(congratulations!) PHOTO: © WSL/Cait Miers

モリー・ピックラム&ヤゴ・ドラが初のワールドタイトルを獲得!『Lexus WSL Finals Fiji』

2021年から始まったレギュラーシーズンのトップ5によるタイトルマッチ、「WSL Finals」というフォーマットも今年が最後。
2025年はレギュラーシーズン11イベントが行われ、「WSL Finals」はカリフォルニアのローワー・トラッセルズからフィジーのタバルア島へ移動。
現地時間9月2日、レフトのアウターリーフ、クラウドブレイクで『Lexus WSL Finals Fiji』が開催され、男女共に初のワールドチャンピオンが誕生した。

3ヒートまでもつれ込んだタイトルマッチを制したモリー

(モリー・ピックラム)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane

ウィメンズサイドのファイナル5はシード順で以下。

モリー・ピックラム(AUS)
ガブリエラ・ブライアン(HAW)
ケイトリン・シマーズ(USA)
キャロライン・マークス(USA)
ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)

本来のバレルメインのクラウドブレイクではなく、マニューバーメインとなった勝負で唯一のフロントサイドとなるNo.4シードのキャロライン・マークス(USA)が快進撃を続けた。
スローヒートになったサクラとのマッチ3では先行勝ち、ケイティ、ガブリエラを立て続けに倒し、モリーとのタイトルマッチも先行する勢いがあった。
しかし、2ヒート目からモリーが覚醒して8.83を含むトータル15.83で勝利。逆にキャロラインは先の4ヒートの疲れが出たのか失速してしまい、モリーが3ヒート目も8.83を出し、トータルでは16.93とイベントを通してのハイエストヒートスコアを更新して圧勝。タイトル獲得後は感情を爆発させ、大声で叫びまくっていたのが印象的だった。

「今は言葉もないわ。これは、私のキャリアと個人的な生活における、あらゆる努力の集大成だと感じている。ワールドチャンピオンという、決して奪われることのないこの称号は、まさに最高の旅路。素晴らしいシーズンを過ごした後のこの勝利は、とても特別なもので、一生忘れないわ。誰もが認める、文句なしのチャンピオンになることは私の夢だった。その夢がこの形で叶い、胸が一杯。信じられない。大好きなことをする機会を与えられたことに、ただただ感謝している」

(最初のマッチから勝ち上がってきたキャロライン)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane
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PHOTO: © WSL/Ed Sloane
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ここまでのモリーのキャリアは順風満帆ではなかった。

2022年のルーキーイヤーはミッドシーズンカットでCS落ち。
2023年に戻った後は2年連続でサンセットビーチで優勝、「WSL Finals」出場を果たしたものの、5位で終えていた。
そして、2025年は22歳にしてベルズ戦を除くと全てのイベントでQF以上をメイク。SF以上は8イベント、5イベントでファイナル進出を果たし、ブラジル、タヒチで優勝と驚異的な強さでNo.1シードを獲得していた。

「セントラルコースト出身の私が、ステフ(ギルモア)やレイン(ビーチェリー)、サリー(フィッツギボンズ)、タイラー(ライト)といった選手たちに憧れて育ち、今、彼女たちと同じリストに名を連ねているなんて、本当に信じられない気持ちよ。とても光栄で、感謝しかない。私たちより前に、多くの素晴らしい女性サーファーたちが道を切り開いてくれたおかげで、私たちも大好きなことができる。その仲間入りができたのは、本当に最高の気分。『子どもを育てるには村中総出で』ということわざがあるけど、セントラルコースト全体、そして私のチーム、家族、友人が、一年を通して私を支えてくれた。彼らは私のことを良く知っていて、私がどれほど一生懸命頑張ってきたかも知っている。その人たちの前で達成できたことは、本当に特別なことよ」

5人目のブラジリアンチャンピオンとなったヤゴ・ドラ

(ヤゴ・ドラ)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane

メンズサイドのファイナル5はシード順で以下。

ヤゴ・ドラ(BRA)
ジョーディ・スミス(RSA)
グリフィン・コラピント(USA)
ジャック・ロビンソン(AUS)
イタロ・フェレイラ(BRA)

3ヒートまでもつれ込んだウィメンズは対照的にメンズは1ヒートでブラジリアンのヤゴが決めた。

タイトルマッチまでの流れを簡単に説明すると、特大のアーリーウープでジャックを仕留めたイタロがゾーンに入っていたグリフィンの前にあっけなく敗れ、ジョーディは8.67とヒートのハイスコアを出しながらもバックアップ足らず、グリフィンがタイトルマッチ進出でチャンスを手に入れた。

