ステファニー・ギルモアと五十嵐カノアが主役!「All In」のシーズン2 エピソード1

2019年夏に世界中のサーフィンファンのための番組を制作するスタジオ「WSLスタジオ」の本格始動を発表したWSL。

その番組の一つである「Red Bull TV」と提携したCTサーファーのドキュメンタリー、「All In」のシーズン2が公開された。

選ばれたサーファーはステファニー・ギルモアと五十嵐カノア。
2019年のヨーロッパレッグの二人をフィーチャーした。

タイトルは70年代の名作映画をもじって「フレンチ・コネクション」
もちろん、映画のような刑事モノではなく、リアルなドキュメンタリーだ。

ステファニー・ギルモア コンテスト4日前

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(クラブを持つ姿も様になるステファニー)

フランス戦が始まる4日前。

ステファニーはビーチではなく、環境、教育、衛生、若者育成のプロジェクトを支援する「クイックシルバーファンデーション」のチャリティーイベントに参加するため、ゴルフ場にいた。

世界で最もコンペティティブなオーストラリアのゴールドコーストで男性サーファーに混じって鍛えられた彼女は2007年に始めてのワールドタイトルを手に入れた。
当時19歳、ルーキーとして史上初のワールドチャンピオンという偉業を達成したのだ。

2010年にかけて4年連続でタイトルを保持した彼女は無敵だった。
誰よりも強く、誰よりも美しいサーフィンを披露してクイーンと呼ばれる存在になり、2018年にはレイン・ビーチェリーに並ぶ7度目のタイトルを獲得した。

(7度目のタイトルを獲得したステファニー)
PHOTO:© WSL/Cestari

2019年はバリ島で通算30勝目を上げたが、タイトルレースからは一歩後退。
ランキング4位でヨーロッパレッグに入る。
タイトルレースに戻るにはフランス戦でのファイナル進出が条件だった。

CTサーファーはコンテスト以外にも沢山の仕事がある。
2018年のワールドチャンピオンとして参加した直前の記者会見中もメディアの取材中もコンテストのプレッシャーが常に付きまとう。

五十嵐カノア コンテスト 3日前

フランス戦の3日前、4シーズン目を迎える五十嵐カノアは会場のホセゴーにいた。

笑顔でワックスアップをしてコーチのスネークことジェイク・パターソンの元に走る。
シーズンの目標はトップ5入り。
この時点ではランキング6位だった。

1997年にLAで生まれたカノアは6歳の頃にハンティントンビーチに移住。
カリフォルニア、いや、世界でも随一のサーフタウンで文字通り「人生がサーフィン一色」になった。

CTサーファーを目標に日本からアメリカに移住という人並み外れた人生計画を立てた両親は人生で最も重要な人だとカノアは話す。
子供のために年間多くのコンテストに参加するためには自分の時間を削り、多額の費用がかかる。
その両親の苦労を十分に理解している。

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(ジャック・ロビンソンとレオナルド・フィオラヴァンティは子供の頃からの仲)

2011年、13歳で足を骨折した時はコンテストを止めることまで考えたと言う。
しかし、海から離れたことが自分のキャリアを真剣に考える転機となり、ジムでのトレーニングを始め、栄養管理やコーチのアドバイスを取り入れ、2016年に念願のCTデビューを果たした。
2016年、18歳最年少でツアーの仲間入りをしたカノアは最終戦のパイプラインでケリー・スレーターを倒し、2位という大きな結果を残す。

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(スネークを囲むカノアとステファニー)

2017年までコーチがいなかったステファニーが2018年はスネークと組み、7度目のタイトルを獲得した。
つまり、カノアとはチームメイトになり、フランスでも一緒にトレーニングをしていた。
もちろん、スネークはカノアとステファニーのヨーロッパレッグでのそれぞれのシチュエーションを理解している。

1996年から2007年にCTを回っていたスネークはパイプライン、ジェフリーズベイなどで優勝経験もあり、引退後にスタートしたコーチ業も順調だ。
恐らく、世界で最も忙しいサーフィンコーチの一人と言えるだろう。

コンテスト 2日前

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(コンテスト2日前に22歳になったカノア)

コンテスト2日前の10月1日、この日はカノアの22歳の誕生日。
ステファニー、スネークを含むチームメイトによるささやかなお祝いが行われた。

チームに加わってから側にいることになったステファニーから見たカノアの印象は、スマートで堅実な人。

「1%の積み重ねを100日続ければ100%になるシンプルな計算が出来る」
こんな例えをした。

2019年のステファニー、カノアのハイライトはバリ島・クラマス戦だった。
スネークがコーチをするこの二人がダブル優勝を成し遂げたのだ。

ステファニーは2019年に開始された男女の賞金同額化にも言及。
このWSLの改革に彼女が大きく貢献していることは間違いない。

(クラマスではダブル優勝)
PHOTO: © WSL/Dunbar

クラマスで完全にゾーンに入ったカノアはファイナルの前の気持ちを「興奮して晴れやかな気持ちだった。誰も自分を止められないって思ったよ。完全にスイッチが入ったのさ」

優勝が決まった瞬間は「信じられなかった。子供の頃や、足を骨折した時の両親の顔など全ての想い出が蘇ってきたよ。そして、全てが吹っ飛んだ。観客が集まり、大騒ぎになった。勝ったんだ。俺の日だと実感したのさ」と語った。

興奮に満ちたクラマス戦から緊張感あふれるフランス戦へ。
「All In」のシーズン2、エピソード2に続く。

(空海)

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