オーストラリア・クイーンズランド州ゴールドコースト、バーレーヘッズで開催中のCT第6戦『Bonsoy Gold Coast Pro』はいよいよクライマックス間近!
公式3-5ftレンジの南東ウネリが入った現地時間5月9日にメンズのRound of 32の残りヒートとRound of 16が進行してQFを戦う8名が決定。
すでにウィメンズはベスト8が揃っているため、コンディション次第では残り1日でイベントは終了する。
ローカルを倒してQF進出を決めた五十嵐カノア

PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder
ワイルドカードのジュリアン・ウィルソン(AUS)と急遽出場したモーガン・シビリック(AUS)の快進撃、復活したフィリッペ・トレド(BRA)など多くの話題があった大会4日目だが、まずは日本の五十嵐カノアの活躍からお伝えしよう!
Round of 32の最終ヒートではブラジリアンのイアン・ゴーベイアと対戦。
終了のホーンが鳴ってからスコアを待つ熾烈なクロスゲームとなり、最後の掛け合いで一時イアンが逆転したものの、本当に僅かな差でカノアがひっくり返して勝利した。
Round of 16でもカノアは最終ヒートになり、バーレーヘッズローカルのリアム・オブライエンとのカード。
リアムはRound of 32で9.10をスコアして過去5度目の対戦で一度も勝ったことがなかったグリフィン・コラピント(USA)を地元の応援団の前で倒す勢いだった。

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ヒートは開始直後にテクニカルなバレルメイクで8.50を出したカノアが先行。更に2つのビッグターンとフローター、フィニッシュにレイバックとバリエーション豊かなライドで8.67を出して早々と17.17を出してリアムを追い込む。リアムの応援団の人数には負けるが、日本人が多いゴールドコーストで他国よりも大勢のファンが集まり、会場も大いに盛り上がっていた。
リアムも難しいバレルをメイクして8.87を返すが、バックアップスコアが6.67と低く、ニード8.30のシチュエーション。後半は焦りからかワイプアウトが目立ってしまい、きっちりと仕事をこなしたカノアに軍配が上がった。
「リアムとのヒートは“大きく行くしかない”と思った。パドルアウトした時の彼の目つきから今日は倒すのが大変そうだって直感したよ。だから、まずは2本の波を取ろうと決めた。それを達成できたから、あとは戦略的にヒートを運ぶだけだった。地元でCTに出られるって、きっと最高の気分だろうね。彼を応援する歓声を聞いてると、こっちまで笑顔になったよ。自分もその雰囲気を楽しんだし、彼もそうだったと思う」
ベルズでの結果を上回りたいカノアは次のQFでジョーディ・スミス(RSA)と対戦する。
ジョーディはジョアオ・チアンカ(BRA)とのRound of 16のH7でロングバレルと3つのセクションでをバリエーション豊かなターン。9.17を含むトータル17.26はこの日2番目に高いスコアだった。

PHOTO:© WSL/Andrew Shield

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ジュリアンの快進撃

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この日のオープニングヒートになったRound of 32のH9では、ワイルドカードのジュリアン・ウィルソン(AUS)がイエロージャージを着るイタロ・フェレイラ(BRA)と対戦。
ジュリアンは2018年、イタロは2019年にゴールドコーストでのイベントで優勝している。
ヒートは雨で視界が悪く、風の影響も入った難しいコンディションでイタロにミスが目立ち、4ポイント止まりだった一方、ジュリアンは確実にターンを重ね、スコアを伸ばしていく。中盤にビッグカービングとフィニッシュのエアーリバースで出した6.50が勝負の決め手となり、トータル11.83のジュリアンが勝利。
イタロは2戦連続で17位となった。

