2019年JPSAグランドチャンピオン

2019年JPSAショートボードシリーズ終了!グランドチャンピオンは河谷佐助&須田那月

昨年の全8戦と比べると1戦少なかった2019年JPSAショートボードシリーズ。
男子、女子共に初優勝の選手が多く、グランドチャンピオンも男女共に自身初となった河谷佐助と須田那月が獲得した。全7戦をダイジェストで振り返る。

開幕戦『ガルーダ・インドネシア/旅工房 ムラサキプロ supported by 秀吉内装』

クラマスはさすがのクオリティ

今年も開幕戦はバリ島のクラマスが舞台。
4月に開催された『ガルーダ・インドネシア/旅工房 ムラサキプロ supported by 秀吉内装』は素晴らしいコンディションの日もあり、CTの会場にも選ばれているほどのクオリティの高さを証明。

男子はディフェンディングチャンピオンの安井拓海、大橋海人、澤村康生、河谷佐助がファイナルに残り、後半に際どいセクションでのターンをメイクした安井拓海が8.00のハイスコアを出して圧勝。
見事2連覇を達成した。

女子は宮坂麻衣子、都築虹帆、庵原美穂、トライアルから勝ち上がってプロ資格を得たばかりの丸山千明。
バックサイドの宮坂麻衣子がパワフルなターンを連発して圧勝。
2位に入ったまだ中学3年生の都築虹帆が河村海沙コーチの元、後に今年のJPSAをリードすることになる。

第2戦『夢屋サーフィンゲームス 田原オープン』

6年ぶりの優勝を決めた田中英義

4月に開催された開幕戦から3ヶ月、7月下旬に開催された第2戦『夢屋サーフィンゲームス 田原オープン』の舞台は愛知県の田原市、通称「伊良湖」

2018年は台風の接近に伴い延期となり、今年も台風6号が和歌山沖で発生してクローズアウトした日もあったが、、予備日を使用して無事に終了。
台風のコースが悪かったため、一転してファイナルデイはスモールコンディションでの戦いを制したのはベテランの田中英義。女子は2017年にプロ資格を得たばかりの15歳、川瀬心那。

田中英義は若手を相手に逆転劇で6年ぶりの優勝。
逆に川瀬心那はベテランの庵原美穂などを抑えての初優勝を決めた。

第3戦『ALL JAPAN PRO 新島』

新島では須田那月が怪我から復活して4年ぶりのJPSA優勝

第3戦は8月に新島の羽伏浦で開催された『ALL JAPAN PRO 新島』

メイン会場の羽伏浦は近年地形が深く、シークレットでの開催が多かったが、今年は超大型まで発達してお盆休みに大きな影響を与えた台風10号からの大きなウネリで砂が戻っていた。
しかし、台風通過後のサイズダウンは早く、ファイナルデイは風の影響も加わって厳しい戦いに。

このコンディションに番狂わせもあり、開幕戦を制した安井拓海を始め、ディフェンディングチャンピオンの大橋海人、第2戦で優勝した田中英義が早々と敗退。

一方、カレントリーダーの河谷佐助、QS1,500『ムラサキ湘南オープン2019』で優勝した18歳の鈴木仁、湘南の佐藤魁、四国の西修司など若手の活躍が目立ち、佐藤魁が2017年のバリ島以来のJPSA優勝を決めた。

女子はカレントリーダーの宮坂麻衣子、ランキング2位の庵原美穂がR2で敗退。
都築虹帆、須田那月がファイナルを戦い、須田那月が怪我から復活して4年ぶりのJPSA優勝。

ここで都築虹帆がランキングトップに立ち、須田那月が2位に浮上した。

第4戦『第24回I.S.U茨城サーフィンクラシック さわかみ杯』

第4戦を制した松本カイ

2019年JPSAショートボードシリーズの折り返し地点、第4戦『第24回I.S.U茨城サーフィンクラシック さわかみ杯』は大洗が舞台。
茨城らしからぬスモールコンディションでコンテストは進行した。

カレントリーダーの河谷佐助がR4で敗退した一方、ランキング2位の西修司はQF、3位の佐藤魁はSF進出と確実にポイントを重ね、ファイナルには松本カイ、小林桂、仲村拓久未、関口真央が残った。
カリフォルニアの小林桂が主導権を握っていたが、後半に松本カイが逆転してJPSA初優勝。

松本カイの父は過去にJPSAで活躍、現在はシェイパーをしているハワイのグレン松本。
ノースショアがホームのカイは弟のコアと共にJPSAに参戦、プロ資格獲得直後、股関節の手術で1年ほどのリハビリを強いられたものの、昨年くらいから徐々に頭角を現していた。

女子は渡辺愛、都築虹帆、宮坂麻衣子、鈴木姫七がファイナルに残り、渡辺愛がフロントサイドでノートリムの3マニューバーという強烈なサーフィンでJPSA初優勝。
渡辺寛の妹でもある渡辺愛は、宮崎出身で2016年にプロ資格を獲得したばかりの18歳。
彼女もまた今年のJPSAを面白くした一人。

第5戦『サーフアイランド種子島プロ』

種子島は西修司&庵原美穂が優勝

タイトルコンテンダーが明確になってきた第5戦の舞台は日本が誇るサーフィンアイランド、種子島。
昨年までのポイントと賞金が2倍になるダブルグレードから今年は通常のイベントとなり、9月に開催。

