(オープニングヒートを快勝した五十嵐カノア) PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder

五十嵐カノアがトップ通過!CT第6戦『Bonsoy Gold Coast Pro』初日

ベルズ、バーレーヘッズ、マーガレットリバーと続くオーストラリアレッグのセカンドイベント、CT第6戦『Bonsoy Gold Coast Pro』が現地時間5月3日のウェイティングピリオド初日に開幕。
メンズ、ウィメンズ共にOpening Roundが進行した。

初日のバーレーヘッズは公式3-4ftレンジの南東ウネリ。朝はクリーンなフェイスでコンパクトながら形良いブレイク。日中は風の影響が強まっていた。

トップ5ではロボのみElimination Roundへ

(ロボを倒したワイルドカードのカラム・ロブソン)
PHOTO:© WSL/Andrew Shield

同じオーストラリアのライトのポイントブレイクでもベルズとは全く違うタイプのバーレーヘッズの波。
トップ5では、ベルズで優勝したロボことジャック・ロビンソン(AUS)がワイルドカードの餌食となり、Elimination Round行きを強いられている。

そのロボを倒したのはボンソイのスポンサーワイルドカードで出場している元CT選手のカラム・ロブソン(AUS)で、6ポイント台を2本まとめてトップ通過。
2位にはアラン・クリーランド(MEX)が滑り込んだ。

PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder

「またCTの舞台に戻り、ラッシュガードを着てトップレベルで戦えることが本当に嬉しい。7ヶ月間もコンテストから離れていたから、ジャック・ロビンソンみたいにベルズで勝ったばかりの選手といきなり対戦するのは、気が引き締まる。でも、その緊張感がまた体に流れてきたのが心地良くて。やっぱりこれが生きてるって感じる瞬間。競技の魅力でもあるね。ゴールドコーストで競技シーズンをスタートできるのは嬉しい。オージーたちが押し上げてるムーブメントにも刺激を受けてるよ」

ゴールドコーストでは2022年のCSで優勝経験もあるカラム。
地元ではないが、NSW州のエバンスヘッズがホームでライトのポイントブレイクでは一際怖い存在である。

再び爆発したイタロ

(イタロ・フェレイラ)
PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder

シーズン序盤のスタートダッシュにブレーキがかかったように、エルサルバドル、ベルズと失速していたイタロ・フェレイラ(BRA)だったが、バーレーヘッズでのOpening Roundでは8ポイント台2本のトータル16.03でイエロージャージの実力を示していた。

このヒートは地元のリアム・オブライエン(AUS)、トライアルの優勝で久々にCTに戻ってきたジュリアン・ウィルソン(AUS)との特別なカードとなり、リアムは「GO LOB!」の看板を持った地元応援団の熱狂的な声援をバックにバーディカルなリップとバレルでイタロに迫り、ジュリアンもエアリアルとパワフルなレールサーフィンで存在感を誇示していた。
このヒートの3名がトップ4のハイスコアを記録していたといえば、いかにハイレベルなヒートだったかが分かるだろう。

「本当に良いヒートだったね。波も沢山来てたから、みんなそれぞれ見せ場が作れて、スコアも伸びて、凄くエキサイティングだった。最初に8.00を出せたことで” 今日はイケる”って感じたし、その後は落ち着いて自分のサーフィンができた。リアムは地元だから、彼の近くにいれば良い波が来ると思って位置取りも工夫したよ。お互いを高め合えるヒートだったし、この波もやりやすくて、いろんな技を出せるから好きなんだ」

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(ジュリアン・ウィルソン)
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(リアム・オブライエン)
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オープニングヒートでカノアが快勝

(五十嵐カノア)
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終了したばかりのベルズ戦ではファイナルに残り、2位になった五十嵐カノア。

そのリズムをゴールドコーストでも維持したい大切なOpening Roundはオープニングヒートに重なっていた。
ライアン・カリナン(AUS)が妻の出産のために急遽欠場したため、ルーキーのマルコ・ミニョ(FRA)とのマンオンマン。
敗者復活戦行きがなくなったある意味ボーナスヒートはマルコが先行。ウォーミングアップ的な1本の後、フルローテーションエアーで会場を沸かせる。
慎重に波を選んだカノアは、まずフィニッシュに綺麗なフローターを入れたライディングで5.83。ターンにコミットした2本目は6.83。
更にスナップ、テールスライド、レイバックと3つのバリエーションで7.00とスコアを伸ばしてトータル13.83でトップ通過を果たした。