PHOTO:© WSL/Andrew Shield

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「今朝のラインナップは本当に難しかったけど、自分なりに上手く対応できたと思う。このチャンスにワクワクしているし、エネルギーがみなぎっている感じがするよ。イタロと対戦したヒートはそんなに多くない。ツアーにいた頃からずっと彼との対戦を望んでいたんだ。トップ10の選手と対戦するのは誰でも望むことだし、彼は今シーズン前半戦で圧倒的な成績を残して世界ランク1位。そんな相手と戦える機会は、自分にとって大きな意味がある。この大会がゴールドコーストに戻ってきたこと自体が特別だし、ジャックやイタロのような選手と対戦できるのは最高さ。ずっと彼らのヒートを見てきた。自分の中に溜まっていたエネルギーを再び大舞台で爆発させられた気がするよ」
ジャック、イタロを倒したジュリアンの快進撃は勢いを増し、ルーキーのマルコ・ミニョ(FRA)とのRound of 16のH5では難易度が高いスラブグラブのビッグ・ストレート・エアで8.50。更にビッグターンとバレルメイクで9.50。この日のハイエストヒートスコア18.00を揃えてコンビネーションの圧勝だった。
「本当に信じられない気持ちさ。夢を超えた展開だね。こうなることをイメージしていたとはいえ、実際にこんなに早く形になるとは思っていなかった。大会が進むにつれて、自分自身も成長していると感じる。今は3人の子どもと妻と一緒にここにいて、流れに身を任せている感じだけど、それが上手くいってるようだね。自分でも驚くようなライディングができていて、それを家族の目の前で披露できているのが本当に嬉しい」
次のQFではミゲル・プーポ(BRA)と対戦する。
フィリッペがブラジリアン・ストームを牽引

QFに残った8名の内、4名がブラジリアン。
その中でもフィリッペ・トレドはジェイク・マーシャル(USA)とのRound of 16のH2で後半にフルローテーションのエア・リバースをメイク。
8.00を出してヒートの流れを変え、前半に主導権を握っていたジェイクを逆転した。
「観てる人にとっては最高だったかもしれないけど、自分にとってはドキドキだったよ。今日のコンディションは本当に難しかった。でも、あの突然現れた小さなランプに救われた。普通の波をパドルしていたら、リーフの上で吸い上げられるようなダブルアップがサンドバーに出てきたんだ。”この波だ! “と思い、テイクオフした瞬間にセクションが見えて、”もう一度エアを狙うしかないな “って感じだった。」
QFはヤゴ・ドラとのブラジリアン対決。
ミゲルも含め、すでに3名はミッドシーズンカットをクリアしている。
もう一人のアレホ・ムニーツはカットラインの2つ上に浮上し、QFが正念場となる。


モーガンの快進撃

PHOTO:© WSL/Andrew Shield
今イベントではジュリアンとステファニー・ギルモアの二人のワイルドカードが盛り上げているが、ワイルドカードではなく、妻の出産のために欠場したライアン・カリナン(AUS)の代理という珍しいケースで出場しているモーガン・シビリック(AUS)も3位になったベルズに続き、勝ち上がっている。
セス・モニーツ(HAW)とのRound of 16のH3では、序盤に9.00、終盤に7.93をマークしてセスを一時コンビネーションに追い込んでラウンドアップ。
セスも最後にバレルとエアーのコンビネーションで8.00を返したが、2021年に世界ランキング5位になったこともあるモーガンの強さが際立ったヒートだった。
「ここ数年で一番良いヒートだった気がする。自分の思い描いた通りに何本か波に乗れた。実際にハマるって最高の瞬間なんだよ。セスとのバトルは楽しかった。彼が最後に8ポイントを出した時、ビーチが盛り上がってて、“バリエーションがやばい”って言ってるのが聞こえた。何点出るのか怖かったね。彼とはいつも良い勝負ができるし、試合後にはハワイアンらしいアロハスピリットで大きなハグをしてくれて、おめでとうって言ってくれた。セス、ありがとう。次のイベントでも楽しみにしてるし、今シーズンの彼は本当に良い感じだから、応援してるよ」

