マクアカイ・ロスマン PHOTO:© WSL/Poullenot/

サニー、ケリー、アンディ、マクア… ロバート・ガルシアのボクシングを取り入れたトレーニングとは?

近年、コーチと共に注目されているトレーナー。
最近では『cbdMD Jaws Big Wave Championship』で4度の最多優勝記録を誇るビリー・ケンパーを始め、多くのトッププロのトレーナーを務めるカヘア・ハートが有名だ。

今回紹介するのは、2000年のワールドチャンピオン、サニー・ガルシア、3Xワールド・チャンピオンのアンディ・アイアンズ、ケリー・スレーターとエリート中のエリートのトレーナーを務めた経験があるロバート・ガルシア。

カリフォルニア出身、ボクシンングの元IBF世界スーパーフェザー級王者で2001年に現役を引退後、トレーナーに転向。
ボクサーを中心に2015年の時点で5つの異なるスポーツのトレーナーを兼任、17名のワールドチャンピオンを誕生させた。

更にアスリートだけではなく、犯罪ドラマシリーズの『レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー』の主役、俳優のリーヴ・シュレイバーにも関わるなど活躍の場を広げている。

2014/2015シーズンのBWT(ビッグウェーブツアー)でワールドタイトルを獲得したマクアカイ・ロスマンもロバート・ガルシアのクライアントの一人。
その優秀なトレーナーがボクシングを取り入れたサーファーのためのプログラムについて語った。

あなた自身のサーファーとしてのキャリアは?

ケリー&アンディのトレーナーも務めたことがある
PHOTO:© WSL/Scholtz

ハワイでサーフィンをしながら育ったよ。

NSSAのコンテストにも出場していたけど、自分はプロになってCTを戦うような才能や意欲はなかったのさ。
ビッグウェーブの世界へ進むことも考えたけど、そうせずに教育の道に進んだ。
サンディエゴの「C.H.E.K.」に通ったんだ。
そこは高度なトレーニングについて学ぶ研究所で、それをボクシングに適用し始めたんだ。

ボクシングからサーフィンに戻ったきっかっけは?

サーフィンを始めた時から陸上での準備が少ないことに気付いていた。

準備さえ出来ればマーク・オクルーポ、トム・キャロル、サニー・ガルシア、ゲイリー・エルカートンのような素晴らしいサーファーにもなれる。
彼らは波が良い時に何をするべきかを理解しているのさ。どんなサーフボードに乗り、どれだけの時間サーフィンすれば良いのかもね。
彼らは、もしコンテストが開催される場所が特別なタイプの波でも練習して準備をすることが出来る。

突然知らない土地に行ってサーフィンする場合、どのようにすれば時間を最大限活用出来るのだろうと思った。
それはサーファーにとって大きなプレッシャーでもあったんだ。

ケリー・スレーター時代の初期、彼とシェーン・ベッシェンはヨガの道に進んだ。
トム・キャロルも同じことをして最初は合っているように見えたけど、サーフィンのパフォーマンス向上には強く結び付かなかった。
ヨガは健康には良く見えるけど、サーファーはハイパフォーマンスを求めている。

自分がいくつかの訓練を適用し始めた時、ボクシングとサーフィンの間に素晴らしいクロスオーバーがあることが分かったんだ。

いつからコーチを始めたの?

1995年にボクシングを取り入れたトレーニングを開始した。

まずは子供の頃からの知り合いであるサニー・ガルシアにトレーニングの必要性を伝え、1998年から彼と仕事をするようになったんだ。
彼は毎年のようにタイトルを争っていたから、ほんの少しの体制と計画でワールドタイトルを獲得出来た。
ノア・ジョンソンはお金がなかったけど、一緒にトレーニングをしてエディで優勝したのさ。

この二つの良い成果であらゆる種類の準備には科学があることに気付いたんだ。

ボクシングとサーフィンの間のクロスオーバーとは?

タイミング、バランス、リズム、スピード。

ファイターはサーファーと似ているんだ。
強く、耐久性があり、上半身を主に使用する。
ファイターがパンチをするようにサーファーはパドリングに多くの時間を費やす。

最も重要な部分はジャンプだね。
正確に波の上に立つことが出来れば波全体を使うことが出来る。
完璧なターンをすることは可能でも波の間違った部分でそれをすれば格好悪く見えてしまうだろ。
波に乗るアーティストにならないとね。

プロサーファーのトレーニングにはどれくらいの時間がかかるの?

マクア@JAWS
PHOTO:© WSL/Lynton

まずは最初に対象となる優れたアスリートが特別なスタイルのトレーニングに興味があり、それを行う必要があるかどうかを判断する必要がある。
もし、バスケットボールの選手なら、より高くジャンプ出来るようになることを教え、取り組むべきだよね。
別のアングルから撮影する場合、角度を調整する必要があるように。
プロサーファーを相手とした場合、柔軟性と強さを手に入れ、サーフボードもそれに合わせて変える必要を考えると全てが揃うのは4〜5ヶ月かかる。

ボクシングのトレーニングを開始してからしばらくすると戦士としての精神を引き出すことが出来る。
恐らく、それが最も重要だね。
誰もが戦士の精神を持っている。いつもは静かで従順な人でもね。サニーのように常に戦士のような人もいるけど。
サーフィンの場合、常に戦いはマンツーマンだから自信が必要なんだ。
彼らは本来あるべきほど攻撃的ではなく、誰かが勝って誰かが負けるだけ。
ボクシングを開始して数ヶ月後、もしパンチはスパーリングをした経験がなくても、自信がオーラとして現れるようになるのさ。

トレーニングに関しての哲学は?