(絶好調だったグリフィンだったが…)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane

風の影響が強まる傾向の中で進行したタイトルマッチはグリフィンのスタイリッシュなバックハンドから始まったが、ヤゴがビッグターンからの難しいリエントリーを決めて7.33。中盤には深いボトムターンからの3ターンコンボと最後にはシャンデレラバレルを抜けて8.33。6ポイント止まりのグリフィンを完璧に抑えることに成功した。

「グリフィンは、今日一日を通して危険な存在だったから、彼との対戦は緊張したよ。だから、1つのヒートで決着をつけ、シードを有利に活用できて良かった。今日、倒すべき相手はグリフィンだった。最初のヒートからずっと彼は絶好調だった。昨年のここでの優勝者だから、彼のポテンシャルは分かっているし、今日も凄かったよね。もちろん、自分のサーフィンを信じる必要があったし、良い波に乗れれば勝てると分かっていた。今日、それを成し遂げられて本当に嬉しい」

PHOTO: © WSL/Ed Sloane
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2015年にエイドリアーノ・デ・スーザがブラジリアンとして初めてワールドタイトルを獲得してから10年。
以来、ガブリエル・メディナ、フィリッペ ・トレド、イタロ・フェレイラと4人が合計7回もワールドタイトルを獲得していたが、2025年はヤゴが5人目としてそのリストに加わった。

「たった1つのヒートで、1年間の全てが決まるなんて、本当にクレイジーだね。それが僕に味方してくれたことが、本当に嬉しい。最高に幸せさ。本当に幸せだよ。この1年間と同じやり方でやり遂げて本当に良かった。大きな責任だったけど、正しい決断だったと思っているよ。今年は本当に自分の意志を感じられたし、これからももっとやっていけると感じている。本当に嬉しい。前の世代のブラジリアンがワールドタイトルを獲得するのをずっと見て育ったから、リストに加われたことを本当に光栄に思っている」

(父親の父親のレアンドロ・ドラ)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane

10代の頃に優れたフリーサーファーとして活躍したヤゴ。
2018年のルーキーイヤーは21位、翌年も22位と苦戦したが、2021年には9位となり、2023年以降はトップ10の常連となった。
2025年はポルトガル、カリフォルニアで優勝。J-Bayで2位に入り、初のイエロージャージを着て最高の形でシーズンを締めくくった。

「フリーサーフィンの世界からキャリアを始めたけれど、コンペティションこそが本当に心を突き動かし、追い求めたいものだと感じたんだ。そして、今年はもっと自信を持てるようになった。ヒート戦略など、結果を出すために常に完璧なサーフィンをする必要はないと感じるようになった。時には、ロースコアでヒートに勝つ方が、ハイスコアで勝つよりも難しいこともある。今年はそれができるようになった気がする。この一年、すべてのピースが完璧にはまり、素晴らしいヒートもあれば、苦戦したヒートもあった。ここまで辿り着き、あのパフォーマンスでシーズンを終えられたことが、本当に特別なことだよ」

2026年のCTは全12戦。
「WSL Finals」がなくなり、「ポストシーズン」という新たなフォーマットが採用される。
また、ウィメンズのCT出場枠が18名から24名に拡大され、敗者復活戦が廃止。
「パイプマスターズ」が最終戦となる。

ジョン・ジョン、ガブリエル、ステファニーも復帰予定。
開幕戦は4月のベルズから始まる。

2025 Lexus WSL Finals Fiji Presented by Corona Cero Women’s Results: 
TITLE MATCH 3: Molly Picklum (AUS) 16.93 DEF. Caroline Marks (USA) 6.24
TITLE MATCH 2: Molly Picklum (AUS) 15.83 DEF. Caroline Marks (USA) 8.03
TITLE MATCH 1: Caroline Marks (USA) 12.50 DEF. Molly Picklum (AUS) 10.50

MATCH 3: Caroline Marks (USA) 13.67 DEF. Gabriela Bryan (HAW) 9.47

MATCH 2: Caroline Marks (USA) 14.60 DEF. Caitlin Simmers (USA) 11.33

MATCH 1: Caroline Marks (USA) 9.66 DEF. Bettylou Sakura Johnson (HAW) 5.00

2025 Lexus WSL Finals Fiji Presented by Corona Cero Men’s Results: 
TITLE MATCH 1: Yago Dora (BRA) 15.66 DEF. Griffin Colapinto (USA) 12.33

MATCH 3: Griffin Colapinto (USA) 15.43 DEF. Jordy Smith (RSA) 13.50

MATCH 2: Griffin Colapinto (USA) 16.33 DEF. Italo Ferreira (BRA) 13.67

MATCH 1: Italo Ferreira (BRA) 14.33 DEF. Jack Robinson (AUS) 5.83

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

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