2025年にCSのシーズンワイルドカードを与えられ、CT復帰への決意を固めていたジュリアン・ウィルソン。
更にトライアル優勝でワイルドカードを得たCT第6戦『Bonsoy Gold Coast Pro』ではフィリッペ ・トレドとファイナルで互角の勝負をして2位になり、誰もがジュリアンの復帰を確信していた。
しかし、蓋を開けてみればジュリアンの姿はシーズン序盤だけで、後半戦は欠場が続くことに。
その理由は競技成績の不振ではなく、直面していた「過酷なビジネスの現実」だった。
経営を直撃した「トランプ関税」の衝撃

PHOTO:© WSL/Andrew Shield
ジュリアンの欠場の理由は、意外にも政治・経済の荒波だった。
彼が2022年に立ち上げたアパレルブランド「Rivvia Projects」は、当時カリフォルニア州ロングビーチに拠点を置いていたが、トランプ政権が発動したグローバルな関税政策が経営を圧迫したのだ。
米国外で生産を行っていた同ブランドにとって、この追加関税は致命的なコスト増を意味した。
この苦境は、ハードウェア大手のFCSが米国業務を一時停止せざるを得なくなったのと同時期であり、業界全体に大きな影を落としていた。
拠点を母国オーストラリアへ

「Rivvia Projects」を存続させるため、ジュリアンは本社をカリフォルニアから母国オーストラリアのニューキャッスルへ移転させるという大きな決断を下した。
「CT復帰を目指して世界を転戦するか、実務に没頭して会社を救うか」
究極の選択を迫られた結果、彼は後者を選んだ。
現在、ブランドの焦点は北米からオーストラリア、日本、そしてヨーロッパへと移った。
幸いにもオーストラリア拠点での再始動に対する反応は目覚ましく、ビジネスは徐々に安定の兆しを見せているそうだ。
父として、経営者としての現在地

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経営が安定した現在、ジュリアンの活動は多岐に渡っている。
「Rivvia Projects」のプロジェクトとして、マテウス・ハーディやライアン・カリナンらチームライダーと共に、ブランドの世界観を表現する映像制作にも着手。
単なる競技者ではなく、カルチャーの発信者として動き出している。
また、次世代の育成にも情熱を注ぎ、オリンピックにも関係しているサーフィン・オーストラリアと若手サーファーの育成プログラムについて協議を開始。
長年世界のトップを走り続けてきた彼だからこそ伝えられる知見を、メンターとして還元しようとしている。
2021年に無期限に休止を発表した時に一番の理由としていた家族に関しては、3人の子供に恵まれている。
経営者、父親として今回の荒波を乗り越えたジュリアン。
2026年には再びCT復帰に向けて動き出す意欲も示している。
(黒本人志)














