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前ぶれもなくやってくるサーフィン後の「海水ドリップ」その原因

“チャラリ〜ン鼻からギューニュ〜じゃなかった海スイ〜”

サーフィンの後にしかも数時間も経ってから、とつぜん鼻から流れ出す海水。サーファーならば誰もが経験があるこの『海水ドリップ』。鼻の穴から流れるその水に困った経験の人も多いと思う。朝一のサーフィンの後に仕事場で報告書にポタリ。バッチリメイクアップした後に鼻からツー。初デートのかなり重要な局面でポタポタ?笑えないよね。

この海水ドリップの原因はなぜ起こるのか?どうしたらこのハプニングを防げるのか?さらに鼻への影響は無いのか、病気にはならないのかと調べてみることにした。

原因は副鼻腔に入り込んだ海水

さて、いろいろググってみると。この海水ドリップの原因は、どうやら鼻の穴の奥にある副鼻腔(ふくびくう)という空間に海水が入り込んで起こる現象ということが分かった。アメリカのサーフ系サイト、Surflin.comでもこの話題が取り上げられていて、そこでは耳鼻科の専門医フィリップ・クロニス博士が説明しているが、副鼻腔に海水が溜まるのだと説明している。(ちなみにこの『海水ドリップ』という呼び名は、筆者がこのコラムのために作った名称で、アメリカでも日本でも名称はまだ無い)

さて、調査を進めた結果、海水ドリップが起こるメカニズムが詳しく分かってきた。そこでサーファーでもある筆者のこれまでの経験も踏まえて、そのメカニズムをトリビア的にまとめて紹介させていただこうと思います。

まとめ一
副鼻腔にはいくつかの空洞がある。その空洞の1つに上顎洞(じょうがくどう)というのがある。
サーファーがワイプアウトしたとき、海水が大きな水圧によって鼻腔から上顎洞にまで達してしまう。

https://www.sakamotojibika.com/sinusitis/fukubikuuen.html

まとめ二
上顎洞は副鼻腔のなかでも低い位置にあるために、水が入ると溜まりやすく、かつ排出されにくい。鼻腔の広さは人によって個人差があり、広い人は入排出が簡単に起こるが、鼻腔の狭い人は副鼻腔に水が溜まり排出されにくい。

まとめ三
サーフィンの数時間後に海水ドリップが起こる原因は、上顎洞に溜まった海水がなんらかの起因によって流れ出すから。例えば逆立ちをしたりして頭を低い位置に下げると上顎洞より鼻腔が下方になり排水溝のように水が流れ出す。

まとめ四
さて、この海水ドリップを防ぐ方法はあるのだろうか?答えから先に言うと、『あるけど無い』となってしまう。つまり一番効果的な方法は『鼻栓』のようだ。でも、あのシンクロスイムのお姉さんを思い浮かべると、鼻栓でサーフィンは実用的では無い。

まとめ五
この海水ドリップは身体に有害かということだけれど、副鼻腔に水が入ることは自然現象であって心配する必要はないという。水が副鼻腔から抜けなくても、いずれは蒸発する。ただし海水が汚染されているとバクテリアによって鼻の粘膜が感染する恐れがある。それが進行すると化膿し副鼻腔炎となる。副鼻腔炎が慢性化すると蓄膿症(ちくのうしょう)やポリープが鼻腔に発生し手術が必要なほど症状が悪化する場合もあると前述のフィリップ博士は指摘している。

まとめ六
海から上がると鼻の調子が悪くなるという経験のある人は、汚染された海水による副鼻腔炎を疑った方がいいかもしれない、耳鼻科での診断を勧める。副鼻腔炎が気になる人は海の汚染度を予測して汚染がひどいときにはパドルアウトを我慢するか、海水のきれいなポイントへ移動するしかない。例えば大雨が降った後、汚水処理場は汚水のキャパを超えてしまうため、汚水を海にそのまま放出してしまうからかなり危険だ。都会を流れる河川も同様なことが起きているとも考えられる。

まとめ七
汚染された海でサーフィンをしてしまったときの対策としては、鼻腔内をきれいな水で洗浄するという方法もあると言われている。じつは鼻洗浄機というものがいろいろ販売されているから興味のある人は検索してみたらいかがだろう。ちなみに耳鼻咽喉科のほりクリニックのHPでは重曹と食塩を混ぜた水で鼻洗浄を奨励している。副鼻腔炎にも効果があるようだ。

https://www.horiclinic.org/shinryo/press.html

(李リョウ)

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