湘南・鵠沼を舞台に、6年振りの開催となった『MURASAKI SHONAN OPEN』。
クロスカルチャービーチフェスという名のもと、サーフィンやスケートボード、BMX、ブレイキンなど多彩なアクションスポーツが集結。そんな本イベントで開催された、サーフィン・ショートボード部門のプログラムが、招待選手のみで競い合う特別なコンテスト「TOP of TOP」。
今回は、この「TOP of TOP」の運営にインタビュアーとして参加した高橋みなとプロが、現地の様子を独自目線でリポート。
THE SURF NEWSをご覧のみなさん、初めまして、プロサーファーの高橋みなとです。
選手としての活動は2024年からお休みしており、現在はビーチMCや実況解説などでコンテストに携わっています。
元々コンペティターだったこともあり、選手のほとんどは友人です。
試合前後の緊迫した瞬間や、オフの時のリラックスしている時の会話など、ライブ配信では観ることのできないコンテストの裏側をリポートしていきます。
記念すべき1発目のリポートは、MURASAKI SHONAN OPEN。
いろんな意味でとんでもなくアツイ2日間となりました。

6年ぶり10回目の開催。
過去にはQSとしてコンテスト開催があったが、ウィメンズディビジョンはなかったため、SHONAN OPENに来ること自体初めてでした。
今回は、招待された18名しか出場することのできないコンテスト「TOP of TOP」。
選ばれたサーファーはコンペティターだけではない。
フリーサーファー、メディアプロ、ウェーブハンター。
北は仙台、南は沖縄、全国から集められたサーファーたちの中で、TOPを決める。
この大会をプロデュースしたのは、プロサーファーであり、YouTubeチャンネルKume Bro’sの粂浩平。
他のコンテストではなかなか見ない、敗者復活戦が控えるノールーザーラウンドがあったり、全選手が思いっきり演技ができるフォーマットでDay1から大きな盛り上がりを見せた。

なんとスタッフの集合時間は5:00。はやっ!(笑)
大体のコンテストは6:00〜ぐらい。
今回私はMC、インタビュアーを任せていただきましたが、選手が集まる前から、そして何日も前からたくさんの準備など、浩平君をはじめスタッフ全員が、選手にも観客にも楽しんでもらおうと気合いが入っていた。
ヒート表はくじ引きで決めるという面白さもあり、早朝だというのにビーチにはたくさんの人が観戦に来ていた。

波のコンディションは決して良かったとは言えない。私だったらきっと出せて3点くらい。(笑)
どう攻略すればいいか、ポジショニングにも迷うであろうオンショアコンディション。
それでも選手たちは、さすがプロといったスキルを見せつけてくれた。
1番早く会場入りし、海に入って行ったのは大原洋人だった。
さすが、ムラサキスポーツライダーの鏡だね!と声をかけると、当たり前でしょ!と洋人らしい笑顔で返してくれた。
大会2日目、コンテスト終了後にUS OPEN出場のためアメリカに旅立った洋人。ハードスケジュールの中でも、スタッフや周りにピリピリした空気を絶対に感じさせない洋人。さすがトップのアスリートだと感じた。

スタイルマスターで知られる小林直海は久々の再会。
準備していたスタッフも、手を止めて見入ってしまう直海のサーフィン。どんな板に乗っているのか?フィンは何本ついているのか?など、皆、直海に興味津々。。
直海がゼッケンを着てコンテストに出ている、それを見ることができるのはこのコンテストだからこそ。
応援団の数が半端なかったのは準優勝の平原颯馬と鵠沼をホームとする堀越類。
茅ヶ崎と鵠沼をホームとする2人を応援すべく、たくさんの人が会場に足を運んでいたが、その数は2人の人柄を表していた。

準優勝の颯馬は、SFでヒートをリードしていた佐藤魁のインターフェアーによりラウンドアップを果たしたが、運良く勝ち上がれたことよりも、自分のライディングで逆転したかった気持ちの方が強く、勝利者インタビューでは悔しい顔を見せていた。
今回優勝した村上舜に、絶対に1番当たりたくない選手と言わせた松下諒太。どんな時でもみんなに優しく、でもハートはとんでもなく強い諒太。足首の怪我はまだ完治していないが、それでも諒太のサーフィンは健在。追い込まれた瞬間に見せたエアーリバースで会場を沸かせた。

初日は面白いコメントをしてくれる選手がいたり、賞金の使い道などでも盛り上がっていたが、Day2の朝になると全員の顔つきが変わっていた。
佐藤魁は当日の朝、自宅でヨガをしてから会場入り。
小嶋海生は久々の湘南で、昨日は楽しい夜を過ごしたと笑顔で話していたが、真剣な眼差しでその日のコンディションをチェックしていた。

初のマンオンマン対決となったムラサキスポーツを代表する大橋海人と大原洋人。
インタビューに2人で対応するなど周囲にいる人を笑顔にさせたが、早朝から板を変えてサーフィンするなど、調整を欠かしていなかった。
インタビュアーの特権でもある、選手の顔を1番近くで見ることができた私。
1番心に残っているのは、今回優勝した村上舜。
舜は出場選手たちからも、かなり注目されていた。

彼が国内リーグに毎年出場していた時、毎朝誰よりも早く会場入りし、暗いうちからサーフィンをしていたのが当時とても印象的だった。
そういったのは何か理由があるのかと聞いたところ、驚きのコメントが返ってきた。
俺は自分に自信がないから。そういう練習で不安な気持ちを減らせる可能性があるかもしれないなら、やるしかないんです。だから俺はたくさん練習します。
多くのサーファーが憧れる村上舜。
そんな彼でもまだまだ上を目指す志とその謙虚な気持ちが、彼の人間性を作っているのだと実感した。

そして賞金の使い道について、多くのサーファーがサーフトリップと答えた。
様々なカテゴリーから集められた18名。
「いい波を求め続け旅をしたい」というサーファーとしての熱い想いは活動の場は違っていても同じ。
そしてそのサーファーにフォーカスし業界を盛りあげたいという思いでディレクションした粂浩平、そしてサポートしたスタッフも同じサーファー。
暑い夏に負けないほどのサーフィンを愛する全員のアツイ想いに、胸を打たれた2日間となった。
このような大会が今後も続けて開催されることを心より願う。






おまけ。
平井大のライブがもう間も無くスタートするところで、我々スタッフは帰宅の準備。
ライブに向けて集まる人の多さ、交通量の物凄さに、SHONAN OPENはもちろん平井大の凄さを実感したのであった。。(笑)
(高橋みなと)
Photo: Minato Takahashi