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コナー・オレアリー&ガブリエラ・ブライアンが優勝!CT第10戦『Corona Cero Open J-Bay』最終日

全11戦のレギュラーシーズンとトップ5による『Lexus WSL Finals』で争われる2025年のCT。

ツアー一行はブラジルのビーチブレイクから、世界屈指のリーフブレイクである南アフリカ・J-Bayへと移動して第10戦『Corona Cero Open J-Bay』が現地時間7月11日に開幕。
オフ日を挟みながら、7月18日にファイナルデーを迎えた。

昨年はパリ五輪の影響でCTとしては開催されず、『J-Bay Classic』という特別イベントとして行われたが、神が創造したとまで称される極上のJ-Bayの波は今年も健在。
そして日本のコナー・オレアリーが2017年からのキャリアで初優勝、それも初めてのパーフェクト10まで出す記念すべきイベントになった。

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キャリア初のCT優勝と10ポイントを出したコナー

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ファイナルデーのJ-Bayは予報通りの南西ウネリが入り、朝の時点で6-8ftと発表されていた。
早いラウンドとは明らかに違うダイナミックな波となり、究極のレールサーフィンが披露された。

J-Bayの波は完璧に見えて難しく、バックサイドとなるグーフィーフッターで過去に優勝したのは、1984年のオッキーことマーク・オクルーポと2019年のガブリエル・メディナ(BRA)の二人のみ。
しかし、今年はコナーとブラジリアンのヤゴ・ドラ、二人のグーフィーフッターがファイナリストに選ばれ、これぞCTといえる激しい争いの末にコナーがCT初優勝を決め、J-Bayを制した史上3人目のグーフィーフッターとなった。

コナーはドッグことリチャード・マーシュのコーチの元で戦っているが、この日はチームメイトのガブリエラ・ブライアン(HAW)も優勝。
レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)も活躍とチームドッグの特別な1日にもなった。

「もう、本当に感激しているよ。ずっとこの大会で良い結果を出すことを夢見ていて、いくつかチャンスもあったけど、今日がまさに夢のような日だった。初めての10ポイントを獲って優勝できたなんて。正直言って、達成するのは凄く難しい挑戦だと思っていたけど、本当に素晴らしいファイナルだった。ヤゴは今世界で最高のサーファーの一人で、同じグーフィーフッターとして本当に尊敬しているので、彼とファイナルを共有できて本当に嬉しかったよ。グーフィーフッターはナチュラルフッターに比べて不利だと感じる波だったから、グーフィー最高!って感じだよね。そして、応援に来てくれたみんな、本当にありがとう。皆さんのおかげで、55回のバックサイドスナップを決めて、歩けなくなるほどのダメージを負いながらも、海岸を走り回るほど気持ちが盛り上がった。皆さんの応援に感謝している。楽しい夜を!」

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大会3日目。
Round of 16でイタロ・フェレイラ(BRA)とのグーフィーフッター対決を制した時のインタビューで、『ここで誰も見たことがない最高のバックサイドサーフィンを見せたい』と思っていると話してたコナー。
まさにその言葉が言霊のように叶った1日でもあった。

「今年は自分のサーフィンがかなり良くなっていると感じていて、自分のパフォーマンスにも満足している。そして、いつも信じ続けてくれたドッグには大きな感謝をしている。『お前は正しいことをやっている。うまくいっていない時期もあるけど、必ず良くなる』と何度も言い続けてくれていたんだ。いつそうなるか分からなかったけど、とうとうこの日が来た。だから、とにかく挑戦して自分がやっていることが正しいと信じること。たとえ途中で悪い結果が続いても、逃げずに向き合うことが大事なんだと思うよ」

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SFでは3度もJ-Bayを制しているフィリッペ・トレド(BRA)を相手にビッグターンとバレルでキャリア初の10ポイントを出していたコナー。
あのライディングはグーフィーフッターとしての初代J-Bayチャンピオンであるオッキーを彷彿させ、多くのCTファンを唸らせていた。

