(10ポイントを出したグリフィン) PHOTO: © WSL/Cait Miers

ファイナルデイを戦うベスト4が決定!CT第7戦『Western Australia Margaret River Pro』4日目

ワイナリーとしても有名なマーガレットリバーで開催中のCT第7戦『Western Australia Margaret River Pro』は4日間のオフを経て現地時間5月26日に再開。

ウェイティングピリオドが翌日の27日ということで、この日は朝から夕方までのマラソンデイ。
会場のメインブレイクには、公式6-8ftレンジのサウススウェルが入り、風も合ったグッドコンディションでウィメンズRound of 16から再開。
メンズQFの後、ウィメンズQFまで進行してファイナルデイを戦うベスト4が決定した。

(グッドコンディションに恵まれたメインブレイク) PHOTO: © WSL/Cait Miers

この日の主なトピックは、ワイルドカードのブロンテ・マコーレーがSF進出、ミッドシーズンカットを巡る戦いでレイキー・ピーターソンが勝ち進んでいる一方、サリー・フィッツギボンズが敗退。
ルアーナ・シルヴァがエリン・ブルックスを倒してカットをクリア。
コラピント兄弟が快進撃を続け、兄のグリフィンが今季3本目のパーフェクト10、クロスビーが3度目のSF進出など。
ミッドシーズンカットの選手も全て確定した。

また、メンズは五十嵐カノアがカレントリーダーのオージーレッグだけのランキング「GWM Aussie Treble」でウィメンズはイザベラ・ニコルスが早くもタイトルを確定させ、高級SUV「GWM Tank 300」を獲得。
ライブランキングでジョーディ・スミスが2017年以来の世界トップに立った。

ワイルドカードのブロンテ・マコーレーがSF進出

(ブロンテ・マコーレー)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

QFのH1では、ランキング3位の強豪、モリー・ピックラム(AUS)とワイルドカードのブロンテ・マコーレー(AUS)が対戦。

ローカルのブロンテがバックハンドで7.17と7.83を重ね、74%のファン投票を獲得しながらも、6ポイント止まりだったモーリーに圧勝した。

「正直、すごく勝ちたいって思ってる。最初の2ヒートは自分のサーフィンができてなかった感じがあったけど、ようやく良い波を2本つかめて、ちょっと驚いてる自分もいるわ。あんまりフィットしてる感じもしないし、ちょっと成り行き任せなところもある。でも、一瞬一瞬を楽しもうとしてるわ。多分、これが最後のイベントになるだろうし、階段を降りたり、ハイタッチをもらったり、コーチのストンパー(マイク・マコーリフ)と話したり、ラインナップにいてバックハンドのリエントリーを何本か決めたり。そういう小さな瞬間を楽しみたい。今朝、早くからみんなが来てくれてて、それも本当に嬉しい。今もまだみんな会場に残ってくれているしね。こんな風に地元で戦えるサーファーってそう多くはないから、私はこの時間を存分に味わってるわ」

PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder

昨シーズン限りでフルタイムのコンペティションからの引退を発表していた31歳のブロンテ。
今回のワイルドカードでの出場は、本当に最後のコンテストジャージ着用となる覚悟で挑んでいる。

早朝から会場に駆けつけた地元ファンの声援に応えるかのように、Round of 16では2023年のワールドチャンピオンで金メダリストでもあるキャロライン・マークス(USA)をブザービーターで倒し、その後にモリーも下して会場を沸かせていた。

SFではケイトリン・シマーズ(USA)とのカード担ってる。

土壇場で巻き返したレイキー

(レイキー・ピーターソン)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

ミッドシーズンカット最後のイベントになる『Western Australia Margaret River Pro』は、ライン付近の選手にとって最もストレスフル。
但し、2026年のウィメンズのツアー枠が18名から24名に拡大されるため、11位から14位までの選手は2025年の後半戦には進めないものの、2026年にはCTに戻れる。

ライブランキングで15位だったレイキー・ピーターソン(USA)は、過去の大会優勝者2人と対戦するというプレッシャーの中、2019年に優勝した以来のSF進出を果たした。
それもウィメンズでは最も高い二つのヒートスコアを続けた快進撃だった。

PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder
PHOTO: © WSL/Cait Miers
PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder

Round of 16では、タイラー・ライト(AUS)と対戦。タイラーはマーガレットリバー戦で10回中5回もファイナルに進出して2016年に優勝した強敵。
プライオリティを駆使しての勝負でレイキーはウィメンズのハイエストである9.10と7.00を重ね、トータル16.10を揃えて勝ち上がった。

イザベラ・ニコルス(AUS)とのQFでも好調さを維持して1本目で7.33、2本目で6.50を出して主導権を握り、ラスト2本で7.83、8.77とスコアを更に伸ばしてトータル16.34で圧勝。
ライブランキングで9位まで上がり、見事にカットをクリアした。

