Photo: © WSL/Morris

「スポーツシーンの若年化と学業両立問題」- F+

F+(エフプラス)

16歳にしてCTにクオリファイしたケイトリン・シマーズが、学業に専念するために今回のクオリファイを辞退した。クオリファイしたのに辞退って、タジ以来史上ふたり目かな、と思う。実力のある選手なので、高校卒業後再度クオリファイはあるとは思うけど、どうだろうね。物事にはタイミングって確実にあるし、タジは辞退してすぐに再クオリファイして活躍したけど、あの時辞退しなければワールドタイトルもあったのかもしれない、とか、いつも引っ掛かってしまう。

だからと言って、ケイトリンの学業優先という考え方には賛成だし、スポーツシーンの若年化に伴うこうした問題はこの先もどんどん出てくるはずなので、できれば両立の方法を見いだせたらと思う。ケイトリンの代わりに入るのはオーストラリアの19歳、モリー・ピックラム。

同じ年齢のハワイのベティルー・サクラ・ジョンソンは今のところ辞退のアナウンスがないので、CT選手としてパイプから参戦するのだろう。それにしてもハワイすごいな。CSからのクオリファイ6人のうち半分ハワイだもの。まぁカリッサ効果もあるけど、CSの会場の問題もあるのかなと思う。最終戦がハレイワってけっこうハワイアンには有利だと思うし。

ベティルー・サクラ・ジョンソン Photo: © WSL/Heff

まぁ、若年化の流れは止められないのだろうし、このままいけばそのうち14歳、15歳とかでクオリファイも出てくるだろうし、その若さではツアーを回るのもなかなか手間がかかる。車が借りられないしカードも持てないし、単独での世界を回る旅は無理だ。そして、若くしてデビューの分引退後の時間も長くなっていくのだと思うだけに、学校ぐらいは出てたほうがいいかなぁ、と思うし、高校生ぐらいの多感な時期に同年代とのかかわりが薄くなるってのも、将来的には影響が出そうな気がする。
まぁ、それぞれの判断だし、それぞれの人生だ。吉と出るか凶と出るかはそれぞれの行動と意識次第なんだろう。

意識といえば体操の内村。世界を極める人というのはやはり意識のレベルが高いと思う。世界一の「練習」ができなくなったから引退って、すごい。世界一の「演技」ができなくなったから、じゃなくて、「練習」ができなくなったからって、本当にこの人の意識は常に練習であり、演技やその結果はそこについてくるものでしかないんだと思う。だから世界一の結果がついてくる、世界一の練習をしなければならないと考える。究極の努力家。
オリンピックで予選落ちしたときの、練習は裏切ることもあるんだって思いました、ってのもすごいと思った。なかなかそこまで言えるほど練習できる選手っていないし、それができてこその一流選手だと思う。

Photo: snowy

そこで、サーフィン界で世界一の練習をしている人っているのかな、って考えると、90年代初頭のパイプラインでのケリー、セミリタイア後復帰するまでのケリーが思い浮かぶ。
前者はどんなコンディションでも毎日必ずパイプに入っていた若きケリーであり、後者はただひたすら無茶なアタックとワイプアウトをくり返す30歳過ぎのケリーだ。
そのふたつから生まれ出てきたものは、今まで誰も攻められなかったピーク裏からのパイプ、バックドアチャージを含む、誰もまねのできないパイプマスターの技術、そして現代のモダンサーフィンにつながる革新的フルレールサーフィン。ここ30年でのサーフテク2大革命だ。
この辺のケリーに関する詳細は、F+オリジナルカレンダーの1月についているQRコードでジャンプできる特別コラムでどうぞ。

写真は近所の仲良し犬、ハナちゃんとみっくん。

F+編集長つのだゆき

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