人間一人を完璧に鍛え上げることだね。

精神的、身体的、心と知性。
全てが結び付いてその人の形になるんだ。

究極のアスリートは食事と休息の方法も知っている。
自分の回復力を理解しているのさ。

残りのトレーニングを切り離すことも出来ない。
私は食事療法の一部を教えたり、彼らがするべきことに意見はしないよ。

それよりも総括して教えるんだ。

それは一本の毛糸で出来た20個のボールみたいなもの。
離れて見ると別々でも全て一本で繋がっているのが、私のトレーニングなんだ。

マクアカイ・ロスマンと会ったのはいつ頃?

マクアのことは14歳の頃から知っていたよ。
私が訓練していたサニーを彼は尊敬していたんだ。
彼は夏の間、ミッションビーチで私と一緒に過ごし、ボクシングと総合格闘技に夢中になったのさ。
すでに彼の父親がトレーニングをさせる準備をしていたので、すぐに開始して絆を作った。
私は彼をベッドから叩き起こし、嫌というほど走らせたね。
最後には’お願い、サーフィンさせて’と嘆いていたよ。

彼はどんなトレーニングをしているの?

優れたアスリートがトレーニングを取り入れる時、シーズンの終わりの目標のために何が必要かを聞く。
次に訓練を実行している間に内容を割り当てていくんだ。

マクアは喘息の問題を抱えている。
あとは波が大きい時はやる気があるのに、波が小さい時はやる気がなくなるんだ。

学術的には、’サーフィンを上達させるためには、小さな波でサーフィンする必要がある’と彼に意見しなければいけない。
快適な場所から離れさせる必要があるんだ。
例えば、軍隊では’不快であることが、のちに快適になる’と言われている。
だから、私は彼に毎日小さな波でサーフィンさせるのさ。
彼は嫌がるけど、最終的には好きになるかもしれない。
そうならなければ、ワールドチャンピオンにはなれないね。
彼は私が全ての弱点を攻撃することを知っている。
その弱点を克服すれば、弱いチェーンが補強されて強くなるように、彼も完成して逞しくなるだろう。

彼がBWTのタイトルを獲得するのに突破したこととは?

エディのセレモニーでパドルアウトするマクア
PHOTO:© WSL/Cestari

一つのイベントで勝つだけではなく、シーズン全体を通してコンスタントで良い結果を得ることが出来た。

彼の集中力を長く保つ方法を見つける方法が必要だった。
男として、そして父親としてより成長するために大きく変わったと思う。
彼は自分のキャリアを振り返り、それを真剣に受け止めなければならないことに気付いたんだ。

現在、彼はマニー・パッキャオ(フィピリンのプロボクサー)、レイムンド・ベルトラン(メキシコのボクサー)とトレーニングをしている。
彼らと一緒にいるとファイターがどれほど真剣であるのかが分かり、マクアの態度が変わるんだ。
彼らはリングでの戦いに負けた場合、ドン底まで落ち、そこから戻ってくるための努力をしなければいけない。
一つ一つのイベントで危険に晒されているのさ。

次のコンテスト開催がいつになるか分からないビッグウェーブサーフィンのようなスポーツでアスリートをどのようにトレーニングしているの?

アスリートを過度にトレーニングすることは逆効果、慢性疲労に陥ることもあるんだ。
だから、全てはペースを保って行われる。
食事との関係も重要なんだよ。
私達はレイアード・ハミルトンとも密接に協力してエネルギーの回復について研究している。
エネルギーの利用は計算出来るので、アスリートからフィードバックしてもらうのさ。
もし、サーフィンが調子良さそうなら数日間はサーフィンだけをしてトレーニングをしないこともあるね。

ビッグウェーブのアスリートとCTのアスリートの違いは?

両者は全く違う。

CTでのスモールウェーブのサーフィンはアクロバティックで、もし波が良くなくても9ポイントを得ることが可能だよね。
しかし、ビッグウェーブは誰もが生命を脅かすことを知っているし、彼らはお互いをプッシュしあって競争している。
それ自体が大きな脈を打つんだ。

ビッグウェーブで大胆不敵になる。それはトレーニングで可能?それとも生まれつきの能力?

大胆不敵な人なんていないよ。

恐怖心を抑えることが出来るのは自分自身だけ。
ヒーローと臆病者の唯一の違いは、どのように恐怖心を克服するかなんだ。

臆病者は逃げるけど、ヒーローは怖くても立ち上がって戦う。
ビッグウェーブに乗る時、全ての人は恐怖を感じる。
でも、それが彼らを駆り立てるのさ。
一度アウトに出てしまえばそこはビッグウェーブを愛する人達の集まりなんだ。

参考記事
Pit Crew: Training a Big Wave Champ

(空海)

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