建設予定のホテルの完成予想図 Photo provided courtesy of Christou Design Group

豪マーガレットリバーで大規模ホテル開発計画。地元サーファーから懸念の声

オーストラリア南西部のマーガレットリバーでCT会場のメインブレイクを見渡す海岸で大規模な5つ星ホテルの建設が予定されている。開発の規模や環境への負荷、西オーストラリアが誇る「ワイルド」な雰囲気が損なわれるなど、地元のサーファーらが開発に対して懸念の声を上げている。

開発予定地はマーガレットリバーに隣接するナラバップビーチの南端に位置する。世界最大のホテルチェーン、マリオット社が120部屋を誇る5つ星ホテルWestin Margaret River Resort and Spaを2023年の開業に向けて計画を進めている。
開発者は「ワールドクラスの立地にはワールドクラスのホテルを!この絶好な海辺に立つ5つ星のホテルはマーガレットリバーにおいて宿泊の新しい基準となる。」と謳っているが、コミュニティや景観に対してどれだけ配慮されるのかが争点になっている。

西オーストラリアは自然豊かな環境で知られている。 Photo: WSL

建設予定地は以前、特定海岸地域に指定されていたが、1996年に大臣の特別許可により開発が可能になった。それ以降ゴルフ場や他の開発が提案されていたが、ここまで計画が進むのは初めてだ。ナラバップビーチとナラバップの集落の間にある砂丘は近年浸食が深刻になってきていて、開発の影響で浸食が加速しないか懸念されている。

西オーストラリアの経済にとって観光業が大きな柱であり、昨年約110億ドルもの経済効果があった。開発者によるとこの計画は新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいる観光業を盛り上げるために重要な役割を担う。

計画の発表に臨席した西オーストラリアの観光大臣ポール・パパリア氏は「これは地元コミュニティにとって素晴らしい計画だ」と支持を訴えた。来年に予定されている建設が始まれば、建設や運営において地元住民の雇用が生まれ、小さなコミュニティに対して大きな経済刺激となるだろう。

マーガレットリバーの大会会場、メインブレイク Photo: WSL / Kirstin Scholtz

しかし、近隣住民は開発について懸念の声を上げ、開発に反対する署名にはすでに2万人近くが賛同している。主な懸念点としては開発の規模に伴う環境負荷、地域の小規模事業者への影響、そして先住民族や地域住民への配慮のなさが挙げられている。また、西オーストラリアが売りにしている「ワイルド」な雰囲気が損なわれることも指摘されている。         

西オーストラリアを代表する元CTサーファーのタジ・バロウは「規模が大きすぎて、立地も不適切だ。人々はワイルドな自然と海岸線を求めて“マーガレットリバーを”訪れる。開発が進めば、ここの雰囲気が永遠に変わるだろう。」

開発の正式な許可はまだ下りていないが、西オーストラリア州の新しい法律では州にとって重要なプロジェクトとしてみなされれば許可がすぐに通る見込みだ。またホテル建設後にはさらに2段階の開発が予定されているという。先住民や地元住民の意見を取り入れながら、デリケートな生態系を壊さないように十分に配慮して計画を進めてほしい。

ケン・ロウズ

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