表彰台でのインタビューの最後には同じクロヌラ出身のオッキーのことを聞かれ、「オッキーには感謝してるよ。バックサイドサーフィンの道を切り開いてくれてありがとう。子供の頃からずっと尊敬して、そのサーフィンを見てきたんだ。だから彼のような影響力のある選手を模倣できて凄く嬉しい。自分がちゃんとできたかは分からないけど、多分彼のほうがずっと上手いよね。クロヌラのために、オーストラリアのために、そして日本のためにやれたのは良かったよ。みんなありがとう」と締め括った。

イエロージャージを手に入れたヤゴ

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イベント前はイエロージャージを着て母国に帰国したジョーディ・スミスの活躍が期待されていたが、Round of 16で歯車が狂い、敗退。
一方、今季2勝でランキング2位だったヤゴが快進撃を続け、ライブランキングでトップに浮上。多くのヒートでエクセレントスコアを出し、ファイナルデーはレオナルド、グリフィン・コラピント(USA)を倒してファイナル進出を決めた。

「今回のパフォーマンスには本当に誇りを感じている。エアリアルではこれまでも自分の力を証明してきたと思っていて、このイベントでもそれを見せられたけど、今日みたいに波が炸裂してる日にあんなパフォーマンスができて、ファイナルまで進めたことが凄く嬉しい。コナーのことも本当に嬉しく思ってる。彼のサーフィンの大ファンなんだ。特に自分のバックサイドにとっては大きなインスピレーションさ。とにかく最高の気分だね。もちろんファイナルで勝ちたかったけど、今こうしてここにいられることに心から感謝している。神様に感謝したいし、チーム、家族、そして南アフリカでの素晴らしい応援やサポートをくれた皆さん、本当にありがとう」

今回の結果により、ヤゴは最終戦のタヒチではキャリア初のイエロージャージを着用。自身初となるファイナル5入りも確定させた。
残り4枠はタヒチで決まるが、ランキング3位の五十嵐カノアはほぼ確定で、あとは有利なシードを手に入れる戦いとなるだろう。

「本当に最高だね。タヒチでイエロージャージを着るのが待ちきれないよ。特にあの青いバレルの中では、イエローがすごく映えるんじゃない?(笑)」

今季3勝目でファイナル5入りも決めたガブリエラ

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ウィメンズサイドはイエロージャージを着るモリー・ピックラム(AUS)と今季2勝と絶好調のガブリエラ・ブライアン(HAW)が対戦。
スタイリッシュなモリーとパワフルなガブリエラのファイナルはモリーがリードしていたが、ラスト5分でガブリエラが逆転に成功。
最後まで諦めなかったモリーだったが、母なる海はチャンスを与えず、終了のホーンと共にフラストレーションを露わにしていた。

エルサルバドル、マーガレットリバーに続き、今季3勝目を決めたガブリエラ。
ランキング2位を維持して最終戦のタヒチに挑むことになる。

「まだ実感がないわ。早めに現地入りして練習を積んだことが結果につながった。ここJ-Bayで勝つのはずっと夢だったし、世界でも大好きなブレイクの一つ。イエロージャージには大きなプレッシャーがあるから、今回の決勝ではむしろプレッシャーが少なかったと思う。私は、何かを“追いかける”立場のほうがモチベーションになる。自分がイエロージャージを着たいのは、来年の開幕戦だけよ」

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QFでタイラー・ライト(AUS)、SFでキャロライン・マークス(USA)とワールドチャンピオンを倒してファイナル進出を果たしたガブリエラ。
ウィメンズはモリー、ガブリエラ、今回5位になったケイトリン・シマーズ(USA)の3名がファイナル5を確定させ、残り2枠はタヒチで決まる。