「今週は人生で一番メンタル的に過酷なチャレンジだった。とにかく自分を保ち続けて、パニックにならないようにすることが精一杯だったわ。サーフィンは私に本当に沢山のものを与えてくれた。今の人生も、素晴らしい友達も全部サーフィンのおかげよ。でも、同時に何度も心を打ち砕かれてきた。ずっと2位ばかりで、ワールドタイトルもそうよね。昨年はランキング11位で終わったし。今年は“もう絶対にああはならない”って決めていた。だから全力でやるしかなかったの。時には、一度どん底に落ちないと、自分が何でできているのか気づけないものだと思う。この一週間は本当にしんどかった。全身全霊を懸けて、ただ自分を信じて、やり切った。ずっと長くこのスポーツをやってきて、“私の中にはまだ力が残ってる”って信じてたから、今日こうやって結果を出せて本当に誇らしい。しかも素晴らしい波で戦えたし、ローワーズでまたサーフィンできるのが本当に嬉しいわ」

昨年はミッドシーズンカットに引っかかったが、シーズンワイルドカードの枠を得ていたレイキー。
次のイベントは自国に戻ってのローワーズ戦になる。

2026年拡大枠を逃したサリー

(4年連続でCS落ちとなったサリー) PHOTO: © WSL/Cait Miers

この日、レイキーが笑った一方でサリー・フィッツギボンズ(AUS)は涙を流した。

Round of 16でイエロージャージを着るガブリエラ・ブライアン(HAW)に敗退していたサリーは、レイキーが同じラウンドを勝ったことでランキング15位が確定してしまい、4年連続でCS落ちとなった。

オージーレッグではベルズでQF進出、ゴールドコーストで2位と好調だったものの、シーズン序盤の結果が響いてしまった。
現在ツアーにフル参戦しているウィメンズで唯一のCS落ちとなり、2026年のウィメンズのツアー枠拡大にも入れなかった…。

その他、ルアーナ・シルヴァ(BRA)がRound of 16でエリン・ブルックス(CAN)を倒してキャリア初のミッドシーズンカットを突破。
エリンはこの敗退で他選手の結果にカットを委ねる形となったが、ランキング10位とギリギリでクリアした。

(ルアーナ・シルヴァ)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

「もう、すごく感情が込み上げてしまっているわ(涙)。この2年間、コンペティション的には本当に厳しかったけど、絶対に諦めなかった。母と父、そして弟がずっと支えてくれた。本当に感謝してる。オーストラリアの3戦だけで、ここまで巻き返せたなんて信じられない。本当に嬉しいし、最高にハッピーよ。そして、これはタティアナ・ウェストン・ウェブのためでもある。過去10年間ずっとCTに残っていた唯一のブラジル人女性だった。私は彼女のように強くなって、ブラジル代表として誇りを持って戦いたい」
ルアーナ・シルヴァ

(エリン・ブルックス)
PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder

「今日は本当にしんどかった。朝のヒートも思うようにいかなかったし、他の選手のヒートを見るのも辛かった。今年、自分のベストサーフィンを見せられているかというと、正直そうじゃない。インスタのクリップではすごいって言われるけど、それを毎回試合で出せるわけじゃないの。ヒート後のインタビューでは『納得してない』って何度も言ってきたし、後半戦ではもっといいサーフィンをして、自分でも満足できる結果を出したい。もっと、頭を使って戦えるようになりたい。ルーキーとして、カットのプレッシャーや期待は思ってたよりずっと重かったわ。特にファイナル5がフィジーで開催されるから、去年の私のパフォーマンスを見て『そこに近づけるんじゃないか』って期待されてるのも分かってる。後半戦こそは、自分の夢に近づけるような結果を出したい」
エリン・ブルックス

ソーヤ・リンドブラッド(USA)、ヴァヒネ・フィエロ(FRA)、ベラ・ケンワーズィ(USA)、ブリッサ・ヘネシー(CRI)はカットライン下となったが、2026年のCT出場資格は確保されている。

コラピント兄弟の快進撃

(グリフィン・コラピント)
PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder

2019年以来となった「The Box」でのRound of 16が記憶に新しいメンズサイドはQFの4ヒートのみ進行。

H1のグリフィン・コラピント(USA)とレオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)のカードはこの日のベストヒートになった。
レオはビッグターンからの最後のクローズセクションでのヒットを成功させ、9.00をスコア。6.73のバックアップを重ねてグリフィンをニード9.40に追い込んだが、グリフィンは高さのあるフルローテーションのエアリバースをメイクしてキャリア3度目となるパーフェクト10を出してマーガレットリバーで5年連続のQF進出を果たした。

