(快進撃を続けるルアーナ・シルヴァ)PHOTO: © WSL/Thiago Diz

ブラジリアンが盛り上げたCT第9戦『VIVO Rio Pro』2日目

情熱の国、ブラジルのサクアレマで開催中のCT第9戦『VIVO Rio Pro』は3日間のレイデイを経て現地時間6月26日に再開。
会場のイタウナビーチは公式4-5ftレンジで朝はクリーンなグッドコンディション。

朝はマンオンマンのヒートを二つ同時に進行させるオーバーラッピングヒートを使用してメンズのElimination Roundを足早に進行させ、風の影響が入り始めたRound of 16からは通常のマンオンマンに戻し、ウィメンズはQFの4ヒート中、3ヒートが進行した。

翌日の6月27日はすでにオフが決まっており、ネクストコールは現地時間6月28日の6時45分(日本時間の同日18時45分)となる。
ウェイティングピリオドも迫っているため、残り1日で全てが決まる。

(まさにCTクオリティとなったイタウナビーチ)
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(大会2日目も何千人が集まった会場)
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五十嵐カノアは3位を維持

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メンズサイドではイタロ・フェレイラがビッグエアーでイベントのハイエストスコアを出し、ヤゴ・ドラがフランスのホセゴーのようなバレルを抜け、フィリッペ・トレドとミゲル・プーポが白熱したヒートを見せ、ウィメンズではルアーナ・シルヴァがこの日のハイエストヒートスコアを出してタイラー・ライトを倒し、2度目のSF進出を決めるなどブラジリアンが最も盛り上げた1日だった。

残念ながら日本勢はコナー・オレアリーがElimination Round、五十嵐カノアがRound of 16で共に僅差で敗退したが、すぐに南アフリカのJ-Bay戦が始まる。
ライブランキングではまだカノアが3位を維持しており、ファイナル5入りも現実的になってきた。

(カノアは9位)
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(コナーは17位)
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(カノアを倒したコール・ハウシュマンド)
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(イエロージャージのジョーディはベスト8入り)
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イタロのビッグエアー

(イベントのハイエストを出したイタロ)
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イベントのハイエストスコアとなったイタロのビッグエアーはクロスビー・コラピント(USA)とのRound of 16のH7で生まれた。
オフショアだった朝とは異なり、エアリアル向けとなった風を利用したエアーゲームとなったこのカード。

(イタロのスイッチを押してしまったクロスビー)
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ヒート開始直後のクロスビーの7.83のフルローテーションが霞むような高さと飛距離があるビッグエアーの成功に本人も興奮。
10ポイントのアピールから異常なまでに盛り上がった波打ち際のファンに向かって突進するようにパンピングしながらインサイドに戻ったこのライディングに9.33が出た。

「人生で一番良い瞬間を生きてる気がするよ。クロスビーとのヒートはめっちゃ楽しかった。彼が良いエアーを決めるのを見て、自分も大きなな技を出すチャンスが来た。今この瞬間を生きて、”限界を超えて、ビーチの皆のためにショーを見せる “、それができるのが本当に嬉しいよ」

ドギードアを抜けたヤゴ

(この後、シャットダウンする直前にドギードアを抜けたヤゴ)
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ブラジル戦のメンズサイドは、2017年にサクアレマがCT会場として定着した以降、エイドリアーノ・デ・ソウザから始まって連勝のフィリッペ、ヤゴ、イタロとブラジリアンが勝率10割。
他国の選手には勝ち目がないと言われている。

ファイナルデイにはイタロ、ヤゴ、ミゲルの3名のブラジリアンが残った。

PHOTO: © WSL/Camila Othon
(ヤゴ推し) PHOTO: © WSL/Camila Othon

今シーズン、ポルトガルとカリフォルニアを制し、カレント2位のヤゴは、Elimination Roundでワイルドカードのピーターソン・クリサント(BRA)を相手にこのラウンドで8.67を含むトータル15.50とシングルスコア、ヒートスコア共に最も高い数字を出して圧勝。
中でもヒート中盤のテイクオフからストール、完璧にバレルに身を隠してからクローズする直前にドギードアを抜けたライディングはヤゴがエアリアルだけではなく、全てのスキルが超越していることを証明した。