ネクストコールは現地時間5月10日の朝6時45分(日本時間同日朝5時45分)
Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Men’s Round of 32 Results:
HEAT 1: Yago Dora (BRA) 13.67 DEF. Edgard Groggia (BRA) 11.94
HEAT 2: Alan Cleland (MEX) 13.60 DEF. Connor O’Leary (JPN) 11.17
HEAT 3: Filipe Toledo (BRA) 17.87 DEF. Crosby Colapinto (USA) 15.33
HEAT 4: Jake Marshall (USA) 14.40 DEF. Samuel Pupo (BRA) 13.83
HEAT 5: Morgan Cibilic (AUS) 11.47 DEF. Ethan Ewing (AUS) 10.10
HEAT 6: Seth Moniz (HAW) 12.50 DEF. Jackson Bunch (HAW) 8.26
HEAT 7: Barron Mamiya (HAW) 10.77 DEF. Callum Robson (AUS) 10.66
HEAT 8: Alejo Muniz (BRA) 13.47 DEF. Rio Waida (INA) 10.83
HEAT 9: Julian Wilson (AUS) 11.33 DEF. Italo Ferreira (BRA) 8.00
HEAT 10: Marco Mignot (FRA) 16.23 DEF. George Pittar (AUS) 14.23
HEAT 11: Miguel Pupo (BRA) 10.76 DEF. Ian Gentil (HAW) 10.73
HEAT 12: Deivid Silva (BRA) 11.60 DEF. Leonardo Fioravanti (ITA) 11.27
HEAT 13: Jordy Smith (RSA) 13.16 DEF. Imaikalani deVault (HAW) 11.23
HEAT 14: Joao Chianca (BRA) 10.93 DEF. Cole Houshmand (USA) 10.43
HEAT 15: Liam O’Brien (AUS) 15.97 DEF. Griffin Colapinto (USA) 13.60
HEAT 16: Kanoa Igarashi (JPN) 12.86 DEF. Ian Gouveia (BRA) 12.67
Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Men’s Round of 16 Results:
HEAT 1: Yago Dora (BRA) 10.73 DEF. Alan Cleland (MEX) 10.50
HEAT 2: Filipe Toledo (BRA) 14.17 DEF. Jake Marshall (USA) 12.17
HEAT 3: Morgan Cibilic (AUS) 16.93 DEF. Seth Moniz (HAW) 13.77
HEAT 4: Alejo Muniz (BRA) 12.17 DEF. Barron Mamiya (HAW) 11.17
HEAT 5: Julian Wilson (AUS) 18.00 DEF. Marco Mignot (FRA) 14.96
HEAT 6: Miguel Pupo (BRA) 12.33 DEF. Deivid Silva (BRA) 10.93
HEAT 7: Jordy Smith (RSA) 17.27 DEF. Joao Chianca (BRA) 16.10
HEAT 8: Kanoa Igarashi (JPN) 17.17 DEF. Liam O’Brien (AUS) 15.54
Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Men’s Quarterfinal Matchups:
HEAT 1: Yago Dora (BRA) vs. Filipe Toledo (BRA)
HEAT 2: Morgan Cibilic (AUS) vs. Alejo Muniz (BRA)
HEAT 3: Julian Wilson (AUS) vs. Miguel Pupo (BRA)
HEAT 4: Jordy Smith (RSA) vs. Kanoa Igarashi (JPN)
Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Women’s Quarterfinal Matchups:
HEAT 1: Luana Silva (BRA) vs. Vahine Fierro (FRA)
HEAT 2: Molly Picklum (AUS) vs. Bettylou Sakura Johnson (HAW)
HEAT 3: Stephanie Gilmore (AUS) vs. Erin Brooks (CAN)
HEAT 4: Isabella Nichols (AUS) vs. Sally Fitzgibbons (AUS)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(黒本人志)