PHOTO:© WSL / Herron

2021年QS初戦を制したリーフ・ヘーゼルウッズとは?

コロナ禍が続いている2021年で唯一CTとQSのスケジュールが明確に提示されたオーストラリア。

CTは4戦が組まれて4月からスタートする一方、QSは一足先に開幕。
初戦『Great Lakes Pro』でサンシャインコースト出身のリーフ・ヘーゼルウッズが圧倒的な強さで優勝した。

リーフと言えば、2019年に一気に頭角を現したサーファーであり、CT入りも簡単に済ませてしまうような勢いがあったが、肩の怪我に苦しみ手術をして海からも長く遠ざかっていた。
パンデミックにより全ての選手が休みを強いられる中、トレーニングとリハビリを続けてようやく海に復帰した彼は以前よりも強いサーファに成長した。

他国でのイベントがまだ不透明ということで、例年よりも注目度が上がっているオーストラリアでスター性があるサーファーの優勝は見逃せない。
そこでリーフのキャリアなどを紹介する。

輝かしいジュニア時代からドン底のQS時代

(2015 ISA World Junior Surfing Championshipでのリーフ)
Photo: ISA/Chris Grant

ジュニア時代、世界で最もハイレベルな国の一つ、オーストラリアで快進撃を続け、「Billabong」というビッグスポンサーがついて将来が約束されていたリーフ。
2015年のISAジュニアで銀メダル獲得、2016年のワールドジュニアでは5位という成績を残し、2017年も国内で3勝。
『Vans US Open of Surfing』のジュニアで2位に入る活躍を見せていた。
しかし、QSにコンバートした2018年に思うような結果を残せず、その年のノースショアで決めたビッグエアーが話題になったものの、「Billabong」から見放されてしまうことに…。

ジュニア時代の映像「REEF」

REEF from Reef Heazlewood on Vimeo.

開花した2019年

(2019年開幕戦でジャイアントキラーになった)
PHOTO: © WSL / Dunbar

メインスポンサーを失ったリーフは2019年の『Volcom Pipe Pro』で3位に入り、QSのオーストラリアレッグに向かう。
QSでの結果はいまいちだったが、ゴールドコーストでのCT開幕戦のトライアルで優勝。
見事に本戦出場のワイルドカードを手に入れ、R3でディフェンディングチャンピオンのジュリアン・ウィルソンを大差で倒した。

「ジュリアンを尊敬して育ってきた自分が彼に勝ったことは本当にでかいね。彼には今年ワールドタイトルを獲って欲しい。自分が勝ってしまったのは…だけど、彼ならやってくれるだろう。メジャースポンサーを失ったばかりの自分にとっては、勝てて最高だしコンテストの資金にもなる。おかしなことに昨年メジャースポンサーが離れてからの方が勝てるんだよね。この舞台でプロのコンテストを見ることが出来て嬉しいし、彼らを倒せたなんて最高の気分さ」

開幕戦は結果9位。
更にエアリアルに特化したイベント、『Red Bull Airborne』ではイタロ・フェレイラに続く2位に入った。
この成績を評価されて「Hurley」とすぐに契約を結び、ベルズ戦を欠場したセバスチャン・ズィーツのリプレイスメントの座も手に入れるなど人生のハイライトが数週間に凝縮されてしまったようだった。

怪我からの復帰

(2021年QS開幕戦で優勝)
PHOTO:© WSL / Smith

2020年、パンデミックの直前にマンリーで開催されたQSチャレンジシリーズ『Sydney Surf Pro』で肩を怪我したリーフはコロナ禍でコンテストがストップしたこともあり、手術に踏み切る。
回復を待ち、リハビリ後に海に入れたのはおよそ2ヶ月後だったそうだ。

「怪我をした人はみんな強くなって帰ってくる。そのことをずっと考えていたんだ。スポンサーを失った時もそうだよ。まだ学んでいる段階だと思う。人生は浮き沈みがある。時に沈む時も沈み過ぎないように、底を少し高くするように心がけている。時に浮き上がり過ぎることもあるけど、きちんと認識してすぐに沈むことも考えておくべきだよ。状況に応じて準備をしておくことが必要なんだ。自分はこの数年で得た経験を活かしてそれを理解し始め、時期を読めるようになってきた」

懸命にリハビリを続けて海に復活した後、来るべきコンテスト再開のためのトレーニングに加え、自分よりも年下のサーファーにエアーを教える目的で「air camp」を実施。
ノア・ディーンも認めるエアリアルリストであるリーフはロジカルに考えており、キッズのコーチとしても優秀だそうだ。

「多くのサーファーはスピンをすることに夢中で高さを出すのを忘れている。とにかく、’高く飛べ’が一番のアドバイス。怖いのは着地でフラットにして衝撃を吸収するのが重要。自分は着地の際の膝や足首の怪我防止のため、脚力のトレーニングを多くしているよ」

(エアーだけではなく、レールワークも一級品)
PHOTO:© WSL

リーフのトレードマークはフロントサイドのエアー。
優勝した『Great Lakes Pro』でも執拗にそこでスコアを稼いでいたが、CTで勝つために必要なレールワークも一級品なのを忘れてはいけない。

なお、リーフは2月21日〜23日にNSW州のバーウビビーチで開催されるQS1,000『Port Stephens Pro』にも参加。
2戦続けて主役の座を手にれることは出来るのか?
21歳の若きサーファーに注目したい。

(空海)

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