TSJJ 15-2

パイプラインの侍、ボビー・マルティネスの今ほか、TSJJ15.2号の読みどころ

7月31日に発売された「ザ・サーファーズ・ジャーナル」日本版15.2号の読みどころを同誌のコントリビューティング・エディターも務める李リョウが紹介。


「パイプラインの侍」
比類なきパイプライナー、脇田貴之

ほんの数年間だけど、私はパイプラインでウォーターショットを実践した経験がある。パイプのバレルが吐き出すスピッツを、もろに被るようなところに浮かんで撮影する。言いかえれば、特等席で世界最高峰のサーフィンを見物しているようなものだった。

その頃、すでに脇田貴之氏はパイプラインでサーフィンをしていて、誰よりも奥からバレルにチャージしていた。彼はロコも手を出さないクローズアウトぎみの波にチャージするから、ワイプアウトは凄まじく、心臓が止まるような瞬間をたびたび目撃していた。

数年後に、脇田氏から話を聞く機会に恵まれて、あの位置からチャージする理由に、ローカルサーファーに対するリスペクトがあることを知って驚いた。彼らのサーフィンを邪魔したくないという意味が込められていたからだ。今回の記事を読んで、その姿勢が普段の生活でも一貫しているんだなと、改めて感じた。

片瀬海岸の小さな波で育ち、ドリアン・パスコウィッツからも薫陶を受け、ノースショアーに住んでパイプの波で修行を積むという生き方。今回は多くの目撃者が彼の人となりを語っている。

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「それ以上でもそれ以下でもなく」
中村清太郎のロングボードサーフィン

中村清太郎氏のプロファイルともいうべきこの記事は、米国サーファーズジャーナル誌に掲載された記事です。竹井達夫氏の写真と文章で、清太郎のサーフィンとその個性が魅力的に表現されています。

さて、90年代のロングボードリバイバル以降、サーフィンのジャンルは大きな多様性を見せ、自分の嗜好に合ったスタイルを選べるようになりました。それ以前は、業界に押し付けられたトレンドに従うしかなく、おじさんサーファーもネオンカラーのようなウェットスーツやペラペラのトライフィンでサーフィンをしたものです。

そのようなロングボードブームとともに、サーフシーンに登場してきたのが中村清太郎氏です。そのタイミングを考えると、彼は時代に選ばれたサーファーと言っても過言ではないでしょう。無駄な動きを廃し、最小限のトリミングで波をメイクするというスタイル。サーフボードに立って一直線にグライドしただけでも、彼のサーフィンの美しさが理解できます。湘南という土壌に育まれたシードリングとして、中村清太郎氏はこれからも語り継がれていくでしょう。

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「ボビー・マルティネスの今」
忘れがたい才能と、もっとも率直な声に寄り添う

ボビー・マルチネスって個性あるよね。あのバックサイドの垂直リップは、オッキーを彷彿させる破壊力があって大いに魅力的。そのパーソナリティは、どっちかっていうと悪ガキタイプのサーファーという雰囲気を醸していました。もう少し大人しくしていれば世界チャンプも夢でなかったかもしれないと思うと少し残念。

彼が活躍した時代は、サーフィン業界が活況を呈していたから契約金の額もそれなりに凄かったと思う。コンテストの世界にいたたまれなくなって飛び出したんだけどね。それでもいくつかのスポンサーは彼との契約を継続中ということです。そんな現在の彼を取材したのが今回の記事。当時のプロ組織に対して辛辣な意見を表明したボビーですが、その視点は、今なお立ち止まって考える意味があるかもしれないと、私は個人的に思います。

彼のホームであるサンタバーバラに住んだことのある私にとって、この記事に登場する場所が、当時のイメージとぴったり重なり懐かしさが込み上げてきましたも。リンコンの駐車場から、彼が住むメサという町や、犬と散歩する公園も鮮明にイメージが湧きます。メサは、崖にある長い木の階段を降りるとビーチブレイクがあり。そこでメキシコ人の少年とよく会いました。あの少年はひょっとしてボビーだったのかなと、ふと思うことがあります。

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碇山勇生インタビュー

愛称「ユウセイ」は「島んちゅ」っていう言葉がぴったりくるサーファーですね。彼はプロサーファーとしてサーフショップを経営する傍で、自然環境の保護活動家としても活躍しています。一般社団NEDIの代表理事として地元奄美大島の自然を保護するために東奔西走しているようです。現在、この島は土地の価格が10年前より10倍に跳ね上がり、リゾート開発という危機に瀕しているようです。その現状についてユウセイ氏自身が、本誌編集長に語っています。

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(李リョウ)


THE SURFER’S JOURNAL(ザ・サーファーズ・ジャーナル)日本版15.2号

●世界でも選りすぐりのフォトグラファーによって捉えられた、サーフィンの美しく迫力に満ちた瞬間。
●新旧様々なライターたちに綴られる、本質的でバラエティに富んだストーリー。
最も信頼されるサーフィン誌として世界中のサーファーたちから愛され、書店では買うことができないライフスタイル・マガジン。

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