(WSLイベントでもYouTuberの一面を見せながら出場するJOB) PHOTO: © WSL/ Tony Heff

ジェイミー・オブライエンがYouTuberとしての苦悩を告白

世界で最も成功したフリーサーファーの一人、”JOB”ことジェイミー・オブライエン。

彼のYouTubeチャンネル登録者数は約130万人と、WSL公式チャンネルに匹敵する規模を誇る。収益が好調な月には、4万ドル(約600万円)に達することもあるという。

しかし、動画を見れば分かる通り、プロのカメラマンの雇用、ドローンの運用、そして世界中を旅する遠征費など膨大な経費が発生するため、彼は「YouTubeは主な収入源ではない」と言い切っている。

特に近年はYouTubeのアルゴリズムが変化し、多くのクリエイターの収益が減少傾向にある。こうしたなか、JOBはYouTubeを単なる「稼ぐ場所」ではなく、自身のサーフスクールやアパレル、ポッドキャストを成功させるための「巨大な広告塔」へと位置づけを変化させているのだ。

解読できないアルゴリズム

(陸ではふざけていても、波に乗らせれば超一流)
PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

かつてのYouTubeは、定期的な投稿と目を引くサムネイルが成長の鍵だった。しかし、2026年現在のアルゴリズムはより複雑化し、時に残酷なまでの気まぐれさを見せている。

「アルゴリズムはまさに猛獣(Beast)だ。どれだけ努力しても、何がヒットするかは最後までわからない。100万回再生を連発したかと思えば、突然8万回で止まることもある。この浮き沈みは、まさにジェットコースターのようだ」と彼は語る。

ジェイミーは視聴維持率を向上させるためにポッドキャストを導入し、コンテンツの「量より質」を重視する戦略に舵を切るなど、絶えず変化するプラットフォームへの適応を強いられている。

「一度コツを掴んだと思っても、翌日にはルールが変わっている。それが今のYouTubeの厳しい現実なんだ」

次世代サーファーへの警告

JOBは、ジョンジョン・フローレンスやネイザン・フローレンスらにYouTubeへの参入を勧めた立役者でもある。しかし、今から参入しようとする若手サーファーに対しては、かつてほど楽観的ではない。

「今はすでに市場が飽和している。視聴者を惹きつけ、チャンネル登録を促すのは数年前より何倍も難しい。サーフィンだけで食べていけるのは、今や世界でほんの一握りだ。10年前はより多くのサーファーが十分な収入を得ていたが、現在は競技レベルが底上げされている一方で、市場は狭まっているんだ」

それでもカメラを回し続ける理由

アルゴリズムに翻弄され、制作費の重圧にさらされながらも、JOBがカメラを回し続ける理由はシンプルだ。

「結局のところ、最高の波に乗り、それを最高の仲間と共有したいという情熱は変わらない。ビジネスは泥臭い努力の連続だが、その先にあるのは大好きな海だ。アルゴリズムがどう動こうと、僕らは次のスウェルを追い続けるよ」

ジェイミーの言葉は、華やかなインフルエンサーとしての側面だけでなく、一人の「デジタル時代の起業家」としての葛藤を浮き彫りにしている。

彼が最後に強調したのは、「業界を狭く捉えず、人間関係を大切にすること」

目先の数字やアルゴリズムを追う以上に、自分自身の役割と責任を果たすことが、結果的に長くキャリアを築く唯一の道なのかもしれない。

Jamie O’Brien on Building a Business Empire and Decoding the Algorithm
https://www.theinertia.com/surf/the-rip-curl-pro-bells-beach-is-live-to-kick-off-the-championship-tour-season/

(染谷たかし)

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