勝利者インタビューでは二人のヒートでリラックスできた?という問いに、「リラックスできるCTなんて、正直言って一度もないよ。みんな勝ちたくてたまらないんだ。R1を2人だけで戦うのは始めてなんだ。ヒートでは勝ちを狙ったね。シーディングと色々な違いがあるけど、結局はお互い本気でぶつかり合ってる。だから楽しいんだ」と話していた。

PHOTO:© WSL/Andrew Shield
PHOTO:© WSL/Andrew Shield
PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder

「正直、ここではあまりフリーサーフィンをしていなくて、自分がどの波を狙ってるのかも良く分からなかったんだ。でも、相手はミディアムサイズの波を結構掴んでて、多分自分は波に対する期待が高すぎたんだと思う。だから、色々探りながらやっていた感じ。でも、30分間誰もいない海でサーフィンできたのは本当に良かったよ。ラインナップを少しずつ読めるようになるしね。それに、今のボードは本当に調子が良くて、この波にも凄く合ってると感じるんだ。だから本能を信じて、目の前に来た波に乗るようにしてた。なんて言うか、ケリーがトラッスルズで言ってたあの “感じろ”っていうやつが本当に腑に落ちたっていうか。ペースも良かったし、綺麗な壁のある波で、本当に楽しかったよ」

すでにベルズで結果を出しているJSサーフボードについては、「さっきも言ったけど、本当にサーフボードが良いんだ。JSが作ってくれるボードはどれも素晴らしくて、正直、今朝はどれにするか決めるのが大変だったよ。結局、ガレージに行って一番最初に目に入ったボードをそのまま持って来たんだ。自分に”こんなにいいボードが揃ってるんだから、どれ選んでも大丈夫だろ”って言い聞かせてね。実際にそのボードで数本乗ってみたら、めっちゃ調子良くて、イベントの残りもこれでいけるって感じた。良い道具と良いパフォーマンスが揃ってるよ」

ここゴールドコーストはJSサーフボードの拠点。
ベルズ戦にも同行していたJSサーフボードのジェイソン・スティーブンソンもカノアのサーフボードを更にチューンナップしてくれるだろう。

なお、H8でイアン・ジャンティ(HAW)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)と対戦した日本のコナー・オレアリーは波数が少ないヒートで逆転のチャンスに恵まれず、Elimination Round行きとなった。

ケイティとモリーが巻き返す

(モリー・ピックラム)
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ベルズ戦では揃って9位となり、ランキングも落としてしまったケイトリン・シマーズ(USA)とモリー・ピックラム(AUS)だったが、バーレーヘッズでは最高のスタートを切っている。

まず、モリーはH1でエリン・ブルックス(CAN)、ナディア・エロスタルベ(EUK)を相手に8.00を含むトータル15.60とウィメンズのハイエストスコアでRound of 16へ。

「ベルズでの早い敗退は本当にショックだったわ。海外から帰って、あんなパフォーマンスになるのは、やっぱり望んでいなかった。だから今ここに来て、波にも乗れて、自分がやりたかったサーフィンをユニフォームを着て表現できたことが嬉しい。今は自分の経験が少しずつ形になってきて、バランスを取ることができている気がするわ」

(ケイトリン・シマーズ)
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一方のケイティはH2でワイルドカードのステファニー・ギルモア(AUS)とベルズ戦で活躍したルアーナ・シルヴァ(BRA)と対戦。

このヒートは19歳のケイティと37歳のステファニーとの一騎打ちとなり、6ポイント台の攻防となった。
まずは序盤から飛ばしたステファニーがリードしたが、後半にケイティが2本目の波で逆転に成功。
ステファニーは6.71のニードスコアを上回ることができず、この勝負はケイティに軍配が上がった。

PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder
PHOTO:© WSL/Andrew Shield
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PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder
PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder

「チャンピオン同士の楽しいヒートだった。海の中はすごく青くて、虹も出てたし、大好きなサーファーと一緒にサーフィンできた特別な時間だった。彼女とは何回かヒートで当たったことがあって、ちょっと緊張しているのも分かってた。でも、彼女が良い波を掴んだ瞬間に、リラックスしてハイスコアを出してくるって思ったわ。私も本気でやらなきゃって思った。自分のルーティンに集中して、最終的には6点台後半のスコアを出せた。今回は最初のラウンドのヒートとしては珍しく少し緊張していた。彼女と対戦することにワクワクしすぎて、様々な感情が入り混じっていたのね。ファイナルで彼女と戦えたら最高。バーレーヘッズは今回で3回目だから、まだこの波を勉強中なの」

