現地時間9月18日、オーストラリアのベルズビーチを舞台とした『Bioglan Bells Beach Longboard Classic』は2日目を迎え、敗者復活戦のElimination Roundが進行。
前日にOpening Roundをトップ通過した選手を含め、Round of 16を戦うベスト16が全て決定した。
この日は公式3-4ftレンジと初日とほぼ同様ながら、終日クリーンなフェイスを維持。
リンコン、ボウルズ共にある理想的なコンディションで世界トップのロガーが素晴らしいライディングと戦いを披露していた。
ラウンドアップを果たしたハワイの強豪二人

PHOTO: © WSL/Ed Sloane
初日に行われたOpening Roundは徐々に風の影響が入ってしまい、特にメンズはバンパーで難しい波に本来の実力を発揮できなかった選手が目立っていた。
ハワイのカイ・サラス、そのカイがシェイプするボードに乗る師弟関係にあるカニエラ・スチュワートも苦戦してElimination Round行きになっていた。
しかし、この日は両者共にスコアを伸ばして勝利。特にカニエラは長いノーズライドとハングテン、カービングでトータル16.27。ここまでのハイエストスコアを出してウルグアイのイグナシオ・ピニャタロに圧勝した。
「最高だった。本当に幸運だったよ。ヒート前に良い波が来るよう祈っていたんだ。イエスが与えてくれたのさ。最初の波はリンコンで、凄いロングライドだった。2本目はボウルズで、大きくてパワフルな波。ボウルの方が楽しかったね。今日は9.4ftのツナミモデルを乗っていた。カイが大きな波に対応できるようにピンテールに変えたボードさ。ターンも良いし、ノーズライドの時はポケットでしっかりホールドしてくれるんだ」


カニエラのインタビューはオージーのハリソン・ローチが担当。
数年前にツアーのレベルを上げ、現在はコンテストから距離を置いているが、トップロガーの目線でのインタビューは素晴らしく、初日はカイ・エリス・フリント(AUS)のインタビューも話題になっていた。

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2023年のチャンピオン、カイはディフェンディングチャンピオンもであり、Elimination Round行きは一番の番狂わせだった。
しかし、ローカルのベン・コンシディンとのヒートでは序盤にミドルレンジをまとめ、プライオリティを持ってじっくりと波を選び、リンコンのセットでパワフルなレールターンとスタイリッシュなノーズライドでトータル14.17をスコア。カニエラの次に高いスコアでベスト16入りを決めた。
「このイベントでベストなサーフィンをして、目の前の波を最大限に乗りこなしたい。昨日はちょっと自分にジンクスをかけちゃったような感じだった。風があって、言い訳もしてしまった。今日はもっとモチベーションがあり、典型的なリンコンでガラスのようにクリーンで長い波だった。本当はもっとサーフィンしたかったね。新しいボードが調子良くて今日のコンディションにも合っていたよ」
3名の日本人選手が姿を消す

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ベルズ戦ではワイルドカードの井上桜を含めて5名の日本人選手が出場。
吉川広夏、井上鷹は初日にOpening Roundをトップ通過でRound of 16進出。
田岡なつみ、井上楓、井上桜の3名がElimination Roundに回っていたが、残念ながらこの日は全て敗退となった。
井上桜を倒したレイチェル・ティリー(USA)は昨年に2度目のワールドタイトルを獲得した強豪。
ヒート中盤でリンコンからボウルズに移動して最後に7.00を出してトータル12.27をスコア。
ヒート途中での戦略変更が功を奏した。

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「良いヒートだったわ。最初にリンコンに行ったら、彼女はボウルズに向かったので、ちょっと作戦を考え直すことにしたの。幸運にもリンコンで1本、その後すぐボウルズで1本乗れて、両方でスコアが揃った時点で“勝負はボウルだ”と思った。ヒートの途中で戦略を変えることは滅多にないので、上手くいって良かった。普段はこのラウンドに回ることがないので、少しストレスがあったわ。現地入りが遅れたので、今日は海に入る良い機会だと思って臨んだの。今は気持ちも軽くなって、明日に向けて良い準備ができている」
なお、Round of 16では吉川広夏がナタリア・ヴンダーリッヒ(HAW)とのカード。
井上鷹はケヴィン・スカヴァーナ(USA)とのカードになる。

PHOTO: © WSL/Ed Sloane

PHOTO: © WSL/Cait Miers
活躍した新しいロガー

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Elimination Roundでは、次世代の活躍も目立っていた。
アジアリージョナルから今年クオリファイしたフィリピンのジョマリー・エブエザはベテランのベン・スキナーを倒し、前日にラウンドアップを決めていたロジェリオ・Jr・エスクイエヴェルと共にRound of 16進出。
フィリピンの先駆者でもあるJrは23歳の若いジョマリーを全面的にサポートしている。
両者は同じグーフィーフッターで似たような綺麗なスタイルを持っている。

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2023年にワイルドカードでベルズ戦に出場して以来のLTとなるニュージーランドの18歳、ジャック・タイロはカービングとクラシカルなライン取りで12.03を出してポルトガルのアントニオ・ダンタスを抑えた。
今年は欠場したジェフソン・シルヴァ(BRA)のリプレイスメントとしてElimination Roundから出場している。
「今朝、出場できると聞いた時は、戸惑ったね。凄く不思議な気分だったけど、チャンスをもらえて本当に嬉しい。ベルズでは何度かサーフしたことがあるけど、今日の波はこれまでで一番良い。最高のコンディションでサーフできて本当に興奮しているよ」

