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サーファーが起こしやすい怪我や故障その対策

楽しいサーフィンをいつまでも!上手くなればなるほど面白いサーフィンだけど、身体を酷使していませんか?ピットインしてボディチェックしよう!


エアーパッキンが「プチッ」と爆ぜたような音が、右膝で不気味に響いた。それは、ワイプアウト寸前に足がテールパッドにひっかかり、右膝があらぬ方向に引っ張られ、靭帯(じんたい)を伸ばしてしまったときだった。右膝関節から激痛が走り、大粒の冷や汗が額に流れ、砂浜を一歩も踏み出せない。という苦いオーストラリア旅行の思い出が筆者にはある。

サーフィンは楽しいけれど、その激しさは異常だと思う。サーファーは当たりまえと思っている傾向があるが、派手なワイプアウトをしても平気でいられるのは、水がショックを受け止めているからで、陸上だったら病院行きは確実。つまりサーフィンは、そのうち誰でも怪我をする。
さらに冬の北風や冷たい海水は、鞭のように腰や頚椎を苦しめ、ときには慢性的な故障となってサーフィンができなくなることも…。

マーク・リチャーズの、5連覇を阻んだのはライバルではなく腰痛だった。ということで、怪我と故障だけは、自慢できるほど多い筆者の経験を振り返り、サーフィンのその原因や対策を考えてみたいと思う。

頚椎(けいつい)

パドル中、水面で揺れるサーフボードをサーファーは全身で制御している。頭はジャイロのように静止しているために、頚椎が制御の支点とならざるをえなく、大きな負担が掛かる ©RiRyo

首周りの故障はサーファーにとっては宿命のようなもの。とくに頚椎に故障を訴える人は多い。その大きな原因はパドルの姿勢にある。パドル中、サーファーは弓のように胸を反って両腕を動かしている。上半身を反る理由は、身体全体で不安定なサーフボードを安定させているからだ。

前後左右に揺れるボードを、反らした背骨で安定させるから、その支点の首と腰に大きな負担が掛かる。それを長く繰り返していると疲労が蓄積し、やがて頚椎がギブアップする。

シンプルなストレッチをラインナップするたびに行うだけで頚椎への負担が軽減される ©RiRyo

上図は頚椎の痛みに即効性があるストレッチ、しかも波待ち中にできる。すごくシンプルで、頭を前方に傾けるだけ。つまり顎を胸に付けるように頭を前方へ下げて首周りの筋をストレッチする。パドルでラインナップへ戻るたびにこれを行うと疲労を軽減できる。

頚椎のトラブルはそのズレによることが多い。頚椎専門のカイロプラクティックではそのズレを診断し矯正してくれる。

腰痛

腰痛の原因はさまざま。いずれにせよサーフボードにまたがって長時間冷たい海に浸かるのだから、これで腰痛にならない方が変かもしれない。

このストレッチの優れているところはどこでも簡単に行えること。ヨガマットも器具も必要ない ©RiRyo

腰痛に効果のあるのはやはりストレッチ。いろいろなストレッチのやり方があるとは思うが、この図のストレッチは、立ったままでどこでもできる。これは、ヒラメ筋やハムストリングをストレッチし、腰痛の軽減に大きな効果がある。もちろんサーフィン前のウォームアップにもなる。これは私の腰痛が酷かったときに先輩サーファーから教えられ現在も続けている。

腰痛といえば、腰の神経のセンサーが過敏になりすぎて、腰痛でないのに痛みの信号を脳に伝えてしまう症例が発表された。慢性の腰痛に悩む人に多いという。これは安静し過ぎが原因の一つらしい。つまり症状が重くならない程度に体を動かして、過敏になった神経のセンサーをリセットすることで解決するという。

ふくらはぎの肉離れや靭帯(じんたい)

怪我の予防のためにもブーツはお早めに… ©RiRyo

バットで足を叩かれたような一撃が、肉離れ発症の合図。最初はそのショックに驚くだけだが、歩こうとしても一歩が前に出ない。いつ起きるか分からないまるで地雷のような怪我。インサイドの浅いところでボードから飛び降りたりすると起こしやすい。水温が急激に低下したときなど要注意。肉離れを受傷したときは動かさないのが重要、無理に歩くと重症化する。

膝の靭帯の怪我は、ボードの上で足を滑らしてしまったときか、エアーの着地がダントツ。肉離れとどうように慢性的になりやすいから、時間をかけてしっかり治療する必要がある。スリップ防止や、筋肉を冷やさないためにもブーツが効果的だ。

肩の痛み

肩の痛みで悩む人はパドルをもう一度見直してみよう。小指と薬指を中心にしたパドルを心がけると効率も上がり肩への負担も軽減する ©RiRyo

パドルで肩を壊すサーファーも多い。親指から中指の3本だけでパドルをすると負担が偏り、肩を痛めやすい。5本の指全体でパドルすれば肩の筋にかかる負担が分散しするのだが、人は無意識にその3本に力を入れてしまう。

慢性的な肩の痛みを改善するには、小指と薬指の2本を意識したパドルを心がける。その2本を意識すれば残りの3本も連動し、掌(てのひら)全体で水をかくことができる。しかし最も重要なことは、パドルに耐えられる筋肉を肩につけることだ。それにはサーフィン以外のトレーニングやストレッチが効果的で、時間は掛かるがサーフィン上達の最短距離でもある。

まとめ

怪我の予防として、とにかくブーツは早めが良い。気温が暖かい日でも必ず履こう。もちろん素足がサーフィンに最高なのは、筆者も理解しているが、冷たい水を我慢するより、ブーツを履いた方がいい。それは水温が下がると、素足は血行が悪くなり足の動きが鈍くなるからだ。しかも冷水によりワックスが滑って靭帯を伸ばす危険性もある。サーフィンの前にはウォームアップ、海から上がったらシャワーだけでなくお湯に浸かるのも大切。さらにアフターサーフィンの酒も、お湯割などの暖かい飲み物にすると胃腸の負担を和らげ疲労回復に役立ち、しいては怪我や故障の予防となる。もちろん酒はできれば控えた方が良い。

(李リョウ)

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