クラマスのパーフェクトなラインナップ PHOTO:© WSL/Cestari

バリ島クラマス CT『Corona Bali Protected』ガイド

昨年、2013年の『Oakley Bali Pro』以来、5年ぶりにCTの舞台に選ばれたバリ島のクラマス。
グッドコンディションに恵まれ、メンズはブラジルのイタロ・フェレイラの一人舞台。
初開催となったウィメンズはカリフォルニアのレイキー・ピーターソンがタイラー・ライトとの接戦を制した。

今年はオーストラリアレッグのゴールドコースト、ベルズの後、マーガレットリバーの前に第3戦として開催。
バリ島は昔からオージーの島とも言われるほどオーストラリアから気軽に行ける場所。
今だと日本円で2万円前後で往復チケットが手に入るので両国のアクセスは実際の距離よりも遥かに近い。

クラマスの特徴

イタロ・フェレイラ
PHOTO:© WSL/Cestari

バリ島の東側、リゾート地のサヌールよりも北部に位置するクラマスは、南、南西、西ウネリが良く、3ftから10ftまでホールドするライトのポイントブレイク。
ミッドタイドからハイタイドがベストと言われている。

ハイウェイが開通する前はシークレットポイントだったが、現在はCTの他、JPSAも開催され、目の前にはリゾート施設「Komune Resort & Beach Club Bali」も建設されてバリ島を代表するメジャーポイントになっている。

乾季となるこの時期のバリ島はクラマスではオンショアとなる東〜南東風が吹きやすく、基本的にオフシーズン。
昨年のイベント中も風が入る前の午前中のみを利用して小刻みに進行。
通算8日間と通常よりも倍の日数がかかったが、風が吹く前はトラッセルズとハレイワの波をミックスして完璧にしたような素晴らしいコンディションに恵まれ、改めてクラマスのクオリティの高さを示した。

注目の選手

昨年のチャンピオン イタロ&レイキー
PHOTO:© WSL/Cestari

2013年にクラマスを制したパーコことジョエル・パーキンソンはすでに引退。
その年に信じられないような高さのアーリーウープをメイクしてパーフェクト10を出したハワイのジョン・ジョン・フローレンスは昨年深刻なスランプに陥っており、追い打ちをかけるように怪我でシーズンを棒に振ってしまったが、今年は完全復活を果たしているので誰よりも怖い存在だろう。

昨年のチャンピオン、ブラジリアンのイタロ・フェレイラはバックサイドながら完璧なエアーとターンでイベント唯一の10ポイントをマークして他の選手を圧倒。
ファイナルではスイッチスタンスまで披露する余裕があり、ケリーさえも彼のサーフィンを絶賛していた。
成績にアップダウンがある選手だが、リズムに乗ったら止められない。
クラマスでバックサイドが不利ではないと証明したことでイタロの他に2xのガブリエル・メディナも注目したい選手だ。

ウィメンズはディフェンディングチャンピオンのレイキーよりも2戦続けてバックサイドを武器に勝ち上がり、キャリア2年目ながらカレントリーダーの座を手に入れたアメリカのキャロライン・マークスに注目が集まっている。
クラマスの波がパーフェクトになれば女性版・オッキーのようなパワフルなターンが一層映えるだろう。
もちろん、ステファニー・ギルモア、カリッサ・ムーアのレールワークや今年3度目のベルを鳴らしたコートニー・コンローグ、今シーズン好調のマリア・マニュエルの存在も忘れてはいけない。

2013年のパーコはバレル、2019年のイタロはエアリアルとターンのコンビネーションでイベントを制した。
そして、2013年、2019年の両方でファイナルに残ったミシェル・ボウレズは圧倒的なパワーサーフィンでスコアを重ねていた。
「まるでフリーサーフィンのようだった」と2013年のパーコが話していた通り、クラマスで勝つにはオールラウンドの才能が求められる。

ワイルドカード

カイラニ・ジョンソン
PHOTO:© WSL/Hain

WSLはすでに『Corona Bali Protected』のワイルドカードを発表。

ウィメンズはガブリエル・メディナも参加したことで話題になったインドネシアのQS『Krui Pro』で9位になり、QSランキングでは87位ながらインドネシア人で最上位のカイラニ・ジョンソンが選ばれた。
つまり、ローカルワイルドカードという形で、ウィメンズのインドネシア人では初のCT出場。
バリ島南部で育った父親にメローなリーフブレイクからサーフィンを教えられた彼女。上達してからはもっとパワフルでホローな波に挑戦し、今年の初めにはクラマスから5分の場所に引っ越したそうだ。
勝敗に関わらず、若く才能があるサーファーに貴重なチャンスを与えることは、世界中に広がるサーフィンの可能性が将来的により高まることに繋がる。

メンズはベルズに続き、ウエスタンオーストラリアのジェイコブ・ウィルコックが獲得。
強豪を倒して5位に入ったベルズでの戦いぶりを評価された。
意外にもクラマスで入った経験はないそうだが、すぐに飛行機に乗って準備をするとのこと。

同郷のジャック・ロビンソンがQSで活躍してクオリファイの可能性が高まる中、ジェイコブは昨年のマイキー・ライトのようにCTのワイルドカードでランキングを上げていく可能性がある。
特にバリの次がホームのマーガレットリバーだけにクラマスで結果を残すことが夢の舞台への近道になるかもしれない。

追記:メンズのローカルワイルドカードに日本人とバリニーズのハーフ、和井田理央が選ばれた。
和井田理央はCT初出場。

Red Bull Airborne Bali

リーフ・ヘーゼルウッズ
PHOTO:© WSL/Dunbar

今シーズン、ゴールドコースト、クラマス、ホセゴーの3戦でシリーズ化されたエアーに特化したイベント『Red Bull Airborne Bali』の第2戦が開催される。

第1戦のゴールドコーストではイタロが優勝、2位は本戦でも活躍したオーストラリア・サンシャインコースト出身のリーフ・ヘーゼルウッズ。
リーフはこのイベントの後にHURLEYと契約して次のベルズにもシーバスのリプレイスメントとして参加。
『一宮千葉オープン』にも参加していた。
そのリーフを初め、このイベントでは初参加となるバリ島在住のリー・ウィルソンなどが注目選手だ。

他にもチッパ・ウィルソン、ノア・ディーン、マット・メオラ、カラニ・デイヴィッド、イーサン・オズボーン、メイソン・ホー、フィン・マクギルなどが参加する。

環境問題

PHOTO:© WSL

バリ戦は当初『Corona Bali Pro』というイベント名だったが、『Corona Bali Protected』にイベント名を変更。
この背景にはバリ島が抱える深刻な問題がある。

魚や鳥などの生態系に大きな影響を与える海洋プラスチック汚染に警鐘を促し、WSLとスポンサーの「Corona」、NPO団体「Parley for the Oceans」が協力してプロサーファーと共に実際にビーチクリーンなどを行なった。

今年もこのイベント名を継続しているため、開催中は環境問題に特化したトピックスが続々と更新されるだろう。

ちなみにバリ島でも「Fantasy」でチームTHE SURF NEWSを編成。
以下のメンバーをピックアップしてみた。

CT第3戦『Corona Bali Protected』は5月13日〜25日に開催される。

WSL公式サイト:http://www.worldsurfleague.com/

チームTHE SURF NEWS

(空海)

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