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伝統の「トリプルクラウン」その名誉と歴史を理解するための5つの知識

30年以上の歴史を誇るハワイの伝統的なサーフィンイベント「トリプルクラウン」。

1983年にフレッド・ヘミングス氏、ランディ・ラリック氏によって提唱され、月日を重ねて現在のハレイワ、サンセットビーチ、パイプラインの3イベントによって争われる形に定着。
「奇跡の7マイル」と呼ばれるオアフ島・ノースショアを代表するポイントで頂点に立つことは特にハワイアンにとってワールドタイトルに等しい名誉でもあり、ノースショアが一年で最も華々しくなる時期でもある。

ハワイアンがサーフィンの本質を世界に見せつけた古き時代、オージーやブラジリアンの台頭、ケリー&アンディの名勝負の数々など「トリプルクラウン」の歴史はそのままサーフィンコンテストの歴史とも言える。

1)偉大なるチャンピオン
1983年にトリプルクラウンが発祥してから2016年まで、トリプルクラウンの大半はハワイアンが獲得。
初代チャンピオンはマイケル・ホー。
最多記録はサニー・ガルシアの6度。
デレク・ホー、アンディ・アイアンズが4度。

ミスター・トリプルクラウンとも呼ばれるサニーはケリーと同世代で、すでにコンテストはほぼ引退。
今年もトリプルクラウンには参加していなく、アンディは御存知の通り、2010年に帰らぬ人になっている。
サニーの記録を破る可能性があるとすれば昨年3度目を獲得した22歳のジョン・ジョンしか考えられない。

偉大なチャンピオンであるマイケル・ホーは34年経った今でもパイプラインが良い時はラインナップに並んでいる。

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2)僅か5名の完全制覇
トリプルクラウンの舞台となるハレイワ、サンセットビーチ、パイプライン。

ハレイワはサイズによって様々に表情を変え、サンセットビーチは巨大なフィールドに最もクセのある波質が特徴。
パイプライン(正確に言うとバックドアも)は地球上で最高のバレルと称され、ブレイクポジションが3ポイントで最もインサイドのためにギャラリーにも愛されるステージ。
ボトムが浅く、クレパスと珊瑚礁によって簡単にサーフボードを壊し、負傷者も最も多く、ここで命を落としたサーファーも多い。
各ポイントで性格は全く異なり、得意・不得意が成績となって明確に現れる。

最多記録のサニーはサンセットビーチを最も得意としていた一方、パイプラインでは無冠。
1992年にはQFで左腕を負傷して病院送りになりながらもSFには戻り、ファイナル進出。ファイナルでは脳しんとうで再び病院送りに…。
その時点でトップだったが、最後に小さなバレルをメイクしたケリーに優勝を奪われてしまった。
(その頃のスポンサーは日本の丸井だった)
ケリーは逆にパイプラインで7度も優勝しながら、ハレイワ、サンセットビーチでは一度も優勝経験が無い。

全てのイベントで優勝経験があるのは僅か5名。
ハワイアンではアンディ・アイアンズのたった一人で、オージーではマーク・リチャーズ、ゲーリー・エルカートン、ジョエル・パーキンソン。
昨年のパイプラインを制したミシェル・ボウレズが5人目としてトリプルクラウンの歴史に名を残した。

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3)ハワイからオーストラリアの時代
トリプルクラウンの歴史を紐解くとハワイアン一遍だったチャンピオンにオージーの強さが際立つ時代がある。
オージーの初代チャンピオン、コングことゲーリー・エルカートン。
特に1987年の巨大なサンセットビーチでは恐れを知らない攻撃的なビッグターンとバレルで優勝し、今でも語り継がれている。

パイプラインでは圧倒的なチューブライドと今まで見たことがないようなスナップターンを披露したトム・キャロルがその代表であり、近年ではパーコことジョエル・パーキンソンが2008年から3年連続でトリプルクラウンを獲得。
2008年のパイプラインでは唯一のパーフェクト20をスコアするなどこの時期のパーコはハワイで最強の男。
そして、賞金王と言われていた。

★2014年のパイプラインではレジェンドによるスペシャルヒート『Heritage Heat』が行われ、キャロルが往年のマスターズを彷彿させるパーフェクトなチューブライドを見せて話題になった。

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4)ブラジリアンの台頭
かつてブラジリアンとハワイアンの関係が悪い時代があった。
特にサニー・ガルシアの全盛期にはハッスルしたブラジリアンの選手と揉めてサニーが追い回す場面も…。

しかし、新しい世代のブラジリアンはハワイアンを強くリスペクトしており、関係も良くなっている。
最近ではエイドリアーノ・デ・ソウザがJOBことジェイミー・オブライエンの門を叩いてパイプラインでトレーニングを重ね、2015年にブラジリアンとして初のパイプライン優勝。ワールドタイトルも獲得した感動のストーリーが有名だ。

更にその年のトリプルクラウンは前年にワールドタイトルを獲得したガブリエル・メディナがやはりブラジリアンとして初の制覇。
2017年、今年のハレイワはフィリッペ・トレドが初優勝など「ブラジリアン・ストーム」の勢いはとどまることを知らない。

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5)無冠の帝王 ジョン・ジョン・フローレンス
パイプラインの目の前で育ち、そのバレルのスキルは現在右に出るものはいないと言われているジョン・ジョン。

トリプルクラウンには2005年、13歳の時に最年少で参加。6年後の2011年には最年少で初の栄光を手に入れている。
2013年に2度目、2016年の3度目は初のワールドタイトル、ワイメアの『The Quiksilver In Memory of Eddie Aikau』も同時に獲得。
年初に開催される『Volcom Pipe Pro』では4度の最多優勝記録を持っているものの、トリプルクラウンの『Billabong Pipe Masters』では未だに無冠。

2年連続のワールドタイトルがかかっている2017年のパイプライン。
ジョン・ジョンのマスターズ初制覇にも世界中のメディアが注目している。

2017年『Vans Triple Crown of Surfing』
スケジュールは以下の通り。

■11月12日〜24日
開催場所:ハレイワ アリイビーチパーク
『Hawaiian Pro』結果
1位 フィリッペ・トレド(BRA)
2位 グリフィン・コーラピント(USA)
3位 ウィゴリー・ダンタス(BRA)
4位 ミシェル・ボウレズ(PYF)

■11月25日〜12月6日
開催場所:サンセットビーチ
『Vans World Cup』

■12月8日〜20日
開催場所:パイプライン/バックドア
『Billabong Pipe Masters』

『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト

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