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ウィメンズサイドではトライアルで優勝してワイルドカードを獲得したアメリカの16歳、キャッシュ・フーバーが2023年にベルズで2位になったこともあるベテランのアリス・レモーン(FRA)とのクロスゲームを制した。
「本当に嬉しい。WSLイベントでの初めてのヒート勝利よ。今回が2回目のイベントなので、大きな瞬間。言葉にできないくらい幸せだわ。次のラウンドで誰と当たるか分からないけど、とにかくまたサーフできることが楽しみ。波も最高なので、ここベルズでサーフィンを続けられるのが本当に嬉しい」
キャッシュは次のRound of 16で2度のベルスチャンピオンで3xのソレイユ・エリコ(USA)と対戦する。

PHOTO: © WSL/Ed Sloane


13歳でのLT入りがシーズン前に話題になっていたイタリアのジンジャー・カイミはヌーサ出身のキラ・モルナーを相手にミドルスコアを重ねてクロスゲームを制し、開幕戦に引き続きRound of 16進出を決めた。
次はベテランのクロエ・カルモン(BRA)とのカードになる。
なお、現地時間9月19日はオフが決定。
ネクストコールは現地時間9月20日の朝7時15分(日本時間の同日朝6時15分)となる。
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
Bioglan Bells Beach Longboard Classic Men’s Elimination Round Results:
HEAT 1: Gavin Idone (USA) 10.83 DEF. John Michael Van Hohenstein (HAW) 10.56
HEAT 2: Cole Robbins (USA) 13.10 DEF. Tony Silvagni (USA) 8.60
HEAT 3: Kai Sallas (HAW) 14.17 DEF. Ben Considine (AUS) 10.03
HEAT 4: Kevin Skvarna (USA) 12.57 DEF. Sam Christianson (RSA) 11.83
HEAT 5: Kaniela Stewart (HAW) 16.27 DEF. Ignacio Pignataro (URY) 9.84
HEAT 6: Oliver Packham (RSA) 9.04 DEF. Nelson III Ahina (HAW) 8.54
HEAT 7: Jomarie Ebueza (PHL) 12.33 DEF. Ben Skinner (GBR) 11.83
HEAT 8: Jack Tyro (NZL) 12.03 DEF. António Dantas (POR) 8.57
Bioglan Bells Beach Longboard Classic Women’s Elimination Round Results:
HEAT 1: Rachael Tilly (USA) 12.27 DEF. Sakura Inoue (JPN) 11.63
HEAT 2: Natalia Wunderlich (HAW) 11.00 DEF. Ophelie Ah-Kouen (FRA) 7.60
HEAT 3: Cash Hoover (USA) 11.00 DEF. Alice Lemoigne (FRA) 10.84
HEAT 4: Ginger Caimi (ITA) 10.50 DEF. Kirra Molnar (AUS) 8.56
HEAT 5: Beatrice Conroy (AUS) 13.50 DEF. Natsumi Taoka (JPN) 11.00
HEAT 6: Mason Schremmer (USA) 10.84 DEF. Luana Soares (BRA) 8.40
HEAT 7: Emily Lethbridge (AUS) 11.50 DEF. Malia Ilagan (USA) 10.84
HEAT 8: Sive Jarrard (ASM) 12.33 DEF. Kaede Inoue (JPN) 12.17
Bioglan Bells Beach Longboard Classic Men’s Round of 16 Matchups:
HEAT 1: Rogelio Jr Esquievel (PHL) vs. Clinton Guest (AUS)
HEAT 2: Cole Robbins (USA) vs. Max Weston (AUS)
HEAT 3: Kai Ellice-Flint (AUS) vs. Jack Tyro (NZL)
HEAT 4: Declan Wyton (AUS) vs. Oliver Packham (RSA)
HEAT 5: Taylor Jensen (USA) vs. Gavin Idone (USA)
HEAT 6: Kevin Skvarna (USA) vs. Taka Inoue (JPN)
HEAT 7: Kai Sallas (HAW) vs. Jomarie Ebueza (PHL)
HEAT 8: Kaniela Stewart (HAW) vs. Edouard Delpero (FRA)
Bioglan Bells Beach Longboard Classic Women’s Round of 16 Matchups:
HEAT 1: Rachael Tilly (USA) vs. Beatrice Conroy (AUS)
HEAT 2: Natalia Wunderlich (HAW) vs. Hiroka Yoshikawa (JPN)
HEAT 3: Avalon Gall (USA) vs. Emily Lethbridge (AUS)
HEAT 4: Honolua Blomfield (HAW) vs. Mason Schremmer (USA)
HEAT 5: Soleil Errico (USA) vs. Cash Hoover (USA)
HEAT 6: Chloe Calmon (BRA) vs. Ginger Caimi (ITA)
HEAT 7: Kelis Kaleopaa (HAW) vs. Sive Jarrard (ASM)
HEAT 8: Sophia Culhane (HAW) vs. Tully White (AUS)
(黒本人志)