パイプラインを舞台とした久々のQSイベントがジョン・ジョン・フローレンスのブランド「Florence」が冠スポンサーとなり、12月10日〜20日に開催。
QS2,000『Florence Pipe Pro』はかつてマスターズが行われていた日程でQSとは思えない波とサーファーのイベントになった。
カリッサ・ムーアがパイプで2度目の優勝

現地時間12月20日のファイナルデーに関してはノースよりのウネリでパイプラインとバックドアは悪く、隣のガムズのサンドバーでの勝負となった。
ウィメンズサイドは出産を経て2026年のCTから復帰するカリッサ・ムーア(HAW)が優勝。
5度のワールドタイトル、東京五輪での金メダル獲得。
そして、パイプでは2023年のCTイベントでも優勝経験がある。
すでに2026年のCT復帰を前にハレイワでのQSにも出場して2位になっていたカリッサ。
今回の優勝で現在のノースショアでの地位を確固たるものにした。



PHOTO: © WSL/Tony Heff
ノースショアではローカルを尊重して短時間でコンテストを終えるために全て4人ヒートで行われ、ファイナルはCT選手のガブリエラ・ブライアン(HAW)、CS選手のエヴェレイウラ・ウォン(HAW)、アップカマーのルビー・ベリー(AUS)と対戦した。
カリッサは8.83のハイスコアでスタートし、パワフルな3ターンコンボで7.73を出したガブリエラと並んだ。
ダークホースのルビーがミドルスコアを2本重ねてリードを奪う場面もあったが、カリッサは4.23のバックアップスコアで逆転。
ガブリエラも6.40を出して2位に浮上し、最後はカリッサがバレルとターンで7.83をスコア。後半には勝利をほぼ決定した。
赤ちゃんのオレナを腕に抱いて初めての嬉しいビーチ凱旋を行なった。
なお、パイプラインの女王、モアナ・ジョーンズ・ウォンや、カナダのエリン・ブルックスはQF、タヒチのヴァヒネ・フィエロはSFで敗退していた。
オールハワイアンのファイナルを制したのは?

PHOTO: © WSL/Tony Heff
メンズサイドも豪華な選手が揃い、カリッサと同じく2026年CTで復帰するジョン・ジョンも9ポイントを出してファイナル進出。
その他、イーライ・ハンネマン、バロン・マミヤ、シオン・クロフォードとファイナルはオールハワイアンとなった。
ディフェンディングチャンピオンでもあるジョン・ジョンはファイナルでも魅せてくれ、最初にバレルとクローズアウトセクションでのシグネチャーターンで7.83を出して圧倒。
日本人とのハーフであるシオンがエアリアルでスコアを重ねてリードする場面もあったが、イーライがバックハンドのローテーションエアーで8.67を出し、更に大きなアーリーウープとフィニッシュまでメイクして8.43をスコア。トータル17.10をまとめて他の3名を追い込んだ。
残り5分を切ってバロンがバレルを抜けて8.70、終了間際にはジョン・ジョンが8.07を返したが、ニードスコアの9.17には届かず、バックドアでチャンスを見つけたバロンも逆転はできず、イーライが優勝を決めた。


「信じられない気分だよ。パイプの大会で勝ったのはこれが初めてだし、対戦相手の顔ぶれを見ても、これ以上ないくらいハードなファイナルだったからね。まだ現実とは思えないけど、最高に嬉しいよ。正直、2026年シーズンに向けて体を動かし続けて、試合の感覚をキープするための練習のつもりでエントリーしただけだったんだ。それなのに優勝までできちゃうなんて、本当に最高のご褒美だね」
イーライはマウイ島出身の23歳。
2024年のCTルーキーイヤーでミッドシーズンカットにより僅か5戦でCS落ちとなったが、CSではブラジルでの2位を初め、5戦中3戦の良い結果でカレントリーダーの座を手に入れている。
すでに2026年のCTクオリファイはほぼ決まっているが、その前に同じパイプラインでCSイベントが開催されるため、今回の優勝は大きな自信になるだろう。

準備万端のJJF

今イベントの目玉となったジョン・ジョンはファーストヒートとなったRound of 64でいきなりトータル18.10と完璧に近いスコアを出し、その後のヒートでもハイスコアを出し続けていた。
次男のネイザン、三男のイヴァンも参加した初めての冠スポンサーイベントでのフローレンス兄弟の活躍は上々だった。
「全体を通してみると、やっぱりこのイベントのスポンサーになれたこと自体が僕にとっては一番のハイライトだったかな。開催中も最高だったけど、表彰式をして賞を渡している瞬間に、『ああ、本当にやったんだな』って実感が湧いてきたよ。観客もローカルの仲間が多くて、すごくメローな雰囲気だったしね。サーファーみんなのために予備日を1日確保できたことや、ウェブキャストで配信できたことも凄い楽しかったよ。サーフィン自体もかなりリラックスしてできた。残念ながら『伝説のパイプライン』ってコンディションじゃなかったけど、最後はガムズがいい波になって締めくくれたのは最高に楽しかった。これからもこの大会を続けていきたいし、全員がしっかり波に乗れるように、また日程に余裕を持たせて開催できるようにしたいね」

『Florence Pipe Pro』結果

1位 イーライ・ハンネマン(HAW)
2位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
3位 バロン・マミヤ(HAW)
4位 シオン・クロフォード(HAW)

ウィメンズ
1位 カリッサ・ムーア(HAW)
2位 ガブリエラ・ブライアン(HAW)
3位 ルビー・ベリー(AUS)
4位 エヴェレイウラ・ウォン(HAW)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(黒本人志)














