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【インタビュー】初のワールドタイトルを獲得したモリー・ピックラム&ヤゴ・ドラに12の質問

フィジーのタバルア島・クラウドブレイクで開催された『Lexus WSL Finals Fiji』で初のワールドタイトルを獲得したモリー・ピックラムとヤゴ・ドラ。

チャンピオンになった直後のインタビューはすでにコンテストリポート中に掲載しているが、あらゆる角度から10日間取材していた海外メディアのstabがタイトルを獲得した翌日にインタビュー。

二人への12の質問と答えとは?

ちなみにヤゴは優勝後にサッカーのロナウドと同じヘアカットに。
モリーはすでに帰国して空港で盛大な歓迎を受けていた。

今年、最も疑念を感じた瞬間はいつ?

ヤゴ:パイプでのシーズンの始まりだったと思う。準備はすべて整っていた。いつでも行けると感じていたんだ。
パイプは本当に好きなイベントで、サーフィンをするのも大好きなんだけど、いざイベントに行ってみたら、最初の数ラウンドは波がひどくて、敗者復活戦で負けてしまったんだ。あれだけしっかり準備して、シーズンを始める準備ができていたのに、あんな始まり方をするのは本当にきつい。ひどい出来事だったけど、不思議なことに、その後の1年を戦う上でのきっかけにもなったと思う。

モリー:マーガレットリバーだったかもしれないわね。
あの時、そういう瞬間があったわ。私にとって、自分自身で状況を変えるための重要な瞬間だったの。でも、それは疑念とは少し違うわ。だって、私は人生において、決してレースから脱落することはしないから。

逆に 「これはいける!」と思った瞬間はいつ?

ヤゴ:シーズンが始まる前から、そう感じていたんだ。
でも、このシーズン中にそう思ったのは、ポルトガルで優勝した後だと思う。これまではシーズンの前半で良いスタートを切れず、後半にいくつか大きな結果を出すことが多かった。でも、今回は優勝して、それを裏付けるいくつかの良い結果も出せたから、その後のシーズンに向けてとても良い流れができた。だから、こんなに良いスタートが切れて、後半もまた良い結果を出せば、「これはいける!」と思った。

モリー:ブラジルで優勝した時よ。
「ああ、やったわ。ノッてるわね!」って思った。

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昨日、自分自身について最も驚いたことは何だった?

ヤゴ:プレッシャーが凄くかかっている中で、ヒートに臨む時の自分の感覚がどれだけ良かったかということだね。
本当に大きなプレッシャーだった。そして、その時の自分の感覚、自分のサーフィンに、本当に誇りを感じている。ヒート中に居心地良い感じ、自分の好きなようにサーフィンができた。ひどく緊張したり、自分の決断をすべて疑ったり、多くのミスをしたりすることはなかった。サーフィンの部分だけでなく、かなり賢いヒート運びができたとも感じている。自分があのようにパフォーマンスできたこと、そして自分のマインドセットに、ただただ誇りを感じたんだ。

モリー:最初のヒートに出た時、あまりスイッチが入っていなくて、ちょっとしたくだらないミスをしてしまった。
もちろん、そういうのはなくしたいと思うものよ。でも、そこから気持ちを切り替えて、「いや、違う、このやり方じゃダメだわ。こっちのやり方でいくんだ」って言って、そして実際にそうできたことを誇りに思うわね。だから、それは良かったわ。

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今年、何かジンクスやルーティンはあった?

ヤゴ:「優勝したら守らなければならない」という異なる約束を各イベントで決めていた。
ポルトガルでは、街の中心にある凄く冷たい噴水に飛び込まなければならなかったんだ。その夜は気温がゼロ度くらいで、風も凄い強かったのに、噴水に飛び込まないといけなかった。それからロワーズでは、決勝で着たジャージをカリフォルニアからブラジルまで着て帰らなければならなかったんだ。そして、ここフィジーでは、この凄いヘアカットをしないといけなかったんだ(笑)。

モリー:私はどこでも同じルーティンを守っているわ。
主にウォームアップとストレッチ、それから同じ4曲を聴くの。「ショー・ミー・ラヴ」という曲が1曲あるけど、あとは忘れちゃったわ。時々忘れてしまって、「あ、しまった、手順を飛ばしちゃった」ってなることもあったわね。でも、それが私に影響することはなかった。

ファイナルの前に目を閉じた時、何を思い描いていた?

ヤゴ:ただ、守ってくださいと、神様に導きを求めていた。
何が起きても、それは彼の選択だと彼にコントロールを委ねて、自分の信念を彼の手に委ね、ただヒート中に良い波に恵まれるようにお願いしていた。そして、自信を持って、ボードが上手く機能すること、正しい判断を下せるように。それを求めていたんだ。

モリー:私はただ、呼吸をするだけ。
パドルアウトする直前が、人生で最も集中できる瞬間だと思う。

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最初のヒートで勝った気分はどうだった?

