サイクロンで砂が移動してしまったスナッパーロックスの変わりにバーレーヘッズで開催されたCT第6戦『Bonsoy Gold Coast Pro』
フィリッペ・トレドの復活、ワイルドカードのジュリアン・ウィルソンの活躍、サクラのCT初優勝。
そして、五十嵐カノアの2戦連続の快進撃など多くの話題があったが、ゴールドコーストを代表する3人のレジェンドもイベントの成功に大きく貢献していた。
ミック vs ジョエル

ベルズ、ゴールドコースト、マーガレットリバーと続くオーストラリアレッグの3戦は本戦以外にもファンを楽しませる特別ヒートが用意されている。
ベルズではミック・ファニング、ステファニー・ギルモア、メイソン・ホーによるアイコンスペシャルヒート。
ルーク・イーガン、ロジー・ホッジ、アダム・ロバートソン、タリー・ワイリー、ジェシー・スターリングによるツインフィンのヒート『Stone & Wood Afternoon Delight’ Twin Fin Showcase』が行われ、イースターホリデーで集まった沢山の観客が久々の英雄の勇姿に釘付けになっていた。


今回のゴールドコーストでは、ミック・ファニングとジョエル・パーキンソンのヘリステージヒートがファイナルデイのSF前に開催。
両者共に現役時代はゴールドコーストで2度の優勝経験があり、ワールドチャンピオン。
今でも波が上がった時のラインナップでは一際目立つ存在で、誰もが認めるサーフレジェンドである。
現役を退いた後でも、この手の特別ヒートに引っ張りだこの二人。
ヒートになれば本気で勝ちを狙い、それを分かっている地元のファンが貴重な二人の勝負を見ようと岩場まで押し寄せ、ある意味本戦よりも盛り上がっていた。




コンテストジャージはミックが赤、ジョエルが青。
ヒート序盤から中盤にかけてはターン中心のミック、バレル狙いのジョエル共に5〜6ポイント勝負。
後半はプライオリティを利用して強引に波に乗ったミックの行動にスイッチが入ったのか、ジョエルが次の波で十八番のスムースなターンとバレルで8.33を出し、更に最後の波でもスタイルマスターの称号通りのターンで8.50。終わってみればトータル16.83とジョエルの圧勝になった。
「絶好調ってほどじゃないけど、良い波をいくつか乗れたね。最後は微妙にしちゃったかな。楽しかったよ。僕にとって、そしてミックにとってもサーフィンって楽しむことが一番大事なんだ。最高に楽しかった。派手なショーって展開じゃなかったけど、面白かったよ」
ジョエル・パーキンソン
「イベント自体、特に昨日の午後なんかは本当に良いサーフィンが見られた瞬間があったね。個人的なハイライトはジュリアン・ウィルソンの復帰戦かな。彼とはツアーで一緒に戦った仲で、友達でもある。だから彼が戻ってきてくれて本当に嬉しいし、これからもっと活躍してくれるといいなと思うよ」
ミック・ファニング
二つのスーパーヒートを戦ったステファニー

レイン・ビーチェリーを上回る8x達成後、2023年に失速して2024年に休暇することを発表していたステファニー・ギルモア。
その休暇は2025年も延長されたが、地元でのCTとなる今回は特別にワイルドカードで出場して二つのスーパーヒートを戦った。
一つ目はRound of 16でのケイトリン・シマーズとのカード。
クロスゲームの末にステフが勝ち上がり、37歳にして19歳の現ワールドチャンピオンに勝てることを証明した。



二つ目はQFのエリン・ブルックスとのカード。
ライディングのバリエーション的にはフロントサイドのステフが優っていた感があったが、ジャッジはエリンのスピーディなバックハンドアタックを高く評価していた。
17歳のエリンが9.43を出してトータルでも17.76とステフを寄せ付けずに圧勝した。
「あのヒートは本当に最高だったし、ステフと対戦できたのは本当にラッキーだった。私はずっと彼女に憧れてきたのに、ツアー入りした時には彼女もカリッサもいなかった。“あなたたちとサーフィンしたいの”って思ってた。だから彼女がこの大会に出てくれて嬉しかった。調子が良かった彼女に勝てたことがとにかく嬉しい。だって彼女は本当に凄い人だから」
エリン・ブルックス
ケイティもエリンもステフは憧れの存在であり、ステフ自身も今回はワイルドカードでプレッシャーはなかったが、二人との対戦でまだ現役でも通用すると確信したことだろう。
2026年にはオーストラリアで始まり、ハワイで終わる従来のスケジュールに戻るし、11xのケリー・スレーターの年まで10年以上あるステフがこの記録を目指す可能性もある。
もしかしたら、まだ32歳のカリッサも家でうずうずしながらライブ中継を見ていたのかもしれない。
そう、2026年はウィメンズのCT枠が6名も増えるのだ。
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(黒本人志)