックスのケースはある理由から難しくなっている。

エリンは15歳ながら、エルサルバドルで開催された『2023 Surf City El Salvador ISA World Surfing Games』で銀メダルを獲得した特別なサーファー。
アメリカ大陸のオリンピック出場枠を決める『2023 Pan American Games』の出場枠にも入り、順調にオリンピッククオリファイに近づいていたが、ISAが市民権申請が未承認という理由でカナダ代表としての出場資格を停止したのだ。

カナダ代表としての競技参加資格停止の経緯

(これからのウィメンズサーフィンの先導役になるだろう逸材のエリン)
Photo: ISA/Jersson Barboza

エリンはアメリカ・テキサス州生まれのハワイ育ち。

アメリカとカナダの二重国籍を持つ父がエリンをカナダ代表として出場させるため、カナダのオリンピック委員会とサーフィンカナダの協力で市民権申請の手続きを進めていた。
これを保証にISAは当初要請を承認したが、実際にはISA執行委員会、ISA会長の適切な協議なしに承認されていたのだ。

ISA執行委員会はエリンの市民権が未承認という段階での決定をISAルールに適合していないと結論を出し、カナダ代表としての競技参加資格を停止すると発表した。

その一方で、カナダのスポーツ機関がカナダ政府から市民権を証明する文書を提出できるようになれば、ISAのルールに則り、カナダ代表としての出場資格を再検討するという前向きな発表もしている。

過去のISAイベントへの影響

(WSGで銀メダルを獲得したエリン)
Photo: ISA/Pablo Jimenez

今回のエリンの国籍騒動は個人だけの問題ではなく、カナダ代表にも影響を及ぼしている。

ISAのアップデートによると今回のエリンのケースはISAイベントの個人的な結果においては適用されず、獲得したメダルやランキングは保持するが、カナダに関連するポイントは取り消しになるとのこと。

また、『2023 Pan American Games』と8月にバリ島で開催される『ANOC World Beach Games』のエリンの出場枠はアメリカ大陸の次のランキングの選手に割り当てられることになる。

今回のケースは個々のアスリートの責任ではないため、ISAはこれが法的に適切な決定であり、すべての関係者にとってポジティブな解決策。公正かつ透明な結果を確保していると公表している。

エリンは来年に迫ったパリ五輪の出場枠にふさわしく、メダル獲得の可能性も十分にあるサーファーだけにこの問題が解決することを多くの人が望んでいることだろう。

ISA公式サイト:https://www.isasurf.org/

(空海)

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