「信じられない。去年はあと1ヒート届かなくてファイナル5を逃したけど、今年はレギュラーシーズンを1戦残して決めることができた。大好きなフィジーに戻って、ワールドタイトルをかけて戦えるなんて、もう夢みたい。朝起きた瞬間から“今日は特別な日になる”って分かっていたし、自分でもそうなるように全力を尽くした。本当に沢山の良いことがあったけど、疲労も大きかったから、シンプルに“良い波を2本乗る”ことだけに集中したの」

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(チームドッグの仲間でもある二人)
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ランキングトップを固めたモリー

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2025年は10戦中、オーストラリアレッグの3戦を除く7戦でSF以上をメイクして4度のファイナル、1度の優勝と圧倒的に安定しているモリー。

J-Bayでの優勝は逃したが、『Lexus WSL Finals』で有利になるランキングトップを固めている。

「ここは唯一無二の波。凄く独特なリズムとタイミングがある。昨年はこの波で自分のサーフィンについて多くを学べたし、今年はもう少しアクセルを踏んで、そのリズムを掴もうとしていたわ」

ファイナル5が決定する最終戦『Lexus Tahiti Pro』は8月7日〜16日にパリ五輪の舞台でもあったタヒチのチョープーで開催される。
また、終了後にはすぐに『Lexus WSL Finals』が待っている。

2025年CTのクライマックスは近い。

(五十嵐カノアはランキング3位を維持して最終戦へ)
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『Corona Cero Open J-Bay』結果
1位 コナー・オレアリー(JPN)
2位 ヤゴ・ドラ(BRA)
3位 グリフィン・コラピント(USA)、フィリッペ・トレド(BRA)
5位 レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)、五十嵐カノア(JPN)、マルコ・ミニョ(FRA)、イーサン・ユーイング(AUS)

ウィメンズ
1位 ガブリエラ・ブライアン(HAW)
2位 モリー・ピックラム(AUS)
3位 キャロライン・マークス(USA)、イザベラ・ニコルス(AUS)
5位 タイラー・ライト(AUS)、ケイトリン・シマーズ(USA)、レイキー・ピーターソン(USA)、ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)

Corona Cero Open J-Bay Women’s Final Results:
1 – Gabriela Bryan (HAW) 13.60 
2 – Molly Picklum (AUS) 13.34

Corona Cero Open J-Bay Men’s Final Results:
1 – Connor O’Leary (JPN) 15.67
2 – Yago Dora (BRA) 14.23

Corona Cero Open J-Bay Women’s Semifinal Results:
HEAT 1: Gabriela Bryan (HAW) 13.53 DEF. Caroline Marks (USA) 12.90
HEAT 2: Molly Picklum (AUS) 13.64 DEF. Isabella Nichols (AUS) 12.00

Corona Cero Open J-Bay Men’s Semifinal Results:
HEAT 1: Yago Dora (BRA) 16.76 DEF. Griffin Colapinto (USA) 16.33
HEAT 2: Connor O’Leary (JPN) 16.33 DEF. Filipe Toledo (BRA) 14.83

Corona Cero Open J-Bay Women’s Quarterfinal Results:
HEAT 1: Gabriela Bryan (HAW) 15.33 DEF. Tyler Wright (AUS) 11.37
HEAT 2: Caroline Marks (USA) 11.83 DEF. Caitlin Simmers (USA) 9.67
HEAT 3: Molly Picklum (AUS) 15.84 DEF. Lakey Peterson (USA) 11.27
HEAT 4: Isabella Nichols (AUS) 14.50 DEF. Bettylou Sakura Johnson (HAW) 12.37

Corona Cero Open J-Bay Men’s Quarterfinal Results:
HEAT 1: Yago Dora (BRA) 13.54 DEF. Leonardo Fioravanti (ITA) 12.83
HEAT 2: Griffin Colapinto (USA) 15.03 DEF. Kanoa Igarashi (JPN) 14.13
HEAT 3: Filipe Toledo (BRA) 15.34 DEF. Marco Mignot (FRA) 12.23
HEAT 4: Connor O’Leary (JPN) 16.37 DEF. Ethan Ewing (AUS) 16.07

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

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