五十嵐カノア Photo: THE SURF NEWS / Yasuma Miura

「カノアVSガブの五輪準決勝スコア&都筑の銅について読者からの質問コーナー」- F+

F+(エフプラス)

いいね、質問。何書こうかなぁとか考えなくて済むから。

●私からもユキさんにお答え頂きたい質問があります。
「カノアVSガブの準決勝での、カノアのラストライドはオーバースコアと感じたか?」そして、「アムロちゃんの銅メダルは、あのジャンクコンディションだから成せる業」だったか。

Photo: snowy

お答えする前に、写真は終わるや否やあっという間に解体される五輪会場。ああいう仮設設営物というのは壊し始めるとあっという間になくなっちゃうものなのね。レガシーもへったくれもない。

あのペースで解体が進めば1週間もかからずに元の空き地に戻りそうなもんだけど、志田トラから志田の入り口閉鎖は10月31日までと看板にあった。ホント、迷惑。

たぶん解体のあとに防砂林用の松の植林とかするんだろうか。オリンピックで松林全切りしちゃったわけだけど、あれがないと結構砂や潮風が内陸まで入ってきて、農家の方々の塩害や風害等の被害が出るようで、ぼやいてた農家のおじさんがいたっけ。うちも以前より砂が飛んでくるようになった。そのかわり今家は2階全室オーシャンビュー的なことになっていて、ま、見えるってことは飛んでくるってことだわな、と妙に納得している。植林する松も大きくなるのに何年もかかるので、砂が飛んでこなくなるにはまだまだ時間がかかりそうだ。

Photo: WSL

ワールドツアーは最終戦の予定だったチョープーがコロナの影響でキャンセルになり、先のメキシコで終了。これ微妙にランキングに影響してると思う。ファイナルズ行きのトップ5は女子がカリッサ・ムーア、タチアナ・ウエストン-ウェブ、サリー・フィッツギボンス、ステファニー・ギルモア、ジョアンヌ・デファイ。男子はガブリエル・メディーナ、イタロ・フェレイラ、フィリッペ・トリード、コナー・コフィン、モーガン・シビリック。

女子のほうはこんな感じかなとは思うけど、男子のほうはタヒチがあったらモーガンじゃなかったかな、と思う。同じルーキーならメキシコで初優勝をあげたジャック・ロビンソンの目が出てきてたかな、という感じもする。

モーガン・シビリック。ルーキーにしてファイナルファイブ、ワールドタイトルの可能性も、ということになった。ま、ニュース性としては理想的展開か。

では最後に質問にお答えしましょう。

ガブカノア問題。

カノアに高いというより、ガブの1本目? あのフルローテに低かったな、と思う。最初だったんで抑え込まれちゃったかな、って感じ。逆にカノアのはラストだったんでご祝儀なのか。カノアのほうが波はよかったけど、回り方、スピード、浮遊感、着地、どれをとってもガブのほうがすごかったかなと思う。

ガブリエル・メディナ Photo: THE SURF NEWS / Kenji Iida
五十嵐カノア Photo: THE SURF NEWS / Yasuma Miura

比較するとすればこのガブの1本目がスケールになると思ったので、波の差を考慮してガブの1本目と同じ、トーキョーご祝儀入れてもマックス9点でわずかに届かずか、と思っていた。でもカノア本人もチームの方々もすでに勝利確定のアクションをしていたので、え、ほんと? と思っていた。それに引っ張られたとは思いたくはないけど、同じフルローテのディテールが見えていたジャッジングだったかどうかは疑問→個人の感想です。翌朝テレビのニュースショーとかで何度もこのふたつのフルローテを流してたけど、何度見ても全然違うなぁ、と思って見ていた。

アムちゃん問題。

あの朝、あのコンディションを見たときに、アムちゃんメダル行くかも、と思った。本人があのコンディションを好きか嫌いかは別として、彼女が何かやるとすればあのコンディションだ。鬼ボレしたクローズのワンセクションがあって、そこに当てて残る。彼女が結果を出してきたのはすべてこのコンディションだったと思うし、あのクローズ気味の志田は普段誰もサーフィンしていないようなコンディションだ。でもアムちゃんはああいうときも練習してたと思う。

五輪最終日の都筑有夢路 Photo: THE SURF NEWS / Kenji Iida

他の女子がしり込みするようなホレたセクションに深いボトムターンから当てて、どでかいスープの中でしっかり残る。彼女はこれで今の位置にいる。

こういう他の誰もができないことがひとつできる、というのは強みだ。例えば台風が来なくて、練習の時のようにフラットに近いコンディションだったら、大原洋人にメダルがあったかもしれない。洋人だってほかの人が乗れないような小波で何かができる、という強みを持っている。

なぜ予定を変えてあの日に詰め込んだのかはわからないけど、翌日はだいぶ整ってたので、予定通りの進行なら結果は違ってた可能性が高いとは思う。

でもどちらにしても試合というのはサーフィンの上手い人が勝つわけではなく、その日、そのコンディションで、その日のジャッジが好きなサーフィンをした人が勝つものだ。だからこそ、年間のツアーで決めるワールドタイトルに求められるのは、オールラウンドな実力であり、コンスタントさであり、ということになる。

1発勝負のオリンピックと年間をかけるワールドタイトルのどっちが重いかは、それだけでも自明の理かなぁとは思うけど、今となってはトップ5に入ればロウワー1発勝負ということになったので、ビミョーだなと思う。

どっちにしても今シーズン世界最強だったのはカリッサとガブ。オールラウンド、コンスタント、次元違いのパフォーマンス……誰もこのふたりには追いつけていないと思う。普通にこのふたりにタイトルが行くことを願う。

F+編集長つのだゆき

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