Photo: ISA/Pablo Jimenez

フランスが金メダル!日本は5位『ISA World Longboard Championship』最終日

44か国、143名の選手と過去最多の参加人数を誇った今年の『ISA World Longboard Championship』

3年連続開催地に選ばれたエルサルバドルはウネリが途切れることなく、逆にロングボードにはハード過ぎる日も…。
期間中は風の影響が目立ったものの、永遠と続くような長いライトのエル・スンザルで現地時間5月2日にファイナルデイを迎え、世界一が決まった。

ファイナルデイは公式3-5ftレンジ。
メインラウンドはR5、リパチャージラウンドはR8から始まり、最後のグランドファイナルで頂点に立ったのは、フランスのエドゥアルド・デルペーロとアメリカのレイチェル・ティリー。
複数のメダルを持つ両者だが、金メダル獲得は初となった。

フランスはアリス・レモーンもファイナルに残り、団体総合で4度目となる金メダルを獲得。
アメリカが銀メダル、個人銅メダルを獲得したロジェリオ・Jr・エスクイエヴェルを始め、最終日に3名残ったフィリピンが銅メダルを獲得した。

昨年銀メダルだった日本は井上鷹が個人4位でカッパーメダルを獲得、団体総合では5位となった。

初の個人金メダルを獲得したレイチェル

(念願の金メダルを獲得したレイチェル)
Photo: ISA/Pablo Franco

ウィメンズのファイナルは、個人では2度の銀メダル、2018年に団体総合で金メダルを獲得したことがあるレイチェルの他、2022年、2023年と2年連続で金メダルを獲得したフランスのアリス・レモーン。
WSLでは2023年のエルサルバドル戦で優勝していたハワイのソフィア・コーヘーン、2023年の銀メダリスト、ペルーのマリア・フェルナンダ・レジェスと強豪が揃った。

ヒートは1本目でハイスコアを出したアリスとレイチェルが序盤の主導権を握っていた。中盤、ミドルスコアを2本まとめたソフィアがトップに立つ場面もあったが、レイチェルが2本目で6.80を出してトータル15.13でトップを奪う。
アリスはニード6.13のシチュエーションで終了間際に2本目にようやくテイクオフ。テイクオフからノーズライド、ターンとノーズでインサイドまで繋ぐが、ホールドするほどの長いノーズライドはなく、5.60止まり。
最後に2本目に乗ったマリアが3位に浮上しただけで、レイチェルのトップは変わらず、念願の個人金メダルを獲得を手に入れた。

「もう本当に言葉が出ないわ。もちろん、これが目標だった。銀メダルを2回獲っていて、どうしても金が欲しかった。このヒートはかなり厳しい戦いになるって分かっていたわ。アリスが最初に9点を出して、私が8点台で追いかけて、“よし、これは勝負になる”って思った。本当に信じられない」

Photo: ISA/Pablo Jimenez

4大会連続のファイナルで手に入れた金メダル

(兄の同じ金メダルを獲得したエドゥアルド)
Photo: ISA/Pablo Franco

メンズのファイナルは、4大会連続でファイナル進出のエドゥアルドを始め、2010年の金メダリスト、ブラジルのロドリゴ・スファイアー。ロドリゴは2024年に銅メダルを獲得したファイナルの常連。2023年にフィリピン初のメダルを獲得したロジェリオ・Jr・エスクイエヴェル、そして、昨年の銀メダリスト、日本の井上鷹。

ヒートはエドゥアルドが序盤から飛ばし、8.50、9.71。最後には9.07とバックアップスコアを更新してトータル18.24で圧勝。
2位以下をコンビネーションに追い込んでしまい、8.60を出したロドリゴでさえ寄せ付けない強さだった。

(数少ないスタビでエル・スンザルを縦横無尽に駆け回っていたエドゥアルド)
Photo: ISA/Jersson Barboza

「今何が起きているのか、自分でもまだよく分かっていないけど…優勝できたよ。この4年間ずっとファイナルに進出したのに、目標に手が届かなかった。2023年大会では兄のアントワーヌが優勝した。あれは本当に美しい瞬間だったね。昨年彼はいなかったけど、今年はコーチとして戻ってきてくれて、俺が勝ったんだ」

フランス最強のロガー兄弟、デルペーロ。
兄のアントワーヌはエルサルバドルで開催された最初の2023年大会で金メダルを獲得している。
弟のエドゥアルドは4大会連続のWLCファイナル進出、つまりエルサルバドルで開催された全てのイベントでファイナルに残り、35歳にして遂に兄と同じ金メダルを手に入れたのだ。

日本は団体総合5位

(2年連続でメダルを獲得した井上鷹)
Photo: ISA/Pablo Jimenez

日本代表はフランス、フィリピンに並び、最終日に3名が残っていた。

田岡なつみはR5で3位になり、リパチャージR8行き。
リパチャージR8、R9とトップ通過を果たすが、グランドファイナル一つ前のリパチャージR10で3位となり、個人5位。

吉川広夏はリパチャージR8で田岡なつみと同ヒートに重なり、3位敗退。
9位でフィニッシュした。

井上鷹が4位でカッパーメダル、森大騎が25位。
団体総合では5位で『ISA World Longboard Championship』を終えた。

(井上鷹) Photo: ISA/Jersson Barboza
Photo: ISA/Jersson Barboza
Photo: ISA/Jersson Barboza
(個人5位の田岡なつみ)
Photo: ISA/Pablo Jimenez
Photo: ISA/Pablo Jimenez
Photo: ISA/Pablo Franco
Photo: ISA/Pablo Franco
(個人9位の吉川広夏)
Photo: ISA/Pablo Jimenez

フェルナンド・アギーレ氏のメッセージ

(フェルナンド・アギーレ氏と観光大臣のモレナ・バルデス氏) Photo: ISA/Pablo Franco

ロングボードサーフィンにとって素晴らしい一日でした。

素晴らしい一週間、素晴らしい波でした。
まず、すべての選手たちに感謝を。そして、メダリストたちに心からお祝いを申し上げます。
皆さん、来てくれてありがとう。

エルサルバドルの人々、そして政府にも感謝します。
エルサルバドルをサーフィン界で最も重要な目的地のひとつにしてくれてありがとう。
特にナジブ・ブケレ大統領にお祝いを申し上げたい。
2019年のある日、彼が私に電話をかけてきてこう言ったのです。

『エルサルバドルをサーフィン界の中心地のひとつにしたい』と。
おめでとうございます、それは実現されました。

そして、観光大臣のモレナ・バルデス氏にも祝意を表します。
そして選手の皆さん、今、あなたたちはエルサルバドルという美しい人々、美しい場所のアンバサダーとして帰国してください。

ムーチャス・グラシアス!!!

『ISA World Longboard Championship』結果
団体総合
1位 フランス
2位 アメリカ
3位 フィリピン
4位 ブラジル
5位 日本

メンズ個人
1位 エドゥアルド・デルペーロ(FRA)
2位 ロドリゴ・スファイアー(BRA)
3位 ロジェリオ・Jr・エスクイエヴェル(PHI)
4位 井上鷹(JPN)
…25位 森大騎(JPN)

ウィメンズ
1位 レイチェル・ティリー(USA)
2位 アリス・レモーン(FRA)
3位 マリア・フェルナンダ・レジェス(PER)
4位 ソフィア・コーヘーン(HAW)
5位 田岡なつみ(JPN)
…9位 吉川広夏(JPN)

ISA公式サイト:https://www.isasurf.org/

(染谷たかし)

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