「あの10ポイントは、人生でも最も信じられない瞬間の一つだった。着地してから“これ現実?”って感じだったね。自分がボードの上に立っているのを確認するまで、ちょっと夢みたいだった。レオが9ポイントを出した時、“あと2本必要だな”って思っていたし、正直厳しい戦いになるなと思ってたのさ。でも、奥で割れる波ならスピードが出やすくてエアー向きだって気付いたんだ。まさに完璧な波だった。戻ってきてからも、“まだ時間あるし、レオは7ポイント台で逆転できる”って気が抜けなかった。最後はレオに波が来なかったから、母なる自然に救われたって感じだね」

PHOTO: © WSL/Cait Miers

更に弟のクロスビーは、トライアルから勝ち上がったローカルのジェイコブ・ウィルコックスを相手にオープニングで8.83のハイスコアを叩き出し、6.83のバックアップスコアを重ねてトータル15.66で3度目のSF進出を決めた。

2024年のルーキーイヤーにマーガレットリバー戦でミッドシーズンカットに引っかかったジェイコブはリベンジを果たすことができなかった。

「感情の波が激しかった1週間だった。グリフィンがThe Boxでバレルをメイクしたのを見て、そこから気持ちを切り替えないといけなかった。そして今度はあの10ポイント。驚いたよ。その後、自分のヒートに集中して、1本1本丁寧に乗ったんだ。カットを突破してからのこのヒートでは、前より気持ちが軽くて、もっと自由にサーフィンできたと思う。でも、まだまだやりたいことがあるし、兄貴と一緒に勝ち上がっているのが本当に最高。この1週間は一生忘れない」

もし、SFで両者が勝てばファイナルは兄弟対決になる。

(クロスビー・コラピント)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

なお、最終ヒートでイーマイカラニ・デヴォルト(HAW)を倒したジョーディ・スミス(RSA)は、ライブランキングで2017年以来のトップに浮上。
次のカリフォルニアではイエロージャージを着用する。

一方、イーマイカラニのCS落ちが確定。
アレホ・ムニーツ(BRA)がカットラインギリギリでシーズン後半戦進出を決めた。

日本のコナー・オレアリーはH2でハワイのバロン・マミヤに敗退したが、イベント中にカットはクリアしている。

ネクストコールは現地時間5月27日の7時(日本時間の同日8時)

Western Australia Margaret River Pro Women’s Round of 16 Results: 
HEAT 1: Molly Picklum (AUS) 9.17 DEF. Bella Kenworthy (USA) 8.10
HEAT 2: Bronte Macaulay (AUS) 8.73 DEF. Caroline Marks (USA) 8.33
HEAT 3: Caitlin Simmers (USA) 14.50 DEF. Brisa Hennessy (CRC) 14.16
HEAT 4: Luana Silva (BRA) 12.80 DEF. Erin Brooks (CAN) 12.50
HEAT 5: Gabriela Bryan (HAW) 12.83 DEF. Sally Fitzgibbons (AUS) 11.83
HEAT 6: Sawyer Lindblad (USA) 9.20 DEF. Bettylou Sakura Johnson (HAW) 5.73
HEAT 7: Isabella Nichols (AUS) 13.33 DEF. Vahine Fierro (FRA) 10.84
HEAT 8: Lakey Peterson (USA) 16.10 DEF. Tyler Wright (AUS) 14.27

Western Australia Margaret River Pro Men’s Quarterfinal Results: 
HEAT 1: Griffin Colapinto (USA) 16.33 DEF. Leonardo Fioravanti (ITA) 15.73
HEAT 2: Barron Mamiya (HAW) 11.16 DEF. Connor O’Leary (JPN) 8.66
HEAT 3: Crosby Colapinto (USA) 15.66 DEF. Jacob Willcox (AUS) 11.10
HEAT 4: Jordy Smith (RSA) 14.50 DEF. Imaikalani deVault (HAW) 11.50

Western Australia Margaret River Pro Women’s Quarterfinal Results: 
HEAT 1: Bronte Macaulay (AUS) 15.00 DEF. Molly Picklum (AUS) 12.54
HEAT 2: Caitlin Simmers (USA) 9.50 DEF. Luana Silva (BRA) 8.84
HEAT 3: Gabriela Bryan (HAW) 12.97 DEF. Sawyer Lindblad (USA) 8.83
HEAT 4: Lakey Peterson (USA) 16.34 DEF. Isabella Nichols (AUS) 14.33

Western Australia Margaret River Pro Men’s Semifinal Matchups: 
HEAT 1: Griffin Colapinto (USA) vs. Barron Mamiya (HAW)
HEAT 2: Crosby Colapinto (USA) vs. Jordy Smith (RSA)

Western Australia Margaret River Pro Women’s Semifinal Matchups: 
HEAT 1: Bronte Macaulay (AUS) vs. Caitlin Simmers (USA)
HEAT 2: Gabriela Bryan (HAW) vs. Lakey Peterson (USA)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

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