期間中は台風17号の影響でメイン会場の最南端竹崎海岸、通称「ホテル前」が厳しくなってしまい、昨年も利用した「よきの海水浴場」を利用。

ディフェンディングチャンピオン並びにカレントリーダーの河谷佐助はSF進出の3位と2年連続の優勝は逃したものの、グランドチャンピオンに向けて良い結果を残していた。

マンオンマンのファイナルは和光大と西三兄弟の長男、西修司のグーフィーフッター対決。
開始直後にフロントサイドでハイスコアを出した西修司が最後まで逃げ切り、JSPA初優勝。
この優勝で河谷佐助を抜いてカレントリーダーの座を手に入れた。

女子は4戦連続ファイナル進出の都築虹帆がQFで敗退した一方、第4戦の茨城でJPSA初優勝をした18歳の渡辺愛が2戦連続でファイナル進出。
ベテランの庵原美穂とクロスゲームを演じたが、後半に追い上げてきた庵原美穂が逆転優勝を決めた。

第5戦終了時点で都築虹帆のトップは変わらず、しかし、庵原美穂はポイント差を縮め、更に5位までは混戦状態。

第6戦『伊豆下田CHAMPION PRO』

伊豆で3連覇を決めた野中美波

昨年までの6月〜7月から10月へ移行した伊豆の『伊豆下田CHAMPION PRO』だったが、皮肉にも期間中は台風の影響などがなく、スモールコンディション。

緊迫のタイトルレースはランキングトップの西修司がQF、僅かな差で2位につけている河谷佐助がSFで敗退した一方、3位の佐藤魁がファイナルまで残り、スポット参戦の小林桂、和光大、安井拓海と対戦。
5ポイント台を2本まとめた小林桂が大洗の雪辱を果たして伊豆で2連覇を達成した。

ランキングでは西修司のトップは変わらず、佐藤魁が2位に浮上して河谷佐助は3位に転落。
1位と3位のポイント差は僅か330。
最終戦はこの3名でのレースに絞られた。

女子は5戦中、4戦でファイナルに進出してカレントリーダーの座を固めている都築虹帆が再びファイナル進出。
ランキング4位の宮坂麻衣子も今シーズン4度目のファイナル。
新島で優勝、種子島で3位に入っていた須田那月、スポット参戦の野中美波の4名によるファイナル。
2018年のグランドチャンピオンでもある野中美波がファイナルのハイエストスコアを出して圧勝。
15歳の時にJPSAで初優勝した伊豆で3年連続の優勝という偉業を達成した。

女子は5名がタイトルコンテンダー。
都築虹帆、このイベントの結果で2位に浮上してきた宮坂麻衣子、須田那月、庵原美穂、渡辺愛。

最終戦『Trident Seafoods Chiba Ichinomiya Pro』

最終戦は仲村拓久未&川合美乃里が共に久々の優勝

全7戦の最終戦は2020年東京オリンピックの会場でもある千葉の志田下が舞台。
台風21号が日本の南海上から東海上を通過した10月下旬に開催。
大きなウネリで一般サーファーにはクローズアウトのようなコンディションが続き、記録的な大雨でコンテストがオフになった日もあった。

西修司、佐藤魁、河谷佐助の3名によるタイトル争い。
QFで西修司、佐藤魁が敗退、河谷佐助がファイナルに進出した時点で河谷佐助の初のグランドチャンピオンが確定。

男泣きを見せないためにしばらく海から上がらず、表彰台でも感極まり、涙ぐんでいた河谷佐助。
大阪から海に通うという決して恵まれない環境でもチャンピオンになれるんだということを子供達や良く通っている磯ノ浦のサーファーに分かってもらうために強い意志で戦っていたとコメントを残していた。

ファイナルは同じ関西の仲村拓久未と河谷佐助がワンツーフィニッシュ。
2015年のJPSAグランドチャンピオンでもある仲村拓久未は実に4年ぶりの優勝。
久々のビーチ凱旋を楽しんでいた。

女子はトップの都築虹帆がカリフォルニア・ハンティントンビーチでの『2019 VISSLA ISA World Junior Surfing Championship』出場のために最終戦をキャンセル。
トップ不在のタイトルレースとなり、庵原美穂がR3、宮坂麻衣子がSFで敗退。
優勝か2位がタイトル獲得の条件だった須田那月が見事にクリアして初のJPSAグランドチャンピオン獲得。
祖父の死を乗り越え、種子島出身の選手として初のタイトルを手に入れた。

優勝は13歳の時に最年少プロとなり、2015年にランキング2位、2016年にグランドチャンピオンを獲得。
WSLでは2017年にQS3,000『Ichinomiya Chiba Open』で優勝、ランキング21位と圧倒的な強さを見せていた川合美乃里が久々の優勝を決めた。

2019年JPSAショートボード最終ランキング トップ5

男子
1位 河谷佐助 8,570pt
2位 佐藤魁 8,140pt
3位 西修司 8,080pt
4位 仲村拓久未 6,990pt
5位 田中英義 6,820pt

女子
1位 須田那月 9,200pt
2位 都築虹帆 9,180pt
3位 宮坂麻衣子 8,970pt
4位 庵原美穂 8,400pt
5位 渡辺愛 8,050pt

2019年ルーキー・オブ・ザ・イヤー
加藤翔平
都築虹帆

JPSA公式サイト

photo: 日本プロサーフィン連盟(JPSA)

(空海)

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