F+(エフプラス)
バーレーヘッズ。フィリッペ・トレド優勝。序盤の爆発のまま、爆発し続けて優勝というレアなケースだった。なんか久しぶりにフィリッペのフィリッペらしいサーフィンというか、思い切りのいいターンとエアーの組み合わせというか、あの10点満点のバレル飛び出し、そのスピードのままアリーウープの完成度はフィリッペならではかな、と思う。あのスムーズな流れとそれぞれのマニューバーのクオリティの高さは、他ではまるでみられないところなので、至極妥当な10点だったと思う。

なんか、勢いというか強さが全盛期のフィリッペだったな。「殿ようやくお目覚め」、な感じ。息子さんのお誕生日に優勝ってのも、出来すぎなお目覚めストーリー。

2位のジュリアンもよく飛んだしよく着地したし、ターンもきれいだったし、爆発のままファイナルで、この爆発同士のファイナルは見ごたえがあった。あれだけエクセレント応酬のシーソーゲームファイナルってそう多くないと思う。

女子はベティルー・サクラ・ジョンソンがCT初優勝。私はガブリエラとベティルーはけっこう高く買ってたので、結果出てよかったかな。2位はサリー・フィッツギボンス。2位になってもランキングは15位で変わらないって、女子のほうは上のグループと下のグループに大きな差があるってことですね。でもこれで次のマーガレットリバー次第ではハーフカットメイクできるかも。まぁ、CSに回ったところであのサーフィンならクオリファイするだろうけど。

ベルズ2位、バーレーヘッズ3位とオーストラリアレッグ絶好調の五十嵐カノア。ランキングを4位にまで上げた。どのラウンドも先行して早めに2本そろえ、相手がヒートハイエストスコアを持っていても、2本目がそろわないという、カノアのヒートIQの高さが目立った試合運びだった。この序盤に2本7点揃える、というのはヒート運びの理想なんだけど、できそうでできないことだと思う。プライオリティも終始自分のコントロール下においていて、安定感は抜群だった。セミはジュリアンの爆発力にやられたけど。

今回全体的に思ったのは新旧サーフィンの違いというか、ターンの美しさと過激さの違いというか。
ジュリアン、ステファニー・ギルモア、サリー・フィッツギボンスあたりと、フィリッペ、ベティルー、エリン・ブルックスなんかを比較すると、アプローチのボトムからのラインが全然違うし、トップでの滑らか感とガシガシ感というか、そこでの迫力の差は明確にあって、まぁ、現在はそこでスピーディなガシガシが要求されているのだろうけど、個人的には滑らか好きだなぁ。シンプルに、ジュリアンのターンキレイ、とか思ってしまうわけです。ガシガシとジョン様のパワフルな滑らかはまた違う要素で、あのジョン様やジャックロボのパワフルな滑らかが一番難しいところなんだろうと思う。
ターンの終わりまでレールが抜けないので、ずっと板が傾いていてノーズ浮かないしデッキがフラットにならない。あれはすごいと思うけど、なんかスピードとガシガシ優先で浮いたり止まる感のあるのは好きじゃない。だったらジュリアンみたいに優雅に回してほしい(笑)。

若いころのジュリアンは飛び屋さんとしても定評があったけど、当時はあまりリワードされなくて、今年復活するにあたってそのテクニックはかなり有利に働くことと思う。普通にクオリファイしてきそうだ。CS若手やりにくいな(笑)。