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ジョン・ジョン&レイキーが優勝、五十嵐カノアはベスト16【CT第4戦マーガレットリバー】

CTの舞台の中で最も自然が残されている場所の一つ、ウェスタンオーストラリアのマーガレットリバー。

数年間のQSイベントを経て2014年からはCTのオーストラリアレッグの大切な一戦となり、世界中のサーファーに改めてオーストラリアが波の宝庫であることを知らしめている。
(WAにはこのことを不快に思っているローカルもいるようで、NO WSLのサインを見かけることも…)
南アフリカのJ-Bayにも言えることだが、この豊かな自然環境の中、昔からサメがラインナップに現れることも多く、昨年は選手の安全を考慮して異例の中断、バリ島のクラマスの後に『Uluwatu CT』とイベント名を変更して終了させた経緯がある。

今年も小さなサメは何度か確認され、その度に選手はジェットスキーに避難して安全が確認されてから再開という場面があった。
2015年のJ-Bayでのシャークアタック以来、WSLのサメ対策は万全を期しており、選手も安心してパフォーマンスに専念出来るようになった。
歓迎されないサメとは対照的に「The Box」でヒートが進行した3日目にはイルカの大群が姿を見せ、会場を和ませていた。更にイルカの大群はコナー・コフィンと一緒にシェアライド、これには長年ツアーを回っているケリー・スレーターでさえ’忘れられない場面、最高の経験だった’と話していた。

その「The Box」が使用されるのは、2015年のアーリーラウンド以来、4年振り。
波があってもコンテストに使うにはコンスタントではない時が多いこのブレイクが最高のコンディションになったと言えば、今年のマーガレットリバーがどれだけウネリに恵まれていたのかが分かるだろう。

’美しい花には棘がある’

ワイルドカードのジャック・ロビンソン、コロへ・アンディーノなどが素晴らしいバレルに入った一方、レオナルド・フィオラヴァンティが朝のウォーミングアップセッションで右肩を脱臼して棄権。
ヒート中にはジャドソン・アンドレが真っ逆さまにドライリーフに叩きつけられてしまい、棄権。車椅子に乗るほどの負傷で両者共に復帰がいつになるか公表されていない。

「The Box」で驚くべきバレルをメイクしていたジャック・ロビンソン
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ジャックと同じ位置でジャドソンはワイプアウト…
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ジョン・ジョン・フローレンスが早くもシーズン2勝目

この力強いラインでハイスコアを重ねたジョン・ジョン
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「The Box」はメンズR3(Round of 32)の13ヒートで使用されただけで、残りはマニューバー勝負のメインブレイクで進行。
期間中は風が強い日が多く、特に6月4日のファイナルデイは公式6-8ftレンジのパワフルなブレイクが一層難しい波に…。
このワイルドなコンディションで今シーズン怪我から復活したジョン・ジョン・フローレンスがホームのノースショアでサーフィンするようにビッグターンを重ね、3つの9ポイントを出して圧勝。
バリ島の17位を除くと優勝2度に3位が1度とここまで驚異的な成績を重ねており、カレントリーダーの座を保持したのはもちろん、2位との差も広げている。

「マーガレットリバーはホームのハワイを感じさせるし、毎年訪れるのを楽しみにしているんだ。美しい場所だし、多くの異なる波とパワーがあるのさ。QSイベントで初めてここに訪れてから、いつも楽しんで過ごしている。今年の結果には自分自身でも驚いている。昨年、怪我をした後、精神的にも肉体的にも様々なことがあったから、サーフィンしてコンテストに戻ることが出来ただけでも本当に嬉しいね」
ジョン・ジョン・フローレンス

カレントリーダーの座を固めたことで、ジョン・ジョンと今回2位になり、ランキングも2位に浮上したコロへ・アンディーノが東京2020オリンピックのアメリカ代表として有利なポジションを得ている。

代表の条件はトップ10、各国2名の枠。

8位のコナー・コフィン、9位のケリー・スレーター、10位のセス・モニーツがこれから巻き返すかも見どころであるし、ブラジル、オーストラリアの代表争いもこれから面白くなってくるだろう。

第3戦バリで優勝した五十嵐カノアは、Round4で敗退しベスト16。総合ランクは、第3戦終了時の2位から4位に後退した。

ウィメンズはレイキー・ピーターソンが昨年のクラマス以来の優勝

ジョン・ジョンさえも刺激したレイキーのパワーハック
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ウィメンズはQFでステファニー・ギルモアを相手に9ポイントを2本揃えた(ウィメンズでは唯一の9ポイント) レイキー・ピーターソンがファイナルデイでもリズムを崩さず、SFで2013年、2014年のイベントチャンピオン、カリッサ・ムーア。ファイナルではタティアナ・ウェストン・ウェブを倒して昨年のクラマス以来の優勝。
今シーズンは開幕戦とクラマスで9位。ワールドタイトルを狙うなら捨て試合になってしまう結果をすでに重ねていたレイキーだったが、オーストラリアレッグの最終戦でようやく挽回した。

「私にとって優勝するには難しいイベントだったわ。今日まで待った甲斐があるほど良いウネリだったわね。風が強く難しい波だったけど、それもこの場所の一部だから、そんな状況での優勝も嬉しい。ステファニー、カリッサを倒したことで勢いが増し、燃えたのよ。メインブレイクの波も理解出来るようになった。みんな凄いサーフィンをしていたし、特にファイナルは特別だった。タティアナも本当に良いサーフィンをしていたわよね。彼女にもおめでとうと言いたい」
レイキー・ピーターソン

全11戦で争われる2019年のCT。
次の舞台は6月20日〜6月28日にブラジルのリオデジャネイロで開催される第4戦『Oi Rio Pro』
今年はブラジリアンがトップの中に僅か2名と影を潜めているが、本国ブラジルでのイベントで状況が一変する可能性もある。

サーフィンファンでもあるAFLの人気選手、ナット・ファイフが会場に訪れた
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CT#4『Margaret River Pro』結果

メンズ
1位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
2位 コロへ・アンディーノ(USA)
3位 カイオ・イベリ(BRA)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)
5位 イタロ・フェレイラ(BRA)、ジョーディ・スミス(ZAF)、セス・モニーツ(HAW)、ライアン・カリナン(AUS)

ウィメンズ
1位 レイキー・ピーターソン(USA)
2位 タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)
3位 サリー・フィッツギボンズ(AUS)、カリッサ・ムーア(HAW)
5位 コートニー・コンローグ(USA)、キャロライン・マークス(USA)、ブリッサ・ヘネシー(CRC)、ステファニー・ギルモア(AUS)

2019メンズCT『Margaret River Pro』終了後のランキング
1位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW) 17,415pt
2位 コロへ・アンディーノ(USA) 21,675pt
3位 イタロ・フェレイラ(BRA) 20,820pt
4位 五十嵐カノア(JPN) 19,960pt
5位 ジョーディ・スミス(ZAF) 18,245pt

2019ウィメンズCT『Margaret River Pro』終了後のランキング
1位 ステファニー・ギルモア(AUS) 24,235pt
2位 キャロライン・マークス(USA) 23,440pt
3位 カリッサ・ムーア(HAW) 23,375pt
4位 サリー・フィッツギボンズ(AUS) 22,580pt
5位 コートニー・コンローグ(USA) 22,100pt

WSL公式サイト:http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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