その他、トライアルを勝ち上がったソフィー・マカロック(AUS)がイエロージャージのガブリエラ・ブライアン(HAW)を抑えてトップ通過。
カットライン下で残り2イベントの結果が重要となるサリー・フィッツギボンズ(AUS)、ヴァヒネ・フィエロ(FRA)、ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)もトップでRound of 16行きを決めている。

ファーストコールは現地時間5月4日の朝7時15分(日本時間同日朝6時15分)
十分なサイズの南東ウネリが続く予報。

Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Men’s Opening Round Results:
HEAT 1: Kanoa Igarashi (JPN) 13.83 DEF. Marco Mignot (FRA) 13.34, Ryan Callinan (AUS)
HEAT 2: Jordy Smith (RSA) 11.40 DEF. George Pittar (AUS) 11.03, Imaikalani deVault (HAW) 10.20
HEAT 3: Yago Dora (BRA) 12.60 DEF. Jackson Bunch (HAW) 10.44, Edgard Groggia (BRA) 10.30
HEAT 4: Callum Robson (AUS) 13.26 DEF. Alan Cleland (MEX) 10.27, Jack Robinson (AUS) 9.13
HEAT 5: Ethan Ewing (AUS) 11.66 DEF. Joao Chianca (BRA) 10.87, Jordan Lawler (AUS) 10.17
HEAT 6: Italo Ferreira (BRA) 16.03 DEF. Liam O’Brien (AUS) 15.77, Julian Wilson (AUS) 14.07
HEAT 7: Deivid Silva (BRA) 10.00 DEF. Seth Moniz (HAW) 10.00, Barron Mamiya (HAW) 9.10
HEAT 8: Ian Gentil (HAW) 14.14 DEF. Leonardo Fioravanti (ITA) 11.23, Connor O’Leary (JPN) 8.40
HEAT 9: Alejo Muniz (BRA) 11.87 DEF. Miguel Pupo (BRA) 11.60, Matthew McGillivray (RSA) 10.34
HEAT 10: Samuel Pupo (BRA) 14.67 DEF. Cole Houshmand (USA) 12.46, Rio Waida (INA) 11.83
HEAT 11: Filipe Toledo (BRA) 12.70 DEF. Ian Gouveia (BRA) 10.30, Griffin Colapinto (USA) 10.23
HEAT 12: Jake Marshall (USA) 13.50 DEF. Crosby Colapinto (USA) 11.30, Joel Vaughan (AUS) 9.83

Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Women’s Opening Round Results:
HEAT 1: Molly Picklum (AUS) 15.60 DEF. Erin Brooks (CAN) 7.93, Nadia Erostarbe (ESP) 5.76
HEAT 2: Caitlin Simmers (USA) 13.23 DEF. Stephanie Gilmore (AUS) 12.70, Luana Silva (BRA) 10.36
HEAT 3: Sophie McCulloch (AUS) 12.00 DEF. Gabriela Bryan (HAW) 11.50, Bella Kenworthy (USA) 11.04
HEAT 4: Sally Fitzgibbons (AUS) 13.40 DEF. Isabella Nichols (AUS) 12.77, Lakey Peterson (USA) 12.43
HEAT 5: Vahine Fierro (FRA) 13.94 DEF. Tyler Wright (AUS) 9.57, Brisa Hennessy (CRC) 7.43
HEAT 6: Bettylou Sakura Johnson (HAW) 14.10 DEF. Caroline Marks (USA) 14.10, Sawyer Lindblad (USA) 13.47

Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Men’s Elimination Round Matchups:
HEAT 1: Jack Robinson (AUS) vs. Ryan Callinan (AUS) vs. Julian Wilson (AUS)
HEAT 2: Barron Mamiya (HAW) vs. Connor O’Leary (JPN) vs. Jordan Lawler (AUS)
HEAT 3: Rio Waida (INA) vs. Matthew McGillivray (RSA) vs. Edgard Groggia (BRA)
HEAT 4: Joel Vaughan (AUS) vs. Griffin Colapinto (USA) vs. Imaikalani deVault (HAW)

Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Women’s Elimination Round Matchups:
HEAT 1: Sawyer Lindblad (USA) vs. Luana Silva (BRA) vs. Nadia Erostarbe (ESP)
HEAT 2: Brisa Hennessy (CRC) vs. Lakey Peterson (USA) vs. Bella Kenworthy (USA)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

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