ヤゴは次のアラン・クリーランド(MEX)とのRound of 16のH1でもリズムを崩さず、クリティカルセクションでのビッグターンで8.50をスコアしてブラジル戦で7戦中6度目となるQF進出を決めた。

「イタウナの波は、本当に難しい。良い波でも、ずっと振り回されるような感じで、集中して波と一体になっていないとすぐやられてしまう。でも、今回はその難しいセクションで技をまとめられてる感じがしている。ヒートの序盤、アランが良さそうな波に乗ったけど、自分にはその後ろにもっと良いフェイスのある波が来る予感があった。彼に先にその波を取らせて、自分はその次の波に備えていた。そして、その波は本当に良くて、大きなターンを2発入れるフェイスがあった。良いスタートが切れて良かったよ」

フィリッペを倒したミゲル

(ミゲル・プーポ) PHOTO: © WSL/Thiago Diz

ニックネーム、Skinny Goat(スキニーゴート)ことヤゴとQFで対戦するミゲルは、Round of 16で唯一となったフィリッペとのブラジリアン対決を残り45秒の逆転劇で制した。

このヒートはフィリッペが僅差でリードしてプライオリティも持っていた。
残り1分を切ってミゲルのニードスコアは4.67。
レフト中心のコンディションでライトにテイクオフしたミゲル。バックサイドで厚いファーストセクションを抜けた後、その波は不安定ながらいくつかのセクションがあり、インサイドまでメイク。
4.83と僅かながら上回り、2022年以来のブラジル戦で強敵のフィリッペを倒してファイナルデイに残った。

「凄い感情が込み上げてきてるよ。フィリッペを倒せたんだ。彼のことは本当に尊敬している。厳しいヒートになるのは分かっていたよ。最初に良い波に乗ったけど、その後は悪い波ばかりだった。後半、悪い流れで終わったと思ったけど、アウトに戻る途中にもう一回チャンスがあると感じた。レフトに行きたかったけど、クローズアウトしたので、カレントを見てライトを狙ったら丁度良い波が現れてくれたんだ」

快進撃を続けるルアーナ

PHOTO: © WSL/Thiago Diz

QFの4ヒート中、3ヒートが進行したウィメンズサイドはルアーナ・シルヴァが唯一ブラジリアンとして勝ち上がり、トータル12.80とこのラウンドのハイエストヒートスコアまで出していた。

2xワールドチャンピオンのタイラー・ライト(AUS)とのカードはお互いにフロントサイドとなるライト勝負。
風の影響が強まる中、僅差でヒートは進行したが、ルアーナは3ターンコンボで2つの6ポイントを重ねて勝利した。

「序盤は全然ダメだった。スコアを出したかったけど、ワイプアウトしまくったの。レフトを探して左に移動したけど、ダメだったのでライトに戻ったら最初に良い波を掴めた。そこからリズムに乗れてきたわ。ビーチのこのサポート、愛さずにはいられない!本当に凄く感謝しているわ」

カレント10位ながら今年はベルズで2位に入るなど21歳の彼女のキャリアの中ではベストシーズンになっている。
ワイルドカードで出場したタティアナ・ウェストン・ウェブがキャロライン・マークス(USA)に敗れた今、自国のファンの期待を背負い、SFでそのキャロラインと戦うことになる。

PHOTO: © WSL/Thiago Diz
PHOTO: © WSL/Thiago Diz

遂にトップに立ったモリー

PHOTO: © WSL/Camila Othon

初日にトップ5の内、4名が敗退する波乱があったウィメンズサイドで唯一残っていたモリー・ピックラム(AUS)はQFのH3でワイルドカードのアレナ・ロドリゲス(PER)を下してライブランキングでトップに浮上。
第10戦『Corona Cero Open J-Bay』ではイエロージャージを着用することが決定した。

