ワールドタイトルを争う『Lexus WSL Finals Fiji』、開幕直前インタビューのメンズ編。
まずファイナル5を紹介すると、シード1位のヤゴ・ドラ(BRA)、2位のジョーディ・スミス(RSA)は初の「WSL Finals」出場となる。
特に過去に2度ワールドタイトル争いをしたベテランのジョーディは年齢的に今回がラストチャンスになる可能性がある。
3位と4位はタヒチ戦でファイナリストになり、「WSL Finals」出場を決めたグリフィン・コラピント(USA)とジャック・ロビンソン(AUS)、5位は2019年のワールドチャンピオン、イタロ・フェレイラ(BRA)になる。
なお、今回はケリー・スレーターもフィジー入りしており、ワールドタイトルについて意見をしている。
7年目で掴んだチャンス

エイドリアーノ・デ・スーザから始まったブラジリアンのワールドタイトルラッシュ。
ガブリエル・メディナ、フィリッペ ・トレド、イタロ・フェレイラと4人が過去10回のシーズンで7回もワールドタイトルを獲得している。
2025年、29歳のヤゴはCT歴7年目にしてポルトガル、カリフォルニアで優勝。
J-Bayでは準優勝となり、キャリアで初めてイエロージャージを着用して最高のポジションで「WSL Finals」を戦う。
ヤゴの武器はクラシックなスタイル、正確なバックハンド、巧みなバレルコントロール。
そして、世界でも最も進化したエアリアル。
フィジーではフロントサイドとなる彼にとって5人目のブラジリアンチャンピオンはもう目前に迫っている。
「最も誇りに思うのは、常に自分を信じ続けてきたことさ。ヒートが自分の思い通りにいかないと思った時でも、最後の最後まで信じ、最後の数分で多くの非常に厳しいヒートを逆転してきた。常にチームプレーヤーで、他の選手を輝かせようとし、少し控えめに振る舞うタイプだった。でも、今年は自分を第一に考えるように努めてきたんだ。自分にどんな可能性があるか分かっているよ。今年だけでなく、これから何年にもわたってワールドタイトルをかけて戦えると思っている。それが自分のキャリアで成し遂げたいことなんだ。最大限に活かして、大会で勝ち、タイトルを獲りたいね」
ジョーディのラストチャンス

ケリーが去った今、ツアーで最もベテランで最年長37歳のジョーディ。
年齢から考えると今年が最後のタイトル獲得のチャンスになるかもしれない。
2010年からツアーを回っている彼は、ルーキーイヤーと2016年にランキング2位となり、CTでの17シーズン中10シーズンでトップ10入りを果たしている。
今年はエルサルバドルで2017年以来の優勝を遂げ、マーガレットリバーでも優勝。レギュラーシーズンの3分の1の期間でイエロージャージを着用してNo.2シードとしてワールドタイトルを争う。
「本当に最高だよ。自分自身に『お前ならできる、ジョーダン』って言い聞かせたんだ。そして最後まで自分を信じた。今、達成した。さあ、これからだ、楽しむぞって感じだね」
グリフィンはアメリカにタイトルを持ち帰れるか?

グリフィンにとって2025年シーズンはキャリア最悪の出だしだった。
開幕戦で最下位となり、7シーズンのCTキャリアで初めてミッドシーズンカットの危機に直面。
ベルズ戦でのSF進出が転機となり、後半戦はマーガレットリバー、ブラジル、タヒチで2位となり、「WSL Finals」出場を果たした。
マーガレットリバーでは圧倒的なパフォーマンスで10ポイントライドを披露するなどシーズン序盤とは全く違う展開となった。
昨年のフィジー戦で優勝していたグリフィンは他選手にとって怖い存在になる。
グリフィンがタイトルを獲得すれば、メンズでは2011年のケリー以来、アメリカ本土のサーファーがタイトルを持ち帰ることになる。
「今年のスタートは、これまでで最悪だった。でも、その逆境にどう対応するかが違いを生むんだ。時間が経つに連れて、小さな瞬間が必要とする状況で物事を思い通りに進めてくれるようになったと感じているよ」
タヒチでゾーンに入ったロボ

最終戦のタヒチでゾーンに入り、2023年以来、2度目の優勝で4年連続の「WSL Finals」入りを決めた27歳のロボことジャック・ロビンソン。
2025年は他にもベルズで五十嵐カノアとファイナルを争い、優勝。
成績に波はあったが、パリ五輪の銀メダリストでもある彼はバレルに強く、初のワールドタイトル獲得も現実的になってきた。
「いるべき場所にいるんだ。ミッションがあったから、それを目指して突き進んだ。結局、最後の1ヒートにかかって、またそこにいる。さあ行こう。ここにいられることは本当に特別だよ。とても穏やかで、本当に素晴らしい。住んでいる人々や、みんなが良い雰囲気を創り出している。また戻ってこれて嬉しいよ。ある島から別の島へ、とても特別だね。僕らのスポーツの最高の部分は、競技する環境にあると思う。世界中のどんなスポーツよりも、最高の環境を望むことができる。海の中では常に適応し、それと共に動く必要がある。それが僕らのスポーツの一番クールなところだと思う」
2度目のタイトルを狙うイタロ

今年のファイナル5で唯一ワールドタイトルを持っている31歳のイタロ。
2019年のパイプライン、ガブリエルとの一騎打ちによるタイトル獲得の瞬間はCTの歴史に残る感動的な場面だった。
2022年と2024年には、最初のマッチからタイトルマッチまで勝ち上がるなど誰よりも多く「WSL Finals」のヒートを戦っている選手でもある。
東京五輪ではサーフィン競技初の金メダリストとなった一方、波瀾万丈のキャリアを送っている。
2025年はアブダビで優勝、ポルトガルで2位となったが、オーストラリアレッグはスランプでランキングを下げ、シーズン後半戦も危ない橋を渡っていた。
最初のマッチから這い上がらなければいけないNo.5シードでも決して侮れないのがイタロの強さ。
2度目のタイトルの可能性も十分にある。
「実現できて本当に最高だよ。今年はとても良いスタートを切ったんだ。その後、いくつかの結果から最後の数イベントまで少し間が空いたけど、本当に嬉しい。この瞬間を生き、夢を生きる機会を与えてくれた神に感謝したい。特別だね。底辺からスタートして、トップまで行く機会があることに本当に幸せを感じている。それが目指していることなんだ。何回かやったけど、2位が続いたから、今度は1位を獲りたい。もう一度、一つずつトップまで上がっていきたい。それが目標さ」
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)