(完全優勝を果たしたフランス)Photo: ISA/Pablo Franco

『ISA World Longboard Championship』フランスが完全優勝を成し遂げる!

国を挙げてサーフシティを掲げ、過去5年間で3度のISAイベントと他にもWSLの舞台にも選ばれ、なによりその波のクオリティの高さから今や世界中のサーファーの目的地となっているエルサルバドル。

ISAでは4度目となるイベント、『ISA World Longboard Championship』が1週間に渡って行われ、現地時間5月13日に全てのスケジュールを終えた。
WSLではアメリカ、ハワイ、オーストラリアがロングボードの三強と言われているが、ISAでは2019年の前回大会で優勝したフランスやペルーなどが強く、今年は新参のフィリピンの活躍も目立っていた。

ちなみにWLTの主要メンバーは同期間にブラジルで開催された『Vans Duct Tape Invitational』に参加していた。

浜瀬海と吉川広夏が7位

今大会、日本代表の浜瀬海と吉川広夏の2名が最終日に残り、共にリパチャージR7で敗退。
両者共に7位、国別では6位とメダル獲得には届かなかったが、連日たくさんの勇気や感動を与えてくれた。

(吉川広夏)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(吉川広夏)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(同じアジアのフィリピンチームとハグを交わすピロタン)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(浜瀬海)
Photo: ISA/Pablo Jimenez

完全優勝を決めたフランス

(優勝したフランスのアリス・レモーン)
Photo: ISA/Pablo Franco

イベント期間中、安定してグッドコンディションに恵まれていたライトのポイントブレイク、エル・スンザルは最終日も公式4-5レンジと十分なサイズでロングボードの世界一を決めるのに理想的な舞台となった。

連覇を狙うフランスは特に波が上がったイベント期間後半にハイスコアを量産していたアントワーヌ、エドゥアルドのデルペーロ兄弟が2大会連続でファイナルに進出してアントワーヌが金メダル、エドゥアルドが銅メダルを獲得。
更にウィメンズではディフェンディングチャンピオンのアリス・レモーン、ゾエ・グロスピロンがファイナルに進み、アリスが2連覇を達成した。
もちろん、フランスは国別でも2位のブラジルを大きく引き離し、ダントツのポイントで金メダルを獲得。
アントワーヌは3度目、アリスは2度目の金メダル獲得となり、共にISAの最多記録と最終日は完全にフランスの日となった。

「私はこのスポーツが大好きよ。2度目の世界選手権制覇は本当に嬉しい。フランス、レユニオン島のためにメダルを獲得できて誇りに思う。夢が叶ったわ。ロングボードは世界で最も美しいスポーツの1つだと思う。ボードの上で踊るように滑ることができるからね。フロー、コネクション。ここにいるすべてのアスリートがオリンピックに出場し、私たちの美しいスポーツを代表することができたら素晴らしいことだわ」

アリスのコメントにもある通り、2028年ロス五輪でロングボードが種目として採用される可能性がある。
今イベントはISAが申請してから初の開催で、33カ国から118名と過去最多のアスリートが集まり、エル・スンザルの素晴らしい波で最高の戦いが連日行われ、オリンピックの見事なモデルケースになった。

(アリス・レモーン)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(アリス・レモーン)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(2位のマリア・レイエス)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(3位のクロエ・カルモン)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(4位のゾエ・グロスピロン)
Photo: ISA/Jersson Barboza

アントワーヌ・デルペーロが逆転で金メダル獲得

(フランスのアントワーヌ・デルペーロが3個目の金メダルを獲得)
Photo: ISA/Pablo Franco

メンズサイドではブラジリアンでは珍しいほどの優雅なスタイルで多くのファンを獲得したブラジルのカルロス・バイーアが8ポイントを出してファイナルをリードしていたが、最後にアントワーヌが逆転に成功。3位にはエドゥアルド。そして、4位にはフィリピンのロジェリオ・エスキベル・ジュニアが入った。