ヤゴ:めっちゃ最高だったよ(笑)。
素晴らしかった。

最初のヒートに負けた気分はどうだった?

モリー:全然影響なかったわ。
だって、その日をどう過ごしたいかはすでに決めていたから。1ヒートで終わるか、3ヒートやるか。どちらにしても良かったんだわ。最初のヒートに負けたから、「よし、もう一度行こう。これは計画通りだわ」って思ったの。そして、それが私の思うように進み始めた時、「やったー!」って感じだったわ。

優勝とは関係なく、今年最も誇りに思っていることは何?

ヤゴ:自分がどれだけ成熟したかということ。
競技者としてだけでなく、人間としても。そして、人生とキャリアにおいて下した決断についても誇りに思っている。それらが自分にとって良い方向に働いてきたからね。

モリー:オースティン(モリーのボーイフレンド)と私の関係かしら。
私たちは本当に多くのことを乗り越えてきた。人間として、そして一緒に凄く成長したように思う。それはとても素敵なことだったわ。

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ファイナルズの前夜はどのように眠りについた?

ヤゴ: 早く、8時半くらいに寝たから、ぐっすり眠れた。
でも、午前3時に目が覚めてしまって、それからはもう眠れなかったんだ。その後は、色々な考えが頭をよぎって、なかなか寝付けなかった。

モリー:眠れなかったわ。
目が覚めてしまった。ファイナルズのことは全然考えてなかったのに。ここが一番腹立たしいところなんだけど。なぜか全然眠れなかったの。

優勝後は?

ヤゴ:かなりひどかったね。
すごく酔っ払って寝たから(笑)。

モリー:うん、あんまり眠れなかったわね(笑)。
でも、今夜はぐっすり眠れると思う。

この優勝をどのように記念する予定?自分へのご褒美に何か大きな買い物はする?

ヤゴ:いや、特にないんだ。
目立ったものは何もない。ただ家に帰って祝いたいだけ。あちこちの街に行って祝いたい。ブラジル中に友達がいるから、会いに行きたい。僕が着いた時には、沢山の友達がフロリパに会いに来てくれると思う。きっと多くのことが以前とは違うだろうけど、ああ、家に帰ってどうなるか見るのが楽しみだね。

モリー:NRLやスーパーボウルの優勝者が作ってもらうリングが凄く好きなの。
だから、そんな感じのものを何とか作れないかなって考えていた。でも本当は、セントラルコーストに何か持ち帰るという夢があった。あそこからは沢山の素晴らしいサーファーが生まれていて、そして今、世界タイトルがある。シェリービーチを通るドライブスルーがあって、みんなそこに集まると思う。ジョンがハワイの街を通り抜けるのを見て、みんなが興奮しているような感じになると思うわ。

これから6ヶ月間、大会に出場しないことについて、どう感じる?

ヤゴ:長いオフ期間があるのは良いことだね。
ゆっくり休んだり、フリーサーフトリップに行ったりできる。それが本当に楽しみだ。去年もそうしようとしたんだけど、シーズン直後に怪我をしてしまって、しばらく休まざるを得なかった。2ヶ月間はほとんどサーフィンができなかったんだ。身体を100%に戻すことと、今シーズンへの準備に集中していた。でも今回は、いくつかトリップに行って、映像を撮りたいと思っている。

モリー:なんてことかしら。6ヶ月間も大会がないなんて。
すごくワクワクするわ。ツアーを目指し始めてから、純粋にただサーフィンをするってことが、あまりできていなかったように感じるの。プロサーファーなのに変な話に聞こえるかもしれないけど、競技のバブルの中でサーフィンするのと、自分の外に出てサーフィンするのとは違う。それをやるのが凄く楽しみよ。

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世界を征した今、目標は変わった?

ヤゴ: いや、特に変わらない。
夢の一つは達成したけど、人生をかけてサーフィンをすること、そしてワールドツアーで戦うという夢を追いかけ続けるつもりだ。それが僕の好きなことだから。そして、毎年上達しようと努力するのが好きなんだ。これからもそれを続けていくつもりだよ。

モリー: いいえ、それが今年一番学んだことだわ。
私には追いかけるべき私自身の個人的な「世界タイトル」があるの。そして「世界タイトル」そのものは、最後に手に入れられることを願う、コントロールできないものだわ。実際にそれを手に入れられたことは信じられないくらいだけど、私にとって何も変わらないわね。サーフィンのこと、そして私生活のことから、いくつか目標を選んで、そのことを365日間かけて微調整していく。そして年末になったら、「来年は何をしたいかな?」って考えるわ。

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(黒本人志)

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