「最高の知らせだわ。ここ数年、シーズン序盤にイエロージャージを手に入れることが多かったけど、今年はそうじゃなかった。トップ争いをしてる他の女子選手たちが敗退してるのは当然耳に入ってきて、それが大きなチャンスになるのも分かってたわ。プレッシャーは感じたけど、それを前向きに受け止めて自分を奮い立たせる材料にしたの。今は本当に嬉しい。シーズン後半にこういう展開になるのは最高だし、ここからもっと突き進んでいきたい」

VIVO Rio Pro Presented by Corona Cero Men’s Elimination Round Results:
HEAT 1: Jordy Smith (RSA) 11.33 DEF. Gabriel Klaussner (BRA) 8.67
HEAT 2: Ethan Ewing (AUS) 15.27 DEF. Marco Mignot (FRA) 11.10
HEAT 3: Yago Dora (BRA) 15.50 DEF. Peterson Crisanto (BRA) 8.93
HEAT 4: Jack Robinson (AUS) 13.04 DEF. Rio Waida (INA) 12.57
HEAT 5: Kanoa Igarashi (JPN) 11.73 DEF. Alejo Muniz (BRA) 9.67
HEAT 6: Griffin Colapinto (USA) 9.20 DEF. Joao Chianca (BRA) 8.73
HEAT 7: Seth Moniz (HAW) 10.50 DEF. Barron Mamiya (HAW) 6.56
HEAT 8: Jake Marshall (USA) 9.94 DEF. Connor O’Leary (JPN) 9.60

VIVO Rio Pro Presented by Corona Cero Men’s Round of 16 Results:
HEAT 1: Yago Dora (BRA) 12.33 DEF. Alan Cleland (MEX) 11.50
HEAT 2: Miguel Pupo (BRA) 10.83 DEF. Filipe Toledo (BRA) 10.67
HEAT 3: Cole Houshmand (USA) 9.84 DEF. Kanoa Igarashi (JPN) 8.50
HEAT 4: Jake Marshall (USA) 13.00 DEF. Jack Robinson (AUS) 10.50
HEAT 5: Jordy Smith (RSA) 10.83 DEF. Seth Moniz (HAW) 9.83
HEAT 6: Griffin Colapinto (USA) 13.87 DEF. Leonardo Fioravanti (ITA) 12.80
HEAT 7: Italo Ferreira (BRA) 14.33 DEF. Crosby Colapinto (USA) 13.30
HEAT 8: Ethan Ewing (AUS) 12.63 DEF. Joel Vaughan (AUS) 11.14

VIVO Rio Pro Presented by Corona Cero Women’s Quarterfinal Results: 
HEAT 1: Caroline Marks (USA) 12.16 DEF. Tatiana Weston-Webb (BRA) 4.10
HEAT 2: Luana Silva (BRA) 12.80 DEF. Tyler Wright (AUS) 8.84
HEAT 3: Molly Picklum (AUS) 10.50 DEF. Arena Rodriguez (PER) 7.17
HEAT 4: Lakey Peterson (USA) vs. Erin Brooks (CAN)

VIVO Rio Pro Presented by Corona Cero Men’s Quarterfinal Matchups: 
HEAT 1: Yago Dora (BRA) vs. Miguel Pupo (BRA)
HEAT 2: Cole Houshmand (USA) vs. Jake Marshall (USA)
HEAT 3: Jordy Smith (RSA) vs. Griffin Colapinto (USA)
HEAT 4: Italo Ferreira (BRA) vs. Ethan Ewing (AUS)

VIVO Rio Pro Presented by Corona Cero Women’s Semifinal Matchups:
HEAT 1: Caroline Marks (USA) vs. Luana Silva (BRA)
HEAT 2: Molly Picklum (AUS)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

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