「信じられないほどの感覚だね。この1週間、ずっとメダルのことばかりを考え、ヒートを勝ち上がってきたんだ。最後に金メダルを獲得して全てのプレッシャーから解放されたよ。このISAの世界選手権はチームメイトと共有できる良い経験になる。それが一人で戦う他の大会と全く違う点なんだ。チームと一緒に戦うことで、限界を引き上げるエネルギーが生まれてくるのさ」

(アントワーヌ・デルペーロ)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(2位のカルロス・バイーア)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(3位のエドゥアルド・デルペーロ)
Photo: ISA/Jersson Barboza

フィリピン初のメダル

(ロジェリオ・エスキベル・ジュニア)
Photo: ISA/Pablo Franco

ラ・ウニオンというロング向けの完璧なライトブレイクを抱えるフィリピンは今大会で一番のダークホースとなった。
2023年1月に開催されたWSLイベント『La Union International Pro』でも優勝していたロジェリオ・エスキベル・ジュニアが並み居る強敵を倒してファイナル進出。
フィリピン初のメダル獲得に成功、国別でも日本を上回る4位とアジア最高位になったのだ。

「メダルを獲得は自分にとっても嬉しいことだけど、特にフィリピンにとって特別なこと。次の大会が楽しみだね。もっと練習して更に強くなって戻ってくるよ」

(ロジェリオ・エスキベル・ジュニア)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(ロジェリオ・エスキベル・ジュニア)
Photo: ISA/Pablo Jimenez
(ロジェリオ・エスキベル・ジュニア)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(ロジェリオ・エスキベル・ジュニア)
Photo: ISA/Jersson Barboza

『Pan-American Games』

今大会はチリのサンティアゴで開催されるアメリカ大陸の選手権、2023年の『Pan-American Games』のクオリファイも兼ねていた。

決定した選手は以下。

【メンズ】
ジュリアン・シュワイザー(URU)
ブノア’ピッコロ’クレメンテ(PER)
コール・ロビンズ(USA)
マルティン ペレス(ARG)
ラファエル コルテス(CHI)
アンソニー フローレス(CRC)
アマド アルバラード(ESA)
アグスチン セデーニョ(PAN)
カルロス・バイーア(BRA)

【ウィメンズ】
マリア・フェルナンダ・レイエス(PER)
リヴ・ストークス(CAN)
サマンサ・ウィルソン(CHI)
リア・レイエス・ディアス(CRC)
シンディ・ポルティージョ(ESA)
イアナ・ラミレス(PUR)
イネス・ベイソ(URU)
ケイトリン・ミケルセン(USA)
クロエ・カルモン(BRA)

『ANOC World Beach Games』

今大会は加えて8月5日~12日にインドネシア・バリ島で開催される海に関連するスポーツの大会、第2回『ANOC World Beach Games』のクオリファイも兼ねていた。

参加国は以下。

【メンズ】
アルゼンチン
ブラジル
フランス
日本
ペルー
フィリピン
ポルトガル
南アフリカ
アメリカ

・大陸枠
モロッコ
コスタリカ
台湾
スペイン
ニュージーランド

【ウィメンズ】
サモア
オーストラリア
ブラジル
カナダ
フランス
日本
ペルー
フィリピン
南アフリカ
アメリカ

・大陸枠
メキシコ
台湾
スペイン
ニュージーランド

次は6月のWSG

次回のISAイベントは同じエルサルバドルで開催。
5月30日から6月7日にパリ五輪の選手選考も兼ねたWSGが行われる。

『2023 ISA World Longboard Championship』結果
団体総合結果
1位 フランス
2位 ブラジル
3位 ペルー
4位 フィリピン
…6位 日本

メンズ個人結果
1位 アントワーヌ・デルペーロ(FRA)
2位 カルロス・バイーア(BRA)
3位 エドゥアルド・デルペーロ(FRA)
4位 ロジェリオ・エスキベル・ジュニア(PHL)
…7位 浜瀬海
…29位 北村健一

ウィメンズ
1位 アリス・レモーン(FRA)
2位 マリア・レイエス(PER)
3位 クロエ・カルモン(BRA)
4位 ゾエ・グロスピロン(FRA)
…7位 吉川広夏
…33位 北村亜希子

ISA公式サイト:https://www.isasurf.org/

(THE SURF NEWS編集部)

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