image:World Surf League(Youtube)

涙のクオリファイ。マテウス・ハーディ、ついに掴んだCTへの切符

『Bioglan Newcastle SURFEST』CS最終戦が幕を閉じた。クオリファイを巡る数々のドラマが生まれ、最後まで目が離せない週末となった。その中でも、マテウス・ハーディのクオリファイが決まった瞬間に見せた涙は印象的だった。


ラウンド・オブ32、クオリファイをかけたヒート

2023年、2024年シーズンはCSランキング12位。2年連続でCT目前まで迫りながら、あと一歩のところでクオリファイを逃していた、マテウス・ハーディ(BRA)。

マテウスにとって、この大会は特別な意味を持っていた。大会4日目、ラウンドオブ32・ヒート3。ここで勝てばCTクオリファイが確実となる、極めて重要なヒートだった。

多くの波に乗るものの、なかなか自分らしいパフォーマンスを見せられないまま、状況は3位のまま進む。残り3分、必要スコアは6.01pt。そこで放ったのがバックサイドフルローテーションだった。本人も「決まった」と感じたライディングに、ジャッジは8.07ptをスコア。マテウスは一気に2位へ浮上する。

しかし直後、今大会の優勝者となるアリスター・レジナート(AUS)が波をつかむ。必要スコアは6.30pt。
ジャッジの5人の判断は大きくバラけていて、平均スコアで6.33pt。わずか0.03pt足りず、マテウスは3位敗退。

その後、マテウスのバックローテーションのスコアが低すぎるのではないかと、またもやWSLジャッジングを巡る議論がSNSで話題となった。

CTクオリファイの可能性は残されたものの、その行方は他の選手の結果次第という状況となった。

見守るしかない、運命のラウンド・オブ16

この時点で、クオリファイの可能性を残していたのは5人だった。

リヴァイ・スローソン(USA)ディミトリ・プロス(USA)は、あと数ヒート勝てば逆転の可能性がある位置。
シオン・クロフォード(HAW)は、CTへ届くにはこのイベント優勝が条件。

そしてマテウス・ハーディ(BRA)リアム・オブライエン(AUS)はラウンド・オブ32で敗退。カットライン付近に位置し、なんとか逃げ切りたい状況にあった。リヴァイかディミトリが敗退時点でマテウスのCT獲得が決まる。

迎えたヒート6のシオン・クロフォード vs リヴァイ・スローソン。前半はシオンが主導系を握る展開だったが、残り2分、リヴァイのストレートエアからエンドセクションへとつなぐコンビネーション。ジャッジが掲げたスコアは8.17pt。この一本でリヴァイは逆転し、クォーターファイナル進出を決めた。

続くヒート7、ルーカス・カシティ(MEX) vs ディミトリ・プロス(AUS)。

ここでもドラマは残り2分に待っていた。ルーカスは逆転に5.94ptを必要する状況、そこでサイズのある波を掴むと、フルローテーションをメイクする。

そしてヒート終了と同時に表示されたスコアは9.23pt。この瞬間、マテウス・ハーディの夢のCTクオリファイが決まった。


逆境から掴んだCTへの道

ブラジル・フロリアノポリスで生まれ、サーフィン一家のもとで育ったマテウスは、幼い頃から波とともに育った。2018年、台湾で開催されたワールド・ジュニア・チャンピオンシップで優勝し、一気にその名を知られる存在となる。

その後のCT入りも有力視されており、2021年にはワイルドカードとしてCT戦メキシコでの「Corona Open Mexico」で3位、ブラジルでの「Oi Rio Pro」では5位に入賞。当時は『RedBull』や『Quiksilver』といった大手スポンサーがついていた。

しかし2023年、ポルトガルでの「Ericeira Pro」で膝の靭帯を負傷。ケガを抱えながら大会に出場したことで状態は悪化し、数ヶ月サーフィンができない状況に陥った。

ブランドの予算縮小も重なり、2024年初頭にはRedBull、Quiksilverとの契約が終了。大手スポンサーなしでCSを回ることになり、遠征費の負担も大きかったという。本人も「正直クレイジーだ」と語っていた。

2024年の終わりには、ツアーを続けること自体に限界を感じていたという。

スポンサーのステッカーが消えたボードで、それでもツアーを回り続けたマテウス・ハーディー。2024年(親友のサミュエル・プーポ)Photo: WSL / Thiago-Diz

その後、映像シリーズ『スナプト5』のクリエイターであり、多くの才能あるサーファーを支えてきたローガン・デュリアンが、彼に再びチャンスを与えた。クオリファイを目指して世界を回るための資金を支援したのだ。

こうしてマテウスは2025年シーズン、再びツアーへ復帰。WSLのCS3大会とQS7大会を転戦し、さらに「Stab High Japan」や「Stab Highway East Coast」、「Surf100 California」などのイベントにも出場し、存在感を示していった。

日本の静波サーフスタジアムで開催されたStab Highで初めて顔を合わせたというマテウスとジュリアン・ウィルソン。この出会いをきっかけに、マテウスは2025年のUSオープン出場を前に、ジュリアン・ウィルソンが手がけるブランド『Rivvera Projects』とのスポンサー契約を結ぶことになった。

ついに掴んだCTへの切符。
ベストフレンドであるジョアオ・チアンカとサミュエル・プーポとともに、世界最高峰の舞台へと挑む。そこで彼がどんなサーフィンを見せてくれるのか、大きな期待が集まっている。

(Mion)

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