(ケリー・スレーター:2005年 J-Bay) Photo by snowy

「20年経っても色褪せないどころか後世に影響を与えたヒート」 – F+

F+(エフプラス)

コナー・オレアリーの素晴らしい波での素晴らしいパフォーマンスで終了したJベイだけど、試合の前にいくつかWSLサイトにニュース的なものが上がっていて、その中に2005年のアンディ対ケリーのドキュメンタリーみたいなのがあった。

BATTLE FOR THE AGES: Andy Irons vs Kelly Slater at J-Bay 2005

これねぇ、ちょっと長いんだけど、時間のある時に見ておいたほうがいいかなぁ、と思う。普通に見ちゃうと普通に流れちゃうけど、20年前のサーフィンですよ、ということをしっかり頭に入れて見ると、ちょっと衝撃なんじゃないかなと思う。この2005年の現地でのことは今でもはっきり覚えていて、もしかしたら30年以上のツアー歴の中でも一番すごかったヒートではないかと思う。ケリーの派手な色のウエットスーツ(当時はなかなかあの色ってなかったと思う)と共に、強烈な印象で記憶に残っている。

誰とどこにステイしていて、誰とどこでこのファイナルを見ていて、その時どれだけみんなで興奮したかとか、20年たった今でも明確に思い出せる。とにかくものすごくいい波だったし、波数も多かった。Jベイというといつでもこの年のこのファイナル、あるいはミックのシャークアタック事件を思い出す。あ、フィリッペの超絶エアーもすごかったかな。今ではよく見る光景になったけど、当時は異常なぐらいセンセーショナルだった。

(2005年12月発行のflow020号表紙)

2005年という年はケリーが第一次全盛期を終え、6度のタイトルを手にしてセミリタイア、その後アンディが出てきて2002年から3年連続でタイトルをとった翌年にあたる。2003年ぐらいからケリーはツアーに復帰するんだけど、この2005年のJベイが新生ケリーの誕生、完成の瞬間だったと思う。あまりにも今までと違う、明らかに新しいラインのサーフィンだったので、選手たちがみんな、ケリーのヒートを食い入るように見つめていた。そして、アンディのパワーサーフィンも現在のパワーサーフィンにつながるものといえる。このヒートで繰り広げられたケリーとアンディのサーフィンを20年かけてよりパワフルに、よりシャープに、よりスピーディに進化させていった末に、現在のサーフィンがある。

(2005年発行flow誌より) Photo by snowy

20年後の今この動画を見て、20年でこんなに変わるのか、と思う人もいるだろうし、私のように、20年たってもまだこの時のサーフィンは違和感なく見えるんだな、と思う人もいるだろう。でも、長いサーフィンの歴史の中で、この2005年のJベイのファイナルほど、はっきりとその後のサーフィンに大きな影響を与えたものは無いと思う。
そうだなぁ、あとはデビューしたときの92年のケリーのサーフィンと、ジョンジョンのマーガレットリバーとかかなぁ。あのトップから下にレールごと持ってっちゃうカービングね。それからあとはみんながそれをお手本として真似していくようなマニューバー。

ケリーのことを書くとき、必ずこの2005年のJベイのことを最初に思い出す。2022年のワールドチャンピオンを網羅したF+カレンダーで、各チャンピオンに関するコラムを書いた。そこでもこの時のケリーのことを書いているので、そちらも併せて読んでみてください。

ワールドチャンピオンコラム一覧

F+